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― 地下 ―
ふむ
あれは…独立を控えた若手でも、罪人でもないのだが
[趣味で呼び寄せた無自覚の吸血鬼が城に入った直後>>5、宴の刻限が訪れる]
間に合ったようだね
しかし、あれは来なかったか
[隣人ディーターの名代は。
惜しむように緩やかに瞬き、視線を斜めに下げた]
『蛇の。私達が賭けに負けたと認めよう』
[言の葉を送りながら唇を撓めたのは、隠しもしない笑みの形に]
[舞台役者のするような仕草で、肩を竦めてみせた]
『おや、すぐに払っても私達は構わないが』
[誘いに戯れを返して、だが賭けの勝者に望む権はあろう]
では首を洗って待っていようかな
[地上を透かし見る紅は期待を宿す。
転移を用いず、玄室の扉を吐息で開かせて迷宮を歩き始めた]
― 湯殿 ―
[迷宮と称しても、梟の眼差しは惑うことを知らない。
徒歩で着いた広い浴室には薔薇と香油の霧が満ちている]
…
鴉公、歓迎する
[笑みと共に口にしながら、自らの纏う衣を羽音一つで消す。
しなやかな裸身を浴槽へ滑り入らせ、
淡い湯の中へ紅の翼を広げた]
羽繕い中にて、このような格好で失礼する
貴方も楽しんでくださるだろうね
[この宴は試練の儀式の形骸を保っていながら、遊戯でに他ならない。その性状で名を知られる乱鴉の大公が、度を超えた過干渉さえしないのならば、
拒む理由などどこにもありはしなかった]
ふ、 心のままに
[蛇の戯れ>>+12へ愉しげな吐息を返した]
私達も欲しいな
誰ぞ、血を捧ぐ者を探そうか
[指先で湯を掬い、とろり零す。
湯気に霞む赤毛の先が揺れ、水面へ調律された輪を描いた]
― 湯殿 ―
[浴槽の中で体の向きを変え、縁に頬杖をつく。
婉麗を保ちながら薄く発達した背筋、薄くまとう皓肌の上を、髪から滴る雫が伝う。
湯靄へと濡れた翼を広げた。長駆よりも更に大きい両翼へ、両脇の侍従が手を伸ばす]
私達が良いというまで、念入りにしなさい
[侍従達は羽毛の一つ一つから水を切り、薔薇の香を含ませて羽を揃えていく。
そうして羽繕いを始めながら、梟はとろりと笑んだ]
鴉公…
[どこか嗜めるような口調は、それよりも陶然とした甘さを花開く]
困るな、私達は争事を厭う平和者だというのに
貴方のおはなしは
仔を持たぬ私達には耳に毒だよ
[憧憬を語りながら、口許を片手で隠した>>+22]
そのように美しい愛着のありようを見せられては
羨ましくて…
──その仔から貴方を奪いたくなってしまうだろう?
だからそのように、私達を惑わせてくださるな
愛らしく心配せずとも、アルビンを譲れと強請ったりはすまいよ
[楽しめ、と言いおいて
羽繕いに梟が耽るのと同じ刻、
古城の一角に羽音なく同じ姿が舞い降りた。血を捧げ、宴に華を添える者>>+15を手招いて]
― 倉庫>>71>>72>>73 ―
御機嫌よう、ジャン
[うわべの微笑みに、情感を込めて笑みを返す。
静寂のまま伸ばした腕から見事逃れてみせた仔狐へ偽りなき賛辞を送った]
貴方の父殿も誇りに思われることだ、賢き若者
なに、これもちょっとした演出だよ
ゲームには偶発的事故がつきものだろう?
[狐火が増えていくのを待ちながら、たおやかな指を顎へ宛てがい優しげに笑んだ]
[閃光。かぎ爪が疾り、
床に転がる仔狐は、再び降りた薄闇の帳の下]
…腕から啜れと?
いけないね、興を削ぐような振る舞いは
[差し出された手をとって、爪先にくちづけながら襟を緩めない意図を質す。
答えを聞けば、猛禽の瞳をアーモンド型に丸めた]
おやおや…特別な人? ――愛いことだ
妬けてしまう
ふふ、健気に守ろうとする操を破って泣かせてみたいけれど
[本当に泣くのならやったに違いないが、その程度で折れるほど脆くはあるまい]
では首以外からなら 構わぬのだな?
譲歩するのだから拒絶は許さないよ、ジャン
― 湯殿 ―
[湯に半身を浸かって寛ぐ梟は艶笑を滴らせる。
微睡むように半ば閉ざした瞳を、贄殿の室の方へ向けた]
…ふ。私達の繊細な心が傷つくことだよ?愛の告白をそのように軽やかに躱されては
それとも──誘っておられると理解して良いのか、鴉公
[脅しめかして響いた言の葉>>+27に惹かれずにはいられない。
垣間見せられる執着の純粋さ]
『貴方』を、『その仔』から、奪いたい
冗句ではないと申せば…この舌を引き抜いて、召し上がってくださるか?
[それこそ戯れ言そのものの口調に、甘く霞む媚を含めて]
― 倉庫>>84 ―
[告げた通り、首筋には指すら触れなかった。
仔狐を汚す朱と周囲へ散った飛沫とを瞬き一つで拭い去り、
ぐったりと伏す背へ衣服を投げ渡す。
人型を保てる程度には残した。起きれば自ら整えるだろう]
…根源の渇きは、本質を照らす
貴方も見せてくれるな
[曝させた膚を辿り、胸の柘榴を牙で暴き、肢体の芯から直に血を奪った。
急ぐ狩りではないからと、時間かけて反応を引き出し、血肉を荒らした共喰らい。
去り際、
とても美味しかった、と囁く声は慈しみすら覗かせて**]
— 湯殿 —
[口許を覆っていた手の平の間から、低く声が漏れた]
ふ…。私達の血潮などは、とても贄殿には及ぶまい?
[届いた水音>>+32に重ねるよう、浴槽から立ち上がる。
古城の倉庫へ蛇の血子を置いて去ったのと同じ刻]
お前達、もう良い。下がれ
[侍従へ告げて、美しく整えられた翼を幾度か空撃ちした]
折角の宴だ
私達も存分に楽しもう
[滑らかな彫刻のような裸身を晒すまま、湯殿のカウチへしなだれる。
指の間に薄いガーネットのグラスを生み出して、そこへ血の紅を注いだ*]
— 湯殿 —
なかなかに、美しい物語が見えるね
[期待した通りに。
カウチに寝そべる紅は、湯煙に投影されて移り変わる朧な映像を眺めてグラスの血を舐める]
しかしあの滑り台は実に素晴らしい
思いついたのは誰だね?まったく、才能であるよ
— 湯殿 —
[霧が濃密さを増し>>+42、そこに映っていた映像を滲ませて現れた姿。
紅はゆるゆる眉を上げた]
えも言われぬ佳景よ、蛇の
[白のうすぎぬを指して囁く。
カウチに寝そべる紅が着るのは、浴湯に混ぜた淡い香油の薫のみ]
感想?…つぶさに見ておられたのではないのかな?
言うまでもなく──素晴らしかったが
[揶揄う声も柔らかい。
手にしたガーネットのグラス、底に僅か溜まった仔狐の血を口へ含んだ]
[白の波がさざ寄せて、紅との輪郭を蒙昧とする]
直に確かめたいか
…それは賭けの代として?
それとも──お願いなのかな
[愉悦含む唇は、言葉に導かれるまま
狐と交わした熱を思い返して、あかく艶を増す]
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