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[水雷艇の一群が、突撃艦を避けるように、ぱっと左右へ分かれる。そしてそのまま左右から、舳先から伸ばした水雷を叩き込まんと、矢継ぎ早に互い違いに、突撃艦との距離を詰めてゆく。
その中のひとつが、突撃艦の1隻を捉えたか。
どうん。と、低い唸り声を上げて爆発した水雷が、咆哮と突風、そしてうねるような水渦を巻き起こした。]
[厄介な敵砲艦に対する、味方巡洋艦>>14からの援護も
あるいはあったかもしれず。
速度を取り戻すのが一番遅れていた巡洋艦へ、水雷艇3が
前から、後ろから、そして右からと三方から高速で距離を詰めた。
そのうちどれかが本懐を遂げられればいいと。
…は。という、緊張と、息遣いが。
あたかも艦から滲み零れるようだった。
まだ若き水雷艇の乗り手たちは、
水雷を剣に、
恐怖を盾に、
死地の中、自分を、味方を、艦を信じて海を駆ける――*]
―“前庭”海域中央/第三艦隊 水雷母艦アストラ―
[次弾換装を終えた水雷艇が、再びアストラの傍に着水する。
その数、計6。]
…。減ったな。
[小型な水雷艇が戦場で全艦無事など、ほぼありえない。
ゆえに減ずる事態は度々あったが。
だからといって口惜しい思いが無くなる訳ではない。
そして被害は小型艦だけではなかった。
あの勇猛堅牢を誇る第一艦隊の戦艦が、崩されている。
濃灰の禍々しい煙を天高く吐いて。
黒影ひとつ、海の果てに沈んでゆく。]
[更に、此処と連なる別の海域で。
領民を愛したひとりの女領主が、眩しく鮮烈に――
けれど、静かに切なく。
その命を海に捧げたことを、ロー・シェンはまだ知らない。]
[戦艦を落とされた原因のひとつは、
水雷艇の第一波が引いた薄さを突かれたせいもあろう。
ならば今やるべきことは、少しでも早くその穴を埋めること。]
空が、冷えてきたな。
…降りそうだ。
[あちこち煙に犯された空が覗かせる色と、
肌に感じる大気の表情に、燈黄色を眇めて。]
全艦前進。
T字の首筋を引っ掻いてやれ。
[戦艦は敵先頭艦と、既に激しい砲撃戦を繰り広げている>>164。
それを支援すべく、北旋回する第一艦隊に併走するような形で
第三艦隊も再び動き出した**]
/*
>>261
うんうん、光景が浮かぶなあ。
ロットケン老将、NPCだがすっかり愛着が湧いてしまった。
いい上官に恵まれたものだ。
―“前庭”海域中央/第三艦隊 水雷艇―
[炎爆ぜた其の一瞬>>228を、水雷艇の乗員は見逃さなかった。]
『―――― 突撃!』
[舳先に取り付けられた長い棒の切っ先が、敵巡洋艦の喫水線の辺り目掛けて突き出された。
ほんのささやかな距離を挟んで、対岸の艦の水面下で重い爆音が膨らむ。大きく海が揺らいだ。甲板に居た兵は、とっさに縁を掴んで投げ出されるのを耐える。]
『やっ、…―― 』
[た。という歓声と、味方水雷による二つ目の轟音が重なった。]
[そして…止めとなる三発目。
大きな巡洋艦を、仲間の援護があったおかげとはいえ、落とすことが出来たことに、青年兵らは興奮気味に顔を高潮させる。]
『…っ、まだだ。 ――喜ぶのはまだだ!』
[不意に、誰かが言う。]
『生還してはじめて、オレたちの勝利だ。 …そうだろ?』
[周りを見渡して、にやりと笑った彼は。
会戦前に、ロー・シェンに水雷艇のコツを尋ねた青年兵>>2:290の、一皮向けた姿だった。]
[巡洋艦1隻撃沈の戦果を残して。
水雷艇は海域中央から反転、大きく旋回しながら
目標を母艦に据えて舵を切る。
無論、犠牲も大きい。
11隻のうち――2隻は撃沈、3隻は航行がやっとという状況だ。
しばらくは使い物になるまい。
…やがて彼らは水雷母艦ダヌラに帰還し、
そのまま戦局の行方を見守ることになる*]
/*
セルウィンが…!!
シュテルンと二人、素敵な空戦だった…熱かった。
しかし其処とも絡めなかったな…。くっ。
ファミルといい、セルウィンといい
同陣営なのに…と勿体無さが募る。
―“前庭”海域北方/第三艦隊 水雷母艦アストラ―
[シロウの読み>>345は正しかった。
丁度その頃――
戦況を天秤に掛けながら
天候と波の様子を睨んでいたロー・シェンは、]
…、潮時だな。
[海が荒れては、小型艦の本領を発揮することは難しい。
第一艦隊の援護に向かった水雷艇に対し、帰還の信号を放った。]
アストラ、第二戦速で進路南へ。
水雷艇と、救助信号を出している奴らを回収する。
敵も味方も気にするな。
助かる命は、ひとつでも、ふたつでも多い方がいい。
[と、いつものように言い添えて。
水雷艇の護衛を離れて…アイグル少佐が率いる巡洋艦が速度を上げる様子>>326を視界の端に捉えながら。雷母がゆっくり前進する。]
/*
う、ん?
