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[しっかり身体を拭いて、髪も拭って、
着替えて戻ると何だか知らない内に素敵な事になっていた。
床一面に敷き詰められた布団に目を輝かせる。
飛び込みたい衝動を抑えて、うずうずしながらも
一先ず水分をたっぷり摂って。
…そういえばごはんまた食べ忘れた。
思い出したけれど、眠れない程の空腹は、
茹で上がったおかげて遥か彼方にお散歩中だ。
そんな事よりロー・シェンのお強請り>>3:118に応える方が先かと、あっさり了承して彼の腕の中へ。
一応命の恩人(仮)なので、今日だけは大人しく、ひとつくらい言う事を聞いておこう。
そう心に決めて、瞼を伏せ、大人しく抱き枕に*]
― 夜明け頃 ―
[やはり、気付いてしまった空腹には勝てなかった。
浅い眠りについたものの、自分の腹の音で目をさまし、
もそもそロー・シェンの腕から抜け出して、目を擦りつつキッチンへ。
がさごそ漁って、見つけ出した甘夏マーマレードの瓶に目を輝かせる。
ルートヴィヒが一人早起きして作ってくれていた事を知っている。
…さてどうやって返そうか?
考え事をしながらお外に茂っていたミントを毟って来て、綺麗に洗ってミントティーにする。
何だか違う草もちょっぴり混じった気がするけれど、細かいことはキニシナイ。
昨夜の残りのミネストローネは冷たい侭でまぁいいか]
[*ピッツァ*にマーマレードを乗せて、独り、手を合わせて、椅子一脚だけ窓際に寄せたままの特等席で静かにいただきますのご挨拶。
まだ皆眠る中、一足先の朝食か、皆に遅れての夕食か。
一人の食事には慣れっこだったけれど、マーマレードもミネストローネもとっても美味しかったけれど、
…やっぱり誰かと食べた方が美味しかった気がする。
ぺろり平らげて、汚した皿を洗って片付ければ、
今日こそは皆と一緒の食事の時間に起きよう、そう意気込んで、
再びロー・シェンの腕の中にもぞもぞ潜り込んだ。
今度はぐっすり眠れそうだ**]
― 朝方 ―
[ロー・シェンに起こして貰えば>>24、のそのそ鈍い動きながらも布団から這い出てきた。
今日は、みんなと、一緒に、ごはんを、食べる。
そんな事を途切れ途切れに、寝惚けたままの舌足らずな声で伝えただろう。
少し前に食事したばかりなので、まだあまり食欲はなかったけれど、「食べる」事より「一緒に」に重きを置いて居たので、みんなと席に着ければそれだけで満足だった]
[昨夜の騒ぎは人伝になんとなく聞いて、凡そ察した。
持ち方の少し可笑しいスプーンを咥えたまま、ぼんやりと、
カスパルの嘆きが、真実のものであるといい、なんて考える、自分は、多分相当ひどいやつなんだろう。
疑う事にちっとも心が痛まない。
だって、誰も信じさせてくれないじゃないか。
それが真実ではないと判って居てもいいから、
誰かを強く、信じてみたかった。
カスパルを疑う理由、それは、ただの嫉妬だ]
[カラスの声はいまいち頭に響かなかったけれど、
周りの皆を見て、レトだけではなくゲルトが連れ去られたことを知る。
しかし、別段、驚きも、何も、湧かなかった。
オオカミには、ウサギの心が残っている。
昨夜思い至った仮説が、ほんの少し真実味を帯びただけだった。
レトとも親しくしていたのは、多分、この中で一番を探すなら、ゲルトだと思う。
この場にゲルトが残されれば、カスパルのように、悲しみ嘆いただろう。
レトは皆で閉じ込めたのではなくカラスが連れて行った。
ならきっと、裏のほらあなじゃなく、二人一緒の場所に居るんじゃないかな、なんて、これも憶測にすぎないけれど。
…食事の後はもう一眠りしてしまいたかったけれど、
今日は、やると決めたことがあるので、目を擦り、名残惜しいお布団と距離を置く。
今日は、溜りに溜まった洗濯物をやっつけるのだ]
[自分の洗濯物の他に、一緒に洗うものはないか探す最中、慌てて走るロー・シェンを見送る。
