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甘やかすと、どうなるのかな…?
[普段の彼を、彼たらしめている眼鏡を静かに外して。
先程、首筋にすり寄せてきた頬を両手で捕らえ、撫でる。]
飢えた表情も、余裕のない表情も。
これからは全部、君以外に見せたりしない…。
――約束する。
[二つの瞼にキスをして、双眸を閉じた女神の唇を奪う。]
――…決まっているでしょう?
貴方は僕の言うことを、なんでも聞いてくれるって
勘違いしてしまうようになるのですよ。
例えば―――…
[人の証として身に付けた眼鏡が離れ、今はただ
主の為の吸血鬼として彼の手の中に包まれる。]
だから君は、俺だけを見て。
その夜色の瞳で、俺だけを誘惑し続けてくれ…永遠に――。
[人ならざる恋人達は幾つもの夜を共にし、永き刻を越えて愛し合う。
軽く触れ合う口づけは次第に深度を増して、やがて黒髪の青年から力が抜けると、その身体を横抱きに抱えて寝室へと向かう。]
貴方にそんな約束をさせて、嬉しく思ったり…ね。
酷い子でしょう?
付け上がる前に、お仕置きしなきゃいけませんよ。
[唇重ね、暫し訪れる静寂。
この後はまた、身体を重ね仕置きにならない仕置きを
強請るのだ。]
[彼の為に在ること、彼が自身の為に在ること。
それが世の全てになりつつあった。*]
― 寝室 ―
むしろ、光栄だよ女神様。
そのぶん――約束はしっかり守ってもらうけど。
[先程までの自分を棚に上げて、恋人の青年を姫君を扱うように、そっとベッドへ横たえる。]
お仕置きなら、大丈夫。
これから、たっぷり受けてもらうから――。
[夜色の女神を逃さぬよう、彼の上に覆い被さるようにして、再び口づけを――。]
―寝室―
始めから、貴方しか見ていませんのに。
[血兄弟、その主達。平等に視線を向ける事はあっても
自身の主に向ける視線は、やはり熱を伴ったもの。]
ふふ…嬉しい。
思うまま貴方の想いを、この身に刻んで下さいね。
[再びの深い口付けの、身じろぎ間に衣服は乱れ。
纏わり付くそれが邪魔だと自ら肌蹴させて見せた。
白い肢体を晒し、早く触れてと潤んだ瞳は訴える。]
アレク……。
[青年が自ら肌蹴させたのをいいことに、邪魔な衣を半ば強引に手伝って剥がすと、
無造作にベッドの外へ投げ捨てた。]
どうして君は――、こんなにも美しいんだ…。
[蠱惑的に息づく白い肢体に喉が鳴る。
今まで何度も肌を重ね、幾度愛しても飽くことはない。
仰け反る首筋から喉仏へ、それから胸へ。
唇の表面だけで擽るように、肌の感触を楽しみながら、順に下へと降りていく。
やがて彼の敏感な胸の突起に辿り着くと、ちゅっと小さな音を立て吸いあげた。]
―――…貴方が、そうさせているのに…っ
[視界から離れ行く衣服へと視線を落とし、僅かに目線を
逸らせたまま、胸に降りた濡れた感触に小さな震えをひとつ。
この感覚は人として生きていても同じだったのだろうか?
そんな今更馬鹿げた事を考えてみる。]
[しかし、それはきっと]
トール……、ねぇ。
[片方の膝を自分で押さえ開き、視線を促す。
期待に震えているのは自身の心だけではない事を示して
考えていたことには「否」だったのだろうと結論を出した。]
[キスを落とすたび、震える身体を抱き締めて。
もう片方の手の平を滑らせ、吸い付いてくる肌の感触に、知らず溜息が漏れる。]
そうか、俺が君を…こんなに淫らにしているのか。
[アレクシスの言葉を追いかけ、肯定するように繰り返して、]
じゃあ、きちんと責任を取らないとな?
[小さく笑うと、彼が視線で促す先。
娼婦さながらに誘う恋人の手を掴み、まだ少し恥じらいの残る片足を持ち上げて大きく開くと。
震える彼の中心を躊躇することなく口内に含み導く。
時折鈴口に舌を差し込み、くびれた部分を強く吸って、
卑猥な水音をわざと聞かせるように、根本から先端をまで繰り返し舐め上げた。]
……はぁ…ぁ―――…
[一際高い声を上げて視線を落とす。
淫らに開き、開かれた下肢と顔を埋める主の姿を見ると
羞恥に悶えながらも酷く高揚するのが解る。
背を弓なりに逸らせ、声も抑える事はせずに思う様大声で啼き]
せきに、責任……
ほら、お仕置きに…なってないじゃ、ぁあっ…
[繰り返される快楽に、限界を訴え始めて両足に力が篭る。
押さえつけていた手を離し、主の髪に指を潜らせ]
トール、ね。
[痛くても良いから、と先を促した。]
[さし伸ばされたアレクシスの指先に力がこもるのを地肌で感じる。
何よりも先程から高く囀る喘ぎが、彼の快楽を物語っていた。]
(確かに、お仕置きじゃないな…)
[アレクシスの言葉どおり、お仕置きなどとうに忘れて快楽だけを追い求めている自分に小さく苦笑し、
口内で固さを増していく雄を追いつめていく。
やがて苦くも甘い恋人の欲が吐き出されれば、それをごくりと飲み下し、己の五臓六腑で彼の味を堪能した。]
――君は激しいのが好きだね。
[傷を付けても再生能力を持つ血族だからか、多少の痛みよりもその先にある快楽を求める青年に笑みが零れる。
いつもなら痛みを避けようともう少し時間を掛けるが、今日はあんな事があったからか、
蕩けるような快楽を強請る様子に煽られるまま、彼の両膝を抱え。まだ解していない蕾に怒張した己を宛がった。]
いくよ…アレク――。
[彼の足を自分の方に乗せるようにして、返事は待たずに埋め込んでいく。]
激しい方が、忘れな――――ッ!!!!
