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旅芸人 カレル は 記憶喪失 シェイ に投票した
[次から次へと未来の話をする彼に、思わず笑みが溢れる。それは一瞬でも、別れの恐怖から自らを解き放つもので。
その言葉を遮るようにそっとその唇に人差し指を当てる。ニコリと一つ微笑めば、人差し指と入れ替えるようにそっと、彼の唇に己のそれを重ねた。]
ー翌日 自宅玄関ー
[珍しく朝から玄関に立ち靴を履く姿が玄関にある、しっかりと防寒対策をしてむくむくとした姿で意を決したように家のドアを開ける]
さっむ…!!!!
[早々に家に帰りたくなる(実際には一歩も外へ踏み出していないが)]
いやいや、今日はパンを買いにいくんだ…我慢我慢
[正しくは、パンを買いにいって翌朝からの配達をお願いすることが大事なのだ、さすがに毎日この寒さの中朝早くから外に出る気にはなれない]
メルさーん、いるー?
[早足でパン屋の前に向かったらドアを叩き声をかける、少し早く来過ぎたかもしれない、返事が返ってこなければそのままドアの前で待つだろう]
[にこりと微笑む彼女に口を指で塞がれたと思ったらすぐ後、綺麗なピンクが近づいたと思うとふわりと香るかのじょの香り。目の前いっぱいに広がる手放したくない人の姿、そんな彼女がたまらなく愛おしく…触れるだけのそれを深く、彼女を抱きしめる腕に力を込める]
…………ん……
[そっと触れただけの唇。そのまま強く抱き締められれば、自らも離れたくないとその身体を寄せる。甘い香りと大好きな温かさに包まれて、自らの頬が熱を持つのが分かる。心臓の音が伝わってしまいそう、と思った途端、唇はまたその熱を上げる。
おでこをくっ付けたまま、そっと唇を離せば、限りなく近い場所に大好きな人は居て。それは夢でも幻でもなくて、手の届くものであることが、またその小さな胸を締め付けた。]
……このまま時間が止まればいいのに、ね…?
[そう呟き、笑う。]
んー…今日食べる分はあるやつからメルさんのオススメってことで
配達の分は…食パンと、あと軽く食べれるものがいいかな。
[朝から重いもの食べるといがねぇ…なんていよいよ言うことがおじさんくさい]
ん…?
[ぞわりと肌が泡立つ感じに辺りをきょろりと見渡す
当然このにいるのは自分とパン屋の2人だけで…首を傾げながらパン屋へと視線を戻すとそのまま買い物の話を続ける]
「時が止まればいいのに」
[彼女の放った言葉が胸に刺さる
それは2人の共通の願い、とてもとても素敵な…願い
でもそれが叶わないことくらい、もうとっくにわかっている。自分も彼女もそんな夢物語を追いかけるほど子供ではない
…はずなのだ]
そうだな、このまま止まって…マリーとずっと一緒にいれたらいいのに
[そう願わずにいられない、終わりの時は…刻々と近づくのだろう]
私、ずっとカレルの傍に居る……
だって、今までもそうだったもん。
これからもずっと、そう……
[だからそんな顔しないで、と笑おうとすれば笑顔が歪む。幸せなのに苦しいなんて。こんな感情があるなんて、知らなかった。]
ねぇ、カレル。
私、カレルのお嫁さんになりたい。
[小さい子どものお願いのように、ニッと笑ってそう言う。昔から見てきた彼がこんなに切ない表情をするなんて知らなかった。これからもっともっと知っていくのに。]
大丈夫、明日も明後日も、
次の春も次の冬も来るよ。
………来る、絶対。
[天使の力も神の力には抗えない、そう言ったのは誰だったか。終わりが見えない怖さが心を侵食してゆく。]
── 回想 ──
[気付いたのはいつだっただろう。覚えているのは絵筆を持って、何を描こうか街中をウロウロしていた時。池の傍の芝生を通りかかった時にそれは頭の上に飛んできた。]
───ぺちゃり。
……つべ……たい…………
[頭の上に柔らかいものが落ちてきたと思えば、顔を水分が伝う。それは、甘くてべたりとしていた。と、駆け寄ってきたのは金糸の少年。少年は慌てた様子で私の髪を拭いて頭を下げる。
私の頭に飛んできたのはプラムだった。彼はここでジャグリングの練習をしていたらしい。]
見せて!見たい!
[ベタベタの髪を気にする彼をそっちのけに、私はその芸に見せろと求め、それに魅了された。今から思えばまだたどたとしく、お世辞にも上手とは言えない出来だったけれど。それでも幼い私の目には魔法のように映り、拍手を送り、その姿をスケッチした。私のスケッチもまた、褒められた出来ではなかった。
それから私のスケッチブックには、金糸の少年の成長が描かれる。腕を上げ、暖かくなれば街を離れるようになる。冬が苦手で秋には旅を終えて帰ってきて、家に引きこもることを知ったのもプラムの出来事からそう遠くない未来。
私の画材と作品が増えると共に、彼の技の数と出て行く日数も増えていった。そう、それはその手を取り合う何年か前の話。]
いちごパン!じゃあそれ買うよ
クロワッサンかぁ、久しぶりに食べるな。うん、クロワッサンがいい、メルさんよろしく!
えっとお代おだいっと…
[ゴソゴソとポケットを探り財布を取り出す]
んっと、じゃあこんなもんだな。
あ、メルさん…一応戸締りとかしっかりしとけよ…なんか物騒だし…
[最後に一度きょろりと店を見渡すとお金を払って、引きとめられることがなければ軽くてを振り店を後にして家へと帰るだろう]
── その日の真夜中 ──
──カタン。
[その音がその家の持ち主の耳に届いたのは日が変わる頃だろうか。
もし、明日を迎えられれば扉の先には鼻先を真っ赤にした女がニコリと微笑んでいたことだろう。
もし、明日を迎えられなければ扉の先には可愛らしくラッピングされた一つの箱が置いてあるだろう。
中身は大きな板チョコに色とりどりのチョコペンで描かれた、桜の下にいる旅芸人と画家の絵。そして小さなメッセージ。]
── 大好きなカレルへ ──
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