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― 王の間 ―
[わたしはその発表>>3を聞いた時、上官であるアイリ総督の背後に控えていた。
ゾネス要塞にも届いた国王陛下の訃報に、急いで王都へ駆けつけるアイリ総督の護衛任務を担っているからだ。
空になった玉座の前で、尚書長官が”王位継承者”の名を読み上げる]
……!
[その名前は、予想に反していた。
一ヵ月前にお使いで王宮に出向いた時の事、直接対面したフェリクス王子は噂に聞く人格者そのものだった。
身分隔てなく接し、あの時その場にいた宮廷画家と自分の身を案じてくれた。>>11
尉官といえば、士官の中でも最下位クラスだ。
普段であれば、王子と直接言葉を交わす機会など、まず訪れない方で、身分は雲泥の差だというのに。
正に王たるにふさわしいと思ったから、わたしは内心で”やっかいだな”なんて思っていたのだけど]
[発表を受けて、周囲に動揺が走る。
わたしたちが居るのは、フェリクス王子に近い。彼の支持者が多い軍属たちは一斉に動揺し、ざわめき始めた。
わたしの目の前に居る上官も、あからさまに動揺をしている。>>10
(……あぁ、かわいそうなくらい震えてる)
その様子を見守る目がすっと細まる。
震えている肩に手を置いてあげたくなったけど、身の程をわきまえているから思うだけに留めておくわ]
……しかし、そのような文書。
王の判が押されているとして、本物かどうか分からないじゃない。
偽装しようと思えばいくらでもできるでしょう?
だって、陛下はもう亡くなったのだから。
[声を高らかに上げるようなことはしない。
思わず独り言が漏れた、という程度に留めておく。しかし、わたしの傍に居た同僚や軍属たちは、その声を拾うと得心したのか、次々とうなずいて同意を示し始めた。
口々に”その文書は偽物だ!”と騒ぎ立てる。
おそらく、フェリクス王子がその場を収めるまで、喧噪は広がるのかもしれない。
疑念は瞬く間に広がっていく。
まるで、水面に投じた一石が、大きな渦を生み、巻くように。*]
― どこか ―
これは、チャンスが訪れた、とみていいのかしら…。
[国王の訃報に、国中が混乱している。
その喧噪は民の不安をあおるものだが、わたしの耳には心地よく響いた。
もっと騒げ。
もっと取り乱せ。
我を失い、仲間を疑い、殺し合うといい。
怒り、悲しみ、絶望に心が塞がれた頃合いに迎え入れる。
あの崖を越えて、かつては不落といわれた北の要塞を抜けて]
あのお方が、この国の救世主になるの。
みんな、喜んで王に迎えると思うわ…。
[目を閉じて、瞼の裏にその光景を思い浮かべて……わたしはうっとりと微笑んだ。*]
― 王の間 ―
[わたしの独り言は上官の耳にも入って、肘で小突かれ窘められる。>>70]
…はっ、失礼しました。
[直ぐに詫びて口を閉ざす。しかし、一石投じた後の波紋は広がり、さざ波が幾重にも重なるように不満の声は高まっていく。
結局のところ、一度はわたしを窘めたアイリ様だって>>71、フェリクス王子ご本人だって>>81、決定は飲めないといった反論を出した]
(文書の真偽)
(それが真と結果が出れば、フェリクス王子は決定を飲むそうだけど)
(けれど、そんなに簡単に分かるものかしらね)
[疑心が一度芽生えてしまえば、自分が納得のいく結果が得られるまで、常に疑いは繰り返すもの。
幸いにして、王子二人の主張をはじめ、文書の検証を分担するやり取りまでを聞く限り、互いに譲らずの状態はしばらく続くだろうか]
[ようやく議論が落ち着いて戻ってくる上官>>137に、わたしは背後からそっと声をかける]
お疲れ様です。
何とかなりそうですね。
…実を言うと、今ほどアレクシス参謀総長が頼もしいと思った事はございません。
[彼のサボリの常習犯の噂は、末端士官であるわたしも何度か耳にした事がある。
