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― 辺境の地 ―
[故郷からも、嫁ぎ先からも、遠く離れたその地は、
緑があふれ、風がゆるやかに吹き、
嘗ての場所が夢のように感じられるほど穏やかだった。
稜線に消えゆく朱はやわらかでうつくしく。
傍らの人の頬を照らしていた]
あちら?
[聞こえてきた言葉にきょとんとして返して>>0:74
すぐに故郷と、兄と慕う人の凛とした姿を思い浮かべて
その顔に微笑みが浮かんだ]
あら。
私は、あなたのお側でしたら、
そこが何処でも一番素敵な場所ですのに。
例え其処が地獄だとしても。
[茶目っけを含ませた笑顔で応えた。
胸に染みいるような柔らかい眼差し。>>0:75
祖国を裏切っても欲しかったものが、
今、こうして――
彼の腕の中に引き寄せられながら、
両手をそっと伸ばして、彼の頬をてのひらで包む]
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