皇帝のカンテラ灯ってそこまで大きいものではないと思ったんだが、
>>348見ると、結構目立つものなのか??
「恐らくは」と付いてはいるが…。
割とこう、今回、基本知識的な部分であれだな。
足りないな…。
/*
まあアストラも中央に近づいているし
北から距離近いから見えていた、でいいか。
よしそれでいこう。
その方が母艦で無茶できr
―海域北から中央へ/第三艦隊 水雷母艦アストラ―
[第一艦隊の陣形が変容してゆく。
帝国とウルケル。
互いの旗艦が前に出て、接近する形。
あたかも、決闘でもする時のような――…
いや。
ある意味では、其れは的を得ていたのかもしれない。
鋼鉄と鋼鉄の戦ではなく。
理想と、思想をぶつけ合う、もうひとつの戦――――]
[皇帝の意思を灯したカンテラ>>324が、舳先で描く太陽の宣。
その…どこか眩しいとも錯覚させる信号は、
回収作業を取り行いながら南下しているアストラの甲板からも
よく――見えた。]
まったく、
…… 陛下も無茶をなさる。
[だが言葉とは裏腹に、
ロー・シェンの唇は薄っすら上向きに弧を描いている。]
[…消耗戦になっているのは肌で感じていた。
本来、帝国が得意とするのは物量作戦による短期決戦である。
しかし帝国から遠く離れ、此処まで遠征している今。
物量作戦に頼るのも限度があったし、
短期決戦を狙うにはウルケルの力量が高すぎた。
兵の錬度が、劣っているとは言わぬ。
だが地の利――これは多少の物量では埋められぬ差であった。]
願わくば、
…――よき路を
[覇気纏い、強き意思で人を導く…
何処か似た印象の二人が。
会見に到ることで、滅びに繋がるような路が回避されれば良いと。]
ウルケルは
オルヴァルの様になってはならない…
そんなことは きっと。
あの敗戦を経てきたおまえだ。
よく ―――… 解っているのだろう?
[『不羈』と。壁に刻んだ文字を、目に焼き付けるように見つめていた
ロー・シェンはそっと瞑目した。]
[少なくとも旗艦を中心とした海域では、砲弾の音は止まっている。
それを見て取ったロー・シェンは、アストラをそのまま前進させることに決める。]
『いいんですか? 代将。
これ一応母艦ですけど…』
構わん。
あの旗艦の状況で撃ってくるやつがいたら、余程の馬鹿だ。
しかもこちらは、敵兵の救助信号も拾っているんだぞ。
同胞がいるのに狙ってくるのならば、
――ウルケルの器が知れるだけだ。
[しれっと言い切って。それに、と涼しい顔で続ける。]
皇帝陛下からお叱りを受けるにしても、どうせおれだ。
気にするな。
[『気にしますよ〜ッ』という部下の嘆き声はきっぱりと無視した。
そうして、雷母は、本来ならば巡洋艦の護衛無しには来ないであろう前線に艦首を向けた。]
―海域北東/第三艦隊 水雷母艦アストラ―
…… ? どうした、
[止んだと思っていた砲撃が、聞こえる方角>>380>>388がある。
しかも戦っているのは。]
ヘイゼルたち… か?
[見間違えよう筈もない艦影3つが、敵巡洋艦2隻と撃ち合いの様相を見せている。
一旦寄り、離れゆくそれらは、明らかな速度の差があった。
おそらく相手にしているのは、敵の新型巡洋艦なのだろう。]
操舵士に伝達。
進路を、新型の敵巡洋艦へ。
[『えええッ』と叫んだ後。もの言いたげな部下は、
『…………………………………………はあ。』
根負けしたのか操舵室に駆けてゆく。]
/*
水雷艇や救助兵を回収しながらだと、
おそらく時間軸的には本来間に合わないと思うんだ が
見届けたいんだ。ゆるせ…。
―海域北東:第三艦隊 水雷母艦アストラ―
『アイグル少佐より、報告!』
[届けた連絡兵は最初、予想外にアストラが近くにいたことに驚いたようだったが。
呆然としたのは一瞬で、すぐさま大事な内容>>421を話し始める。
若干早口になっていたのは、ヘイゼルの様子が気になっていたからだろうか。
報告を終えた今 、若い兵の視線は海伝いの戦場──巡洋艦の周りへ気遣わしげに向けられている。]
ストンプ候が…。
[成る程、確かにそれは留意すべき事柄だった。
ロー・シェンは受け取った事実を噛み締める。
しかも…
ストンプといえば、ウルズの名字でもある。
彼女に縁の者が乗っている其の艦を、少佐は止めると言っているのだ。]
────… 何をするつもりだ、ウルズ。
[その答え>>424は、程なくして出た。]
[幼馴染みの二人がようやく、
長い年月を経て再会したことを
ロー・シェンはまだ知らない。
けれど…なにがなんでも相手艦を止めんと
正面から突撃した様は、
────… そう。
かつて聞いた彼女の覚悟と、似たものを感じたの*だった*]
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