しかし、その評判があっても今の地位にあるという事は、相応の能力があるからだろう。
軽く笑みを含ませながら、柔らかい声で続ける]
きっと、真実を突き留めてくださいますよ。
[上官の言葉を繰り返し、心に寄り添うように同意を示す。
言葉に込められた本当の期待は、真実を暴くという部分ではない。文書が偽証されたもので、フェリクス王子を玉座に近づける結果が出ることだ、とわかった上で]
[一方でシュナウザー監査局長からは、これまでの流れから見ると、逆の結果が出る可能性が高い。
互いの立場の意見が、再び真向からぶつかる。
……それでいい。
玉座は出来るだけ長く、空けておきたいもの。
その状態が続くほど、国力は弱っていくものだから。*]
/*
なんか、自分で自分を労ってるみたいなサポセンメモ()
ちがうの
フェリクス王子がね、ものすごい頑張ってる風だからね
大変だけど楽しんでる感は伝わってくる気はするけど、無理しちゃだめよ、って言いたかったの
― 回想・白狼館 ―
まさか、総督サマの婚姻パーティまでするとはねぇ…
[その話を初めて聞いた時は、さすがに驚いた。
白狼騎士団は存外、軍務以外の業務を行う事が多い。これも女だけの騎士団ならでは、といったところだろうか。
わたしはアイリ総督の着付けの手伝いを仰せつかった。
総督の親衛隊にいる以上、これまでもちょっとした身の回りのお世話や用使いも頼まれたことはあるが、果たして着付けなんてできるかしら]
[結局、着付け事態は手順を知る同僚に任せ、わたしは髪結いや化粧を施すことにした。
慣れぬドレスを身にまとい気恥ずかしそうな様子は、普段の厳しさや角が取れて、どこかあどけなさのある淑女のよう。
鉄の女と噂されてる上官だけど、このような一面があるのだな、と思わずほっこりとしてしまう。
何かと問うてくる声に、わたしは笑みを交えつつ、同じ言葉を重ねて伝える]
とてもよくお似合いですよ。
大変美しゅうございます。
[準備を整えてラバル卿を迎えた後は、緊急の呼び出しにもすぐに応じられるように、応接間の外、扉の前で待機する。
お相手は王宮で見た事あるような、ないような。
所詮、末端の士官がほとんど関わる事のない御仁だが]
……さっきのアレ、……?
[ラバル卿が応接室に通された時、一瞬だけ胸のポケットあたりがうごめいたような、ないような。>>125
目の錯覚かしら。確かめる間もなく、扉は閉ざされてしまったけれど]
まぁ、何にせよ。
[どのような会話が交わされているかは不明だが、この婚姻、果たしてまとまるのだろうか。結婚をすれば新居を別に構える事になるだろうし、子を宿したとなれば、出産までしばらく休みに入る事も想定される。
そうすれば、総督が要塞を空けている時間も増えて、こちらとしては好都合なのだけれども。*]
/*
なんかモタモタレス作ってたらすごい状況が進んでる気がする
(よまなきゃ)
(しあわせ)
(むらたてみょうりにつきr
― 王の間 ―
[王の間での話し合いは、結論が出たようだ。
任務を言い渡された者たちは、速やかに実行に移っていく。
アイリ総督もこの場を去る事にしたようだ。>>177
どうするかと問われて、わたしは即答する]
アイリ様にお供いたします。
[親衛隊なのだから主に付き従うのは当然だ。
などという雰囲気を出しながら、供をしたい理由は他にもある]
[アイリ総督が持参した構造図>>182
実は持参された図面は、既に数か所が書き換わっている。
図面作成に直接関わった者ならともかく、それ以外の者が見ても、どこが変わったかは分からないだろう。
しかし、この図面通りに戦支度をして向かえば、実際に城に到着してから差異がある事が明らかになるはずだ。
たとえば、城壁の厚さと高さが違う、砲台の数や向きが違う、人員配置の位置や堀の深さが違う、など]
(こんな忌々しい図面、もっと早くに存在を知っていたら抹消していたのに)
[短期間では、誤情報に書き換えるのが精一杯だった。
