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[やがて、彼はその吸血鬼と再会を果たすだろう。
鋭い目線の先から姿を現したそれは、10年という歳月を下手にもかかわらず、何も変わってはいない。]
……っ、
―――…よォ、お前
[抑えられた声。
けれど、その声は抑えきれぬ怒気を孕む。]
探したぜ…?
[大きく、いびつに口許が歪む。
開かれた白い歯の間、濡れた舌が奥に覗いた。
次の瞬間には、両の手に剣をきつく握りしめ襲い掛かる。
一気に距離を詰めるとスピードにのったまま斜めに斬り下ろした。]
[背後に回り込むその感覚に男の唇が歪んだ。
剥きだしとなる歯は人間のもの。
濡れた舌が奥に覗いた。
鈍い音が城の廊下に響き渡った。
咄嗟に振り向くと下段への斬撃を避けるようにバックステップを踏む。
僅かに太腿の肉が抉られ血が流れるが、それでも男は不敵に笑う事をやめなかった。]
あぁ、いい夜だぜ?
お前にようやく、会えたんだからなぁ。
[長剣を構えると床を蹴り、吸血鬼へと突進する。
これまで数々の人間を吸血してきただろう。
自分の顔など、忘れていてもおかしくはない。
おかしくはないが、男にはどうでも良い事だった。]
死ねよ。
[斜めから斬り下ろすような斬撃を放つ。]
…っ、
[渾身の力で振り下ろされた剣は払われ、がら空きになった肩にまともに相手の肩があたり背が廊下の壁に激しくぶつかり息が止まったが、思考までが止まったわけでは無く。]
っ、らぁ!
[咄嗟に左手防御用の短剣を抜き放つ。
そのまま刀身の短いその剣を相手に突き立てようとした。]
[スティレットに比べ、骨太の剣が突き刺さる感覚は先程城主を刺した時のものよりも確かなもの。
だが、この位置では、]
ぐ…っ、
[手首を掴む力は流石に吸血鬼だけありかなりの激痛を伴った。
骨がミシミシと軋んだ。
そのまま男の動作に巻き込まれる形で床に転がる。
掴まれた左手を何とか捕まえようとするが、全く動かせず、呻いた。]
[吸血鬼の脇腹から流れ出る血で衣服が生暖かく濡れる。]
お前…っ、
[吸血鬼の髪を掴もうと手を伸ばす。
その双眸はぎらつき、喉の奥から怨嗟の言葉を吐き出した。]
俺の妹…、よく殺ってくれたな…っ、
[心臓は何処にやったんだよぉ、と続けながら腕に力を込めた。]
… ユリア
[その名を口にすれば手に篭る力は強さを増す。
俺は…、と続けながら力の限り腕を引く。]
オズワルドだ畜生!
[吸血鬼の頭を引く反動で彼の腹を強く蹴り上げようと足を動かした。]
志願兵 オズワルドは、野茨公 ギィ を投票先に選びました。
へぇ… ちゃんと覚えてんのかよ。
逆にイラっとすんぜ。
[直後に吸血鬼が口にしたその日付。
あまりにもあっさりと、悪びれる様子もなく口にするその様子に頭に血が上る。]
あぁ…?
[吸血鬼が視線を流す先、廊下の奥まったところに何か黒いものが蠢いていた。]
[廊下に響いた金属音は何処まで届いただろうか。
拾い上げた剣を床に落とし、男はゆっくりとした歩調で吸血鬼へと歩み寄った。]
ユリア…
[小さく妹の名を呼ぶ。
視線は遠く、闇の中に蠢く“影”へと向けられる。
自分の声に反応してこちらをみた影があるのかどうかまでは、彼にはわからない。]
[対峙する吸血鬼の双眸を睨み付けてから、男は凍った血のナイフを受け取った。
それをゆっくりと首にあてがい、そして――― ]
[何の前触れもなく、低い蹴りで吸血鬼の足を払う。]
責任?誠意?
笑わせんじゃねぇ。
[そのまま吸血鬼の身体へと当身を喰らわせる。]
ンな事したって、アイツは喜ばねぇよ!!!!!
[二人影となり、日の当たらない世界で生きるでもなく、死ぬでもなく過ごすことは救いになるのだろうか。
自分の仇をの言葉を吞み、命を捨てた兄の姿を見て、妹が喜ぶとは到底思えなかった。]
死にやがれ!!!!!
[他の吸血鬼がどうなろうと、男には知ったことではなかった。
男は、ただこの憎い相手を死に至らしめる事ができればそれで良かったのだ。
渾身の力を込めて、男は凍った血の刃を振り下ろした。**]
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