[多少の傷など気にする程のものでもない。
痛みよりもなにより、穿たれる行為そのものを求めて
彼の身を迎え、受け入れるよう足を更に開く。
狭い入り口が抉じ開けられ、隙間なく埋められる痛みには
反射的に足は閉じ掛けたが阻止されたか。]
トール、トール…ねぇ、ねぇっ…!!
[行き所を失い宙を彷徨っていた手が主の顔に触れ、
口付けを求めて引き寄せる。
こうでもしなければ、上がる声など抑えられる気にならないから。
[声が抑えられれ、上がるのはくぐもった音。
室内に響く音は極僅かだが、その少ない濡れた音や衣擦れの音に耳は犯され、より熱は上がった。
ん、ふ、ぅん、ん―――…っ
[程無くして体内に待ち望んだ熱の奔流を受け、
二度目の絶頂を迎えた後は、未だ快感の余韻に震えながらも
仕置きの意味を考えようと持ちかけていたとか。**]
[彼の求める意志に反して閉じようとする足を抑え、狭い胎内を無理矢理押し広げて奥へと奥へと好き進めば。
まるで待ち望んでいたように絡みつく襞と、導くように収縮を繰り返す感覚に堪えきれず溜息が漏れる。]
アレク…、アレク…――ッ
[求められるまま唇を塞ぎ、喘ぎごと声を飲み込んで、白く細い肢体を揺さぶる。
先走りで濡れた先端をギリギリまで引き抜き、押し込めて、抽送を繰り返す。
僅かな衣擦れの音と、濡れた水音、低く抑えられ乱れた2つの呼吸が絡みつく。
情事を示す音だけが支配する室内で、自分という存在を忘れないように、この夜を忘れさせないように。
何度も恋人の名を呼びながら抉り、穿ち――、己という存在を刻みつけて。
最奥へと迸る欲望を流し込んだ。*]
― 通達を受け取った直後 ―
[『評議会各位へ
このたびの通知、確かに受け取りました。
しかしながら執行補佐の立場としましては、今回の事態にいくつか疑問が残ります。
@凶状持ちであるバランの心臓を処分されなかった理由があれば、お教え願い申し上げたく。
A盗難された当時、どなたが守衛にあたっておられましたか?
B復活の可能性が高い現状、追跡のご指示が出ていないのは、一体何故でしょうか。
取り急ぎ以上の点を、ぜひお答え頂きたく思います。 トールより』
[評議会へ気になった点の質問状を書くと、使いの者に持たせて走らせる。果たして、誰かしらから返答は届くかどうか。*]
聞いてくれ…、アレク…。
バランの心臓が盗まれた――。
[夜色の瞳を覗き込むように、1つの事実を声に出し、]
…この意味は…わかるね?
[確認するように、青年の表情をじっと見つめる。]
…アレク……
[血親に逆らっているのか、苦悶に歪んでは色を失う事を繰り返して――また、歪む。
彼の身を苛む苦痛と、それを与える見えない血親に呪の念を送る。]
苦しいんだね…。
[その症状は既に、バランが復活を遂げたことの証明であった。]
おいで――…
[ナイフを気にせず、いつものように恋人の腰に腕を回して抱き寄せ]
――大丈夫だから
[その身をかき抱き、白い首筋に唇を押し当てて。
耳元で囁いた。**]
[トールからの質問に対し、評議会からの回答は簡潔なものだった。]
心配無用。
仔細構わず、指示を遵守せよ。
[それは、なんらかの裏事情があると推測可能な対応であった。
例えば、君自身が容疑者のひとりであるとか、
あるいは、評議会中枢に容疑者がいるとか。]
アレク聞いてくれ。
脱走をするようなら、君を殺せとの指示が出た。
[あえて何処からとは言わないが、評議会からのものだと分かるだろう。]
少し試したいことがあるんだが、協力してくれるかい?
[もたらされる囁きは、恋人だけに聞こえるよう紡がれる。]
ヤツに屈した振りをして、心臓を届けるんだ。
命令にさえ逆らわなければ、ヤツも無駄に力を使って君を嬲りはしないだろう。
[そこで一旦言葉を切ると、確認するように夜色の瞳を見つめる。
もし勝手な行動を非難されたとしても、評議会など動でもよかった。]
[アレクシスと共に生きていけるなら、地位も領地も必要ない。]
……そう。
それは、そうですよ、ね。
解ってます。
[バランが逃げ仰せたならば、残された子達は厄介な存在となる。そのような指示が出されるのは至極尤もな事だ。]
でも、僕は……。
[死にたくない、主と共に生きていたい。
心は叫ぶ。]
……「試したい」ことなら。
本気でないのなら。
お付き合い、致します。
[彼が何の考えもなしに言うかどうかを考えれば、否だ。
大小様々あれど、必ず“何故”を明確にしてくれるから
ただその言葉を信じ、動くのみだ。]
……どこまでも。
[この行いが自分達に良くない結果を齎す事になろうとも。]
あげる…、ア…レク――
[自ら胸の奥へ手を突き込み、脈打つものを握りしめ、
凶王に縛られし恋人に差し出した。
ただ意識が持ったのはそこまでで。
アレクシスが心臓を受け取ったかどうかを確認することもないまま、瞼を閉じる――。]
大丈夫だアレク。
――君を1人にはしないから。
約束する
[一芝居うつ直前、そう恋人に囁いた。*]
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