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11人目、帝国軍大尉 カレル が参加しました。
帝国軍大尉 カレルは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
─ 4年前/卒業パーティーのあと ─
[大勢の候補生たちで賑わっていたパーティー会場も、今は人もまばらだった。
中央に置かれたケーキの名残と、隅に片づけられた花火の燃えかすが寂しさを増している。
来年は、誰かケーキを焼くだろうか。誰かが花火を打ち上げるだろうか。
思いは募れども、もう、自分はここにはいられないのだ。]
なあ、レト───
[近づいてきた気配の方へ、顔を向ける。
8年という時間、最大のライバルで在り続けた友を、見る。]
俺さ。
卒業したら、戦地に行くのが決まってるんだ。
もしかしたら死ぬかもしれないし、
そもそも国が違ったらずっと逢えなくなるだろうから───
[カレルの卒業に遡ること1年。
トゥーレーヌ侯爵家に新しい当主が立ったという報は、
帝国上流社会を賑わせた。
侯爵家が年若き当主を戴くことを
対立する者たちは大いに歓迎する。
その中に、ブラオクヴェレ家の支援者たちも含まれていた。
彼らは侯爵家の新当主を未だ無知な孺子と侮り、
ここぞとばかりに追い落としを企てた。
だが彼らの目論見は外れ、企てはことごとく潰える。
加担した者たちは次々と閑職に追いやられた。
ブラオクヴェレ家自身は企てに加わわらなかったが、
支援者たちが凋落した影響を免れ得なかった。
結果、その一人息子は辺境の戦地を渡り歩くこととなる。
公国との戦端が開かれれば、当然のように最前線へと赴いた。
武勲を立て、帝国に忠心を示し、政界に野心無しと見せる。
全ては、"家"のため。]
─ 帝国軍拠点 ─
[回想から心を引き戻し、近づいてくる土煙を待ち受ける。]
武門の名家に相応しい功績を。
当主を継ぐに相応しい力量を示して、 …。
… 名家の義務から、逃げないこと。
[呪文のように口にするのは、母たる女男爵に言い聞かされた言葉。
それと、自分を律してきた文言。
近づくものたちの顔が判別できるほどの距離になれば
呟きをやめ、直立不動で敬礼した。]
お待ちしておりました閣下。
カレル・フォン・ブラオクヴェレ大尉及び部隊一同、
これより閣下の麾下に合流いたします。
[かつての政敵に膝を折って恭順を示すこと。
でも、もし 。
母親が呑み込んだ言葉を同様に呑み込んで、唇を引き結んだ**]
― 帝国軍拠点 ―
[騎馬の軍を率いてやってきた公爵家の当主は、
…ずいぶんと懐かしい顔をしていた。
傍らに、かつての恩師にして共同生活者を見つければ、
表情の選択に困ったような顔になる。
懐かしいと思えば良いのか、こんなところでと驚けば良いのか。
シロウに目線だけで一礼し、近寄ってくるリエヴルへと向き直る。]
自分と共に転戦してきた兵たちです。
閣下のお役に立てるかと思います。
[よろしく頼む、との言葉に再度背筋を正す。
率いる兵は少数ながら装備は良い。
騎兵ではあったが、歩兵としても運用できる部隊だった。]
[馬から下りたリエヴルの誘いに、さらに当惑の表情となる。]
閣下…、ですが、
[この人の紅茶は今もきっとおいしいんだろうな。
そんな思考が明らかに顔に映ったものの、]
自分にはもったいないお言葉です。
[一歩引いて、辞退の意を伝える。
取り入ろうとしている、と見られるのを怖れる態度だった。]
はっ。
では早速そのように。
[リエヴルの呟きは聞き取るには遠すぎ、
ただ、心のどこかが感応して表情に陰が落ちる。
自分ではそれに気付くこともないまま、依頼を承諾し、
───次のリエヴルの行動には軽く目を見開いた。]
閣下!
…その、 ───お気をつけて。
[止めるべきだったろう。或いは供をするべきと。
だが、心に刺さる棘が見送ることを選択させた。
リエヴル個人に恨みはない。
むしろ、会えば未だに敬愛すべき先輩だと思い知ったばかり。
心を縛るのは、"家"の重さだった。
駆け去るリエヴルを敬礼で見送ったあと、
部下に指示し、リエヴルの隊との軽い打ち合わせに入る**]
― 帝国軍前進拠点 ―
[リエヴルとシロウがかつての士官学校方面へ出かけていく。
それを見送った後、もろもろを部下に任せて自分も少し外へ出た。
と言っても、兵たちの声が遠くなる程度。
荒廃したシュヴァルベの大地に視線を注ぎ、
ゆっくりと、長く、息を吐き出した。]
もしも、閣下が公国の凶弾に斃れることがあったら、
……帝国は負けるかな。
[だとしたら、見送った自分の責が問われるだろうか。
問う者もいなくなるかもしれないけれど。]
…せんせいが一緒なら、万が一もない、か。
[浮かんだ疑問の手前で否定材料を見つけ、自嘲ぎみに笑う。
撫でられた髪>>299 に手をやって、視線を遠くした。]
せんせいが、危なくなければ、だけど。
[昔から得体の知れないところがある人だったけれど、
今は底知れないものになっている。
笑みを浮かべない目を思い出して、ひとつ喉を鳴らした。
撫でられて心が竦んだのを、見透かされはしなかっただろうか。]
[緩く首を振って、怯えを追い払う。
自分は、軍人で、命じられたことをこなしていればいい。
なにも、考えることはない。
自分や、かつての仲間や師が変わっていようとも、
美しかったシュヴァルベが荒れ果てていこうとも、
ただ、国のために、家のために戦うのみだ。
そう自分に言い聞かせはしても、
荒漠たる大地のさまを眺めれば、心は沈んだ。]
戦って、勝って、───それからどうなる?