願わくば攻め入られることがないように、祈るしかないのだけど。
でも、内部でこんなに揉めているのだから、外部侵略なんて考えるヒマはないわよね。]
― 外務長官・執務室 ―
[上官に付き従う事にしたわたしは、共に外務長官の執務室へ向かう事にする。
扉が開いて顔を見せた人物の温和な物言い、態度。先ほど主がやりあった監査局長とは随分と違うと思った。>>193
主の許しがあれば、共に部屋へ通されるかもしれないし、外で待機せよと命じられれば、扉の前に控える事にする。
何にせよ、……できれば図面が外務長官の手に渡らぬよう、祈るしかなかった。**]
/*
あっ、すれちがい…!でも、そろそろ寝ちゃうね。
続きは明日。でも午前中歯医者、午後ドラクエコンサート
あれ、忙しい?←
― 外務長官・執務室 ―
[外務長官の執務室を訪れた目的は、ウェルシュ王子の人柄について尋ねるものだった。>>208
ドロシーとしても、それは知らぬところであり、ぜひ聞きたい内容だった。
フェリクス王子とは一ヵ月前に直接顔合わせの機会があったものの、ウェルシュ王子とはまだ面識がなく、直接言葉を交わした事もない。
末端の士官にとって、王室の人物は基本、直接会えるものではないのだから]
いただきます。
[上官が出された紅茶に手を付けるふりをしているのを横目に見ながら、わたしはカップを持ち上げ、ためらわずにお茶を口に含む。
いきなりの訪問で毒を盛る暇もないだろうし、一応自身は上官の毒見役も兼ねている。
わたしが今すぐここで昏倒したら、文武官の対立の理由が増えるのだろうけど、そのような兆しは起きず、美味しく飲むことができた]
[お茶をいただきながら、二人のやり取りを黙って聞く。
王の間でお姿を拝見したのが初めてだが、外務長官が言う通りの印象を自分も受けた。>>218
武のフェリクス王子とは対極にある文のお方。
非常に聡明で冷静な方なのだと、王の間のやり取りでも十分に推し測る事ができた。
なるほど、先王が後継者を決めあぐねていたのもわかる気がする。
(実際、なぜ今まで決めていなかったのか理由は分からないままだけど)
噂通りの優れた人格と才覚の持主のようだから、やっかいな後継者が一人ではなく、二人なのだと思い知らされて、わたしは思わず溜息を吐きたくなったけどね。
二人の王子の評判を直接落とす事は難しそうだ。
やはり、お互いに主張しあい譲らず、ぶつかりあって共倒れていただかないと]
[腹の中で思考を巡らせながら、目の前に居るフィオンの様子を改めて伺う。
アイリがここを訪ねた目論見通り、やはり目の前の人物はウェルシュ王子と懇意のようだ。
若くして今の地位に昇りつめた超エリート。
外務長官として、自国からすれば頼もしい限り。
外の国から見れば、やっかい極まりない人物。
ウェルシュ王子の周りには、この国の叡智が集まっている]
……。
[眩しい者でも見るように目を細め、わたしは再び手元のカップに目を落とした。**]
[無表情の下に様々な思考を巡らせながら、目の前に居るフィオンの様子を改めて伺う。
アイリがここを訪ねた目論見通り、やはり目の前の人物はウェルシュ王子と懇意のようだ。
若くして今の地位に昇りつめた超エリート。
外務長官として、自国からすれば頼もしい限り。
外の国から見れば、やっかい極まりない人物。
ウェルシュ王子の周りには、この国の叡智が集まっている]
……。
[眩しい者でも見るように目を細め、わたしは再び手元のカップに目を落とした。**]
/*
リーゼロッテはウェルシュ王子と面識あるのだから、直接会いにいけるのになぁ
待たずに動けばいいと思うよ
― 外務長官・執務室 ―
[執務室での対話は続く。
アイリ総督から他にも何か聞くことがあるかと思いきや、あくまでウェルシュ王子の評価についてのみらしい。>>236
外務長官の評価が客観的で公正なようで、信用に足ると思ったのだろう。
(わたしもそう思ってしまった)
