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― とある商会の一幕 ―
「若旦那…」
[ちょくちょくと行う定例会。それが終わったところで商会員の一人から声をかけられる]
なんだ?何か言い忘れたことでもあるのか?
「いえ、そうではないのです。ただ少し疑問がありまして、…旦那様は、どうして『ギィ・ルヴィエ・ド・コルベール』様をあそこまで押すのでしょうか?モアネットが陥落してから落ち目のように思えるのですが……」
帝国の伝手だからじゃねーの?
「それだけでしょうか?」
ふむ……思考を停止させず考えることはいいことだが、俺は知らん。商会とコルベール殿との付き合いは俺よりも長いんだしな。
[質問者は残念そうにする。ほかの面々も興味があったのだろう、少し残念そうだ。]
ただまあ、俺の予測。でいいならだが……
[そこで言葉を止めると期待するように見られたので嘆息しつつ話し始めた]
戦争してよ。街や都市を奪って、相手国を滅ぼしたとして…その場所を統治するとして、やらなきゃならないことってのはなんだ?まあ色々あるが、重要なものとしては……通貨の統一。あるいは貨幣の交換比率とかだな。
何も考えずにいっちまえばまあ大変なことになる。占領地は貧困者と暴徒と反国民であふれかえる。そんな土地誰が欲しい?むしろとったほうが赤字だ。重税を課すには重税を課せる環境を作っておかないといけない。
だから手っ取り早くその土地の商人と繋がる。侵略した国と奪われた国。どちらも知ってる商人と繋がるのが理想的だろうな。
商人からすれば経済圏が不毛な大地にならないようにできるし、侵略者からすれば統治をおこなう上で重要だ。
………パパと帝国のコルベール殿が繋がるのは、必然だったのかもしれんな。
まあ実際、解放軍が来るまでは帝国としては順調に統治していたんだ。その点とってみればコルベール殿は間違いなく優秀だな。
パパは公国にいたとき、商業の重要性を理解する為政者にあわなかったのかもな。顔や口ではそんな態度出しもしないだろうが、心の中では商業を理解しない為政者を蔑んでいたかもしれん。そんな中、商業の重要性をわかっている人間と出会った。商人からすれば金の卵を生む鶏みたいなものだ。ちょっと風邪ひいたぐらいでその鶏を捨てる馬鹿はいないだろ?治ればすぐまた金の卵が産まれるんだからよ。
と、まあそんな想像だが、実際はどう思ってるのか知らん。知りたかったらパパに聞け。それと俺がこう思っていたことはいうなよ。
[簡単な解釈を添えつつ、予測していたことをしゃべり終える。パパへの口止めについては、少しの気恥ずかしさであったが、そこでふと、考える]
帝国のほうはだいたいパパに任せてるからってのんきにしても悪いな。帝国ときなくさい国とかあるだろ。そこと帝国の貨幣を統一するとしたら……という書類でも作ってみるか。その書類自体は無駄になるかもしれんが、経験にはなる
……アナトリアス地方…ユルックへの投資も決まってるんだ。草原の皇帝になるよう軌道に乗った時、参考資料の叩き台として使えるからな。
[一つ追加で、今後の課題としてメモを各々していく]
「ところで若旦那。今日はこのあとご予定は?」
[よければと、何か誘おうとしていたのかもしれないが、すまんな。と謝る]
ちょっと野暮用でな。
「え、もしかしてこっちですか?」「あほか。若旦那は溺愛中の相手がいるだろ」
[そうか、溺愛中に見えるか。少し苦笑を浮かべるが]
仕事で届け忘れた品(グラス)があるんで、ちょっといってくるだけだ。
[ちょっと不可思議そうにしながらも納得した様子の商会メンバーが出ていくのを見送り、届け物>>+9へと向かうのであった**]
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