情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
[邪魔をしちゃったよね、と肩を落とす風情のハンスに、]
わたしの術は、周囲を巻き込む。
側に来ない方が賢明です。
[やんわりと警告をしておいた。]
− 泉と噴水のある広場 −
[しばらくそうして休んでいたが、]
…薬屋を探しだす。
[魔導書の新たな指示を読みあげ、フラつきながら立ち上がった。]
[路地を一本入った先、入り口にハーブのリースを下げているのが目的の店だった。
解錠の呪文を唱え、工房へ入り込む。
壁に渡されたロープに数多の薬の材料が吊るされていた。
植物の根や動物の角、瓶詰めにされた得体の知れないものたち。
死霊術を使ったら、何が動き出すことやら。
だが、ここへ来た目的はひからびた死骸を手に入れることではなかった。
竈に火を入れて、魔導書の指示するままに薬の調合を始める。]
[ゲルトとハンスの会話に割り込むつもりはなかったけれど──]
…ゲルトは
[宇宙といったらそれしかないだろう。]
人間に知られたら天界追放なのか?
[ゲルトのやっちゃった感はそう解釈して、]
──言いふらしたりは しない。
[フォローしたつもり。]
これは… 金剛薬──
[自分が作っていたものを理解して、眉をひそめた。
飲んだ者に一度的な能力ブーストを与える薬だ。
聞こえはいいが、筋力増強で外観は歪むし、耐久力があがるといっても痛覚を麻痺させているだけ。
そしてフィードバックも激しい劇薬である。]
これを、 誰に使う…?
[オリーブ色の丸薬は袖口に忍ばせておいて、熱冷ましの煎じ薬を飲んだ。
頭がクラクラするのは熱のせいばかりではあるまい。
ゲルトの正体とかいろいろ──あるのだった。]
好きに── してくれていいですよ。
[こちらに来ようと来まいと、巻き込まれようとどうしようと、怒りはしないとハンスに伝える。>>~90]
あなたでも超人になれる薬ができましたけど、要ります?
副作用も強いけれど。
[怪しい薬など要らないと言われると予測していた。
それでも、実際にそう言われてみると、拒絶の言葉は思っていたよりも重く刺さる。
ハンスが貫きたかったのは「自分自身の力を信じた答えじゃないと意味がない」という彼の信念だろう。
申し出の拒絶ありきではない。ただ──]
…く、
[距離を計りそこねた、と取ってしまう自分は疲れているんだろう。
記憶が戻らないのも、地味に消耗を強いる。]
[とりあえず、ここは静かで、暖をとる火もある。]
…少し、 眠ってもいいだろうか、
[魔導書に浮かんだ侵入者感知の魔法を施してから、ベリアンは作業机に伏せた。**]
[仕掛けておいた魔法が侵入者の存在を知らせた。
ベリアンは目を覚まし、自分が座っていた場所に麻袋の束を乗せて目くらましの呪文を唱える。
侵入者にはベリアンがそこにいると見せかけるように。
そうして自分は物陰に身をひそめた。
ほどなく、部屋に入ってきたのはハンスだった。
彼は”机に打つ伏しているように見える”ベリアンの身体に手をかけ揺さぶって「しっかりしろよ」と呼びかける。
暗殺するつもりならそんなことはすまい。他に誰かつれてきている様子もなかった。]
──ハンス、
[物陰から姿を表して呼びかける。]
死体と思ってもむやみに触れない方がいい。
それが屍鬼だったら、君もただではすまない。
眠っていた。
[ゲルトにも事情を伝えるように、こちらで声を発する。
あちらから話しかけても反応がなくなったから心配してハンスが様子を見に来たのだろうと解釈している。
眠いと言ったらゲルトに「それ、ひとの台詞」と言われたのを思い出しつつ、実際寝たら寝込みを襲撃されるのだなと妙な理解に至ったりして。]
[ハンスは、目くらましの術を率直に受け取ったのを根にもっている様子だ。
騙したのか、と問い詰めるハンスから身を引いて指を鳴らし、目くらましを消す。]
ここは、油断のならない世界だ。
無防備に眠るわけにはいかない──自衛しなくては。
[その一方で、ハンスはベリアンの体調を案じる視線を向けてくる。]
この通り、治療は済ませている。
[それを確認すると、ハンスは、「まだ回ってない所あるから」と手を振って去っていった。
フットワーク軽く、有言実行は結構なことだが──]
…! ──っ
[手を伸ばすも、掴んだのは極細い糸のみ。
ベリアンの指先でキラリと光り、溶けてしまう。]
…尾けられたな、
ハンス、 わたし以外で、誰か魔法を使う者と会っただろう?