ファミルの言葉>>12は遠くからきいた。
なんだか、今日は自分を連れ去ってくれと、そう言っているように聞こえた。
その感情が、自分にはまるで理解出来ないので、聞かなかったことにした。
大切なものを奪われたのなら、本当に失ってしまう前に、やるべき事が幾つもあると思う。
取り返せるかもしれないうちに、やるべきことは、たくさんある。
それをせずに、もし、ただ嘆くだけなら、ファミルも カスパルも信用する気にはなれないと思った。
多分、自分は、相当、ひどいやつなんだろう。そんな自覚だけはある。
胸が痛むのは誰かを疑う事じゃない、
こんな風に誰も信じられない事に対してだ。]
[自分の汚した洗濯物の他、誰かの使ったタオルやら、誰かの服も勝手にいっしょくたに洗ってしまう。
各々自分たちで片付けていたとしても、人数が人数なだけに、寄せ集めればなかなかの量になってやりがいがあった。
洗い終えた洗濯物を干しに、日当たりのいい場所を探す。
木と木の合間にロープを渡して、皺を伸ばして広げた洗濯物をつるした。
近場の森の中に、色とりどりの洗濯物が連なって吊るされた様は、万国旗みたいでちょっぴり愉しく賑やかな景色のできあがりだ。
洗剤の良い匂いが風に揺られてふんわり漂う。
うっかり眠ってしまって忘れてはいけないから、夕方になる前に、自分が忘れて居たら取り込んでおいてくれるよう、見掛けた誰かに頼んでおいた]
[ふと、転がる白色をみつける。>>17ルートヴィヒだ。
忍び足で近付いてみる。どうやら眠って居るらしい。
小屋に戻って取って来た薄手のブランケットをそっとふんわり掛けておく。
眠いけれど、折角目が覚めている自分は、何をしよう?
そんな考え事をしながら、ぶらぶら何処かへ出かけて行った**]
― 昼過ぎ ―
[天気が良いのでお布団も干して。枕も干して。
さて後は何をしようと悩んだ結果、
一度自宅に戻って、取って来たのは、裁縫道具。
そして、少しずつ違う白っぽい布をいくつか、たくさん。
洗濯をしてみてひとつ気付いた事がある。深刻なファミルの服不足だ]
どんな服にしよう?
好みがわからないし、似た感じでいいかな?
[窓際に置きっ放しの椅子をテーブル代わりに、床に座り込んで。
大きな裁ち鋏を片手に布とにらめっこしたのは僅かな間だけ。
採寸も型紙も、下書きも無しに、けれど迷いなく正しく布を裁断してゆく。
自分が胸を張って「出来る」と言える事はこれだけだけれど、
だからこそこれだけは完璧だった。
洋服を作ること。それこそが自分の天職。
けれど、鋏を持つのも、針を持つのも、何だか久しぶりだった。
夢中になって、夕方までに少しずつ違う似たような服を4(6x1)着仕立てて、力尽きた。
そんな事をしていたから、夕食時にはぐぅすか眠っていただろう。けれど、なんとなく満足気だった**]
― 昼過ぎ ―
[洗濯ものを抱えて探してうろついて居たらファミルに>>43声を掛けられた。丁度、彼の着て来た服を洗っても大丈夫な素材か確認していた時だ。
彼の申し出に目をぱちくり。
しかし次の瞬間には屈託なく笑って返し]
そっか、じゃあ初体験だね。
いいよ、やろう、一緒にやろう。
[デザートの準備に誘った時と変わらぬ態度で返して、じゃあこれはキミの分だね、と彼の服を彼に向かって投げ渡す。
何だか高そうな布に見えた気がするけれど、まぁ、恐らく大丈夫だろう。
彼が「オオカミではないとは信じていない」だけで、あの時と、何が変わった訳でも無い。
彼の名前が判らなかったあの時も、彼の正体が判らない今も、自分にとっては大差無い。
基本的な手順は勿論、問われれば知っている範囲で何でも教えただろう、会話の弾む賑やかな洗濯タイム。
彼がくたびれていないようなら、乾すまでが洗濯です、とか言って乾すのも手伝って貰っただろうと]
[>>44ファミルに眺められながらの作業。
「ずっと」自分が眺めるばかりだったから、何だか不思議な気分だ。
「彼」の手際を見詰める自分もあんな顔をしていたのだろうか?