また、フェリクス王子が遺書が本物であれば決定に従うともあるので、可能性が残されている以上、現段階では国の内部の人間とは、積極的に対立したいものではないのだと察する。
(でも、当の王子サマは遺言の存在を知らされなかったことを重く見ている>>254、つまり現時点で不信が高まっているのだと思うのだけども)]
[そうして、出してもらいたくなかったものが遂に出されてしまう。>>237
感情が顔に出ないように繕うと、口元を隠していたカップを下ろして図面に目を向けた。
どうやら、書き換えた事には気づかれていない様子で、内心そっと安堵する。
アマ地方はかの国の中でも、唯一といっていい生産性のある地方だ。
しかし、はじめから収穫があったわけではない。
先人たちが荒野を切り開き、耕し、作物が育つように土地を作って来た。
ゾネス地方も地形的条件が異なるにせよ、隣接するアマ地方と同じ産業が行えるはず。
そうなっていないのは、要塞の運営と国境の守りが中心で、産業に人員を費やしていないからに他ならない。
ラメールがそれをしないのは、わざわざ痩せた土地を切り開かなくても、現時点で既に足りているからではないか]
(もう十分持ってるじゃない)
(それなのに、他人が一から頑張って作り上げてきたものを奪おうだなんて)
[先王が侵略に積極的でなかったのも、わざわざ国力を割いてまでして手に入れる必要なしと判断したからではないか?
あちらの唯一の宝物に攻め入れば、その土地に住む民の反感を買う。
民を生かしたままだと、不穏分子を領土内に抱え込むことになる。
ならば殺すか。その場合、うまくやらないと、せっかくの土地が戦火に焦土と化してしまうだろう。
なんて、あくまで一軍人にすぎないわたしの妄想だけれども。
目の前の外交長官なら、そのくらい考えてくれないかな…なんて淡い期待を抱きつつ]
[わたしが思考に意識を囚われている間に、図面は受領されてしまった。
何ともないふりをしながら、お茶を飲み干したカップをソーサーに戻す。その際に、何かあるかと問われてしまった。>>258]
…は、あの…。
[本当はたった今考えていた内容の一部をぶつけてみたいけど、思想の片鱗を見せるのは得策ではないと、急ぎ頭の中を切り替える]
恐れながら、フィオン長官は随分若くていらっしゃるので。
大変有能な方でいらっしゃるのだなぁ、と思っていたのです。
そして、ウェルシュ殿下の御身の周りには、わが国の叡智が集まっているのだなぁ、とつくづく。
そのような噂はかねがね聞いておりましたが、ようやく実感を伴った所です。
[と、先ほど感じたことにすり替え、ごくありきたりな回答を返しておいた。*]
― どこか ―
[不意にかかった声に、わたしはハッとなって振り返った。>>*5
目の前に立つ人物の少女のような容貌、少し特徴的なものの言い方。
覚えている。
しかし、驚いたのは突然の再会ではない。
告げられた内容についてだ]
……一体、何のことかしら?
[しらばっくれても無駄か。相手はすべてお見通しなのかもしれない。
では、彼女は自分の同胞なのか。わたしは確かめないといけない]
…あなた、誰…?
[問に対してこの返しは、なんだか相手を忘れてしまってるような感じだけど。
尋ねているのは、宮廷画家という肩書や、ローレルという名前ではない。
こちらの思考を見透かした、その正体についてだ。*]
― 外務長官・執務室 ―
[アイリ総督から自分を紹介されると>>275、少しだけ胸を張ってから、深々と頭を下げた]
白狼騎士団所属の尉官、ドロシー・ブライアンです。
よろしくお願いいたします。
[以前どこに居たか、などは言わない。簡潔に挨拶をしてから、後に続けるとしたら、そう、例えば]
…紅茶、美味しかったです。
ごちそうさまでした。
[こんな風に。少しだけ微笑んで、そう結んだ。*]
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