君の身体に、何か魔術の種が仕掛けられている可能性がある。
温泉にでも行って、調べてみることをお勧めする。
[とりあえず、ハンスに警告は発した。
自分もここを離れるべきだろう。ここでの用事は済ませた。]
一二三四五六七八九十瓊音…
− ピアノのあるサロン −
[室内から転移した先は、やはり室内で、大理石の床が冷たく映える静謐に満たされた場所だった。
部屋の中央には大型の
一歩踏み出した瞬間──トラップが発動した。>>55>>56]
──…!
[氷の礫が打ち出され、中でも凶暴なアイスピックが、守りの印を結ぼうと掲げた掌を貫通する。]
──…、 くは、 ぁ…
[大理石の床に鮮やかな色を滴らせながら、膝を突いて歯を食いしばる。]
[魔法による罠だ、ということは見抜いていた。]
──やって、 くれましたね。
[賞賛の気持ちと苛立ちと苦痛とで唇が歪む。笑みの形に。
ただちに、無事な方の手で魔導書を繰り、必要な呪文を求めた。]
[示された術式にわずかに眉を寄せるも、手近に落ちている罠の一部──氷の破片を水晶の代わりに用いるべく拾い上げた。]
マナよ。万能なる
万物を形成する汝の力もて、これなる力の源を現さん。
在るべき者を我に指し示せ。
[詠み上げるのは、この場に残された魔力を辿り、罠を仕掛けた術者を逆探知する論理魔法。
弾いた氷の欠片は、目指すものに触れればリンと澄んだ音を奏でるはず。]
[論理魔術により奏でられるその音は、術者は元より探しあてられた当人にも響くのが欠点なのだが──ここで、それに加えて、反呪も上乗せした。
術者を発見次第、そのまま攻撃する時間差の術。]
彷徨える光よ、我が敵を滅ぼす刃となれ。
────奔れ!
[論理魔法はあまり得手ではないものの──仕返しにはこれが一番効果的だと感じている。]
この程度で、 終わりになる相手ではないでしょう?
[術の行使と失血とで消耗した身体をピアノの椅子に預ける。
残った氷を使って傷の手当をしながら、反呪した相手が来るのを待ってもいい気になっていた。
床に零れた血はそのままに、水溶性の触媒をいくつか投げ入れておく。
相手に使われる可能性もあるが、何が溶かしてあるのか知らなければ使いこなすのは難しかろうと。**]
[手に包帯を巻き付け終わり、再び魔導書を抱える。]
…何故だか、氷を見ていると苛立ちを覚えるんです。
[誰にともなく呟く。
先ほどのトラップで服といい肌といい、あちこち切り裂いたから、というばかりではない。
もっとこう、根深いものだ。 焦燥にも似た。]
──…、
[床に散った破片をゲシゲシと踏みにじる。
砕けてなお鋭利な輝きを見つめ、深く息を吸い込んだ。]
《奈落の書》の運び手 ベリアンは、魔法騎士 シェットラント を能力(誘う)の対象に選びました。
更新まで@100分なので、仮セットしておくよ…!
更新してから会うかもだけど、頑張らせていただきますので…!
[氷を苛めている時、ハンスから震える声が届く。
だいたい、先に警告しておいたことが悪い結果となって現われたということだろう。]
仕掛けられたのは、多分、君に魔法の知識がないからでしょう。
知らなければ対処もしようがない。
おそらく、仕掛けは一度きりです。
今は、何もついていないと思いますよ。
心配なら、後で調べてあげます。
今は── 忙しくなりそうなので。
[何かに耳を傾ける様子で、端的に話を切り上げた。]
[リンと、水晶代わりの氷が鳴る。
術者の居場所を突き止めたのだ。]
──来るか。
[反呪は成功したか、どれだけ手ひどくやられたろうと、非情な興味をもって見やる。
転移の光とともに現われたのは、金髪の若者だった。
ゲルトとそっくりのアイスブルーの目をしている。]
[予想どおり、相手は手傷を負っていた。
だが、そんなことより──]
おまえは──…
[声が続かなかった。
記憶の封印が軋む。
思い出したくないのと、取り戻したいのと。]
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新