[国は守られ、民は安堵し、家は再び権勢を取り戻すだろう。
───おそらくは。
けれども、愛したシュヴァルベは戻ってこない。
勝っても、負けても。]
……全てを、シュヴァルベに。
[かつて、年下の友と共感し、年上の兄弟子に告げた言葉。
砂糖菓子よりも甘い夢は、軍靴に砕けてしまったけれど。]
諦めた、訳じゃない。
諦めた時が、本当に壊れるときだから。
だから、まだ壊れちゃいない。
[その場所へ至る道どころか、糸口さえも見えない理想を
指が白くなるほどの拳に握りしめて、低く呟いた。**]
― 帝国軍前進拠点・執務室 ―
ブラオクヴェレ大尉、参りました。
[呼び出された>>628 執務室の前で声を上げ、敬礼する。
許可あれば入室し、背を伸ばしてリエヴルの言葉を聞いた。
帝国軍技術局主席の代理が到着した、との報は聞いていた。
その姓名も、護衛の士官の名も共に。
同時に、技術局主導による奇襲作戦の概略も、耳にはしていた。]
兵の準備は問題ありません。
自分の隊であれば、いつでも出られます。
[淡々とした命令にに、こちらも感情を差し挟まない声で答える。
兵の増員は、謝意と共に辞退した。
手勢は決して多いとは言えないが、気心知れている。
馴染みのない兵を指揮するよりも
少数ながら既知の兵で固めた方が良いとの判断だった。]
[硬い音をたてて置かれた通信機に視線を注ぐ。
口の中が乾いていくのを感じた。]
───閣下の信頼に、必ずお応えしてみせましょう。
[敬礼とともに告げた言葉は、自分でもわかるほど空疎だった。
迷い、躊躇い、自分の望む道すら見えないまま
ただ機械的に動いているだけの自分に、"信頼"が相応しいのか。
答えの見いだせぬまま、通信機を受け取る**]
[作戦を指揮する隊長を見て、口の端をほんのり上げる。
飄々としてなんでも軽やかにこなしていた"弟弟子"
彼の活躍は聞いていたし、実力も知っている。
きっと、奇襲作戦を成功させて帰って来るだろう。
カサンドラが開発したという魔導兵器もある。
きっとうまくいく。
出発する兵士たちを見送り、武運を祈る。
彼が、ソマリが"誰"を襲撃に行くのかは、知らぬまま。]
[自分の隊は、いつでも出発できる状態で待機させてある。
作戦が失敗した時、
或いは奇襲部隊が大規模な追撃を受けた時、
すぐにでも援護に駆けつけられるように。
魔導兵器をこの目で見られないのは残念だけれども、
あまり、この拠点を手薄にするわけにもいかない。
必要なら連絡があるはずだ、と胸元の通信機に触れた。]
[部隊に待機を命じている以上、自分も休むわけにはいかない。
仮に休んで良いといわれても、眠れる気はしなかった。
奇襲部隊の熱気の余波に、胸が燻っている。
気を静めようと拠点の中を歩き回っていると、
遠くに、知っている姿を見つけた。]
ウェルシュ、 …。
[彼もここに来たのだなぁ、という何気ない思いが、
裏で糸引く人物の意図へと自然に向いたのに気付き、
苦い顔で思考を打ち切った。]
[彼の後ろにいるロスチャイルド女伯爵は、
母に言わせれば、"下品な女狐"であった。
伝統的で正統な──と母が自称する──
武門の家であるブラオクヴェレ家と比べれば、
ロスチャイルド家は革新的で効率的な手腕を取る。
その差が、今のウェルシュと自分の階級に表れている。
そうも思うが、単純に能力の差なのだろう、と思考を止める。
士官学校を出て国元に帰って以来、煮え切らない自分に比べ、
ウェルシュはいくつもの作戦を果断にこなしていた。]
……そういえば、ソマリ先輩の後ろも
[これでは、またうちとあちらの差は開くな、と
自嘲の笑みを唇に乗せた。]
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