居るならば丁度良いと試着を頼む、サイズはぴったりなようだ。
動いてみて貰っても窮屈なところがなさそうなのを確認して、仕上げに入る。
身に着けるのは一度洗ってからの方が良いのだけれど、今の着替えが無いと彼は言う。
ならばまぁいいか、と仕上がった服はそのまま手渡した。
刺繍だとか飾りだとかの細工は追々勝手に付けたそう。
思った以上に喜んでくれて、なんだか少しだけ、懐かしい記憶に浸る。
「彼」がひとつ仕上げる度に、自分も無邪気にはしゃいだものだ。
「まほうみたい」と告げれば、ほんの少しだけ、照れたように笑っていた。
思い起こす少しだけ古い思い出。今はもう返らない、愛しい時間…
やり遂げて満足すれば、うとうと眠くなってその場で転寝を。
思い出を抱えて眠ったけれど、結局夢にも出て来てくれなかった*]
― 夕食前 ―
[夢現、>>51ふんわり誰かの体温を孕んだ暖かな何かに包まれた事と、背を撫でる優しい掌を感じた。
――あぁ、「彼」じゃない。
自分の身を包んだ布地に鼻を埋めてみても、其処に在るのは自分の匂いと、微かに移る…――誰だっただろう?真白いイメージ…
其の侭記憶を馳せればルートヴィヒが浮かんだだろう、けれど、心の底から一番に望むひとでは無い事だけ知れば、ぺたり耳を伏せて拗ねもぞもぞブランケットに潜り込み、胎児の様に己が身を抱き締めた。
記憶の中にしか居ない「彼」が此処に居る筈も無い事くらい、頭では、ほんとは判っている。
それでも逢いたいと願わずには居られず、現実を思い知る度こうして感情を持て余す。
ブランケットの中に潜り込んでしまえば滲んだ涙は誰にも見えず、丸まって小さく鼻を啜る様は、傍目には、ただ寒かったように見えただろう。*]
― 夕食頃 ―
[夢の中迄話し合う声が聞こえて、いつからか概ね目は覚めていた。
けれど、夢見が不満でなんとなく不貞腐れてぐだぐだ過ごす。みんなの話し合いは話半分に聞いていた。
オオカミならどうするか、なんて飛び交う憶測に、ぽつりと、口を挟んだ]
…大切なひとにさ、嘘を吐かなきゃいけないとするじゃない?
大切なひとに物凄く疑われても、最後まで欺き通す?
それとも、最初に話しちゃう?
…僕なら、最初に話すなぁ。
大切なひとには、嘘偽りなく僕の事、総てを知って欲しいもの。
けれど、みんながそうとは限らないよねー。
[ゲルトが連れ去られたのは、ゲルトに知って欲しかったからじゃないだろうか。
ゲルトを大事に想うからこそ。
…それがファミルを信じない理由。
彼も自分の様に「一番に知って欲しいと願う」んじゃないかなぁ、とか、なんとなくそう思っていたから。
所詮邪推、故に信じていないだけで強く疑っている訳でも無かった]
[ごはん食べようっと、と起き上がって、寝癖の侭にキッチンを漁る。
皆が食器を片付け始める中、一人マイペースに食事を始めた。
そんな最中、聞こえた声。
>>71「いつか、きっと、一人に」?マレンマの言葉を頭の中で繰り返して、苦く笑った。
「いつか」ならば、誰かと居る「今」は、マレンマにとっては、きっと、一人では無いんだろう。
いいね、羨ましいな。
誰といたって僕は、何時でも独りきりだよ。
声には出さずに飲み込んだ。
なんとなく、裏切られた気分になったのは、彼と自分がどこか似ている気がしたなんて勝手な思い込みの所為で、彼には、何の非も無いから。
自分が何時でも独りきりな理由も知っている。
皆が自分を独りにしている訳じゃない、自分で、自ら独りになってるだけなんだと…
…知って居たって変えられない事、変われない事なんて幾つもあると、知っている]
[朝の意気込みもどこへやら、結局一人きりでとった食事も終えて、使った食器を片付け終えて、一息吐く頃には、皆もうすっかり寝静まっていた。
けれど、ねむくない、ねむれない。
…それ以上にねむりたくなかった。
きっと、どうせ、もう一度「彼」が夢にすら出て来てはくれないことを繰り返し思い知るだけな気がしたから。
裁縫道具と余りの布を抱えて、自宅まで置きに帰る夜の散歩道。
独りになることも、暗闇も、自由気儘に単独行動を取って明日疑われるかもしれないことも、生憎と自分には、何も怖くはかった**]
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