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消耗戦を強いられたゼファー軍は、動かせる全兵力をもっての総攻撃を敢行する。対する王国軍は、野営地に兵力を集めてこれを迎え撃った。
一連の戦闘の中で最大規模の戦いが行われている一方で、総司令官同士の密談が為されていたという記述が、或る兵士の回顧録に残されている―――
─── Nigel Buhler 『カーマルグ半島騒乱記』第六章
───かくして、短くも激しくあった両軍の戦いは、ここに終結を迎えた。
この時、両軍の総司令官の間で何が語られたのは記録に残らず、推測するしかない。だがこの会談は決して敵対的なだけのものではなかったと、筆者は信じるところである。
─── Nigel Buhler『カーマルグ半島騒乱記』第六章二部
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皆様連日お疲れ様でした。
これにて物語の〆といたしまして、以降独り言での雑談等解禁いたします。墓下の皆様も、お待たせいたしました。
それと、みなさん健康してね☆
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さて。
半端な時間ですが書きあがりましたし、寝てしまうといけないので落としてしまいましょうね。
カーマルグ地方は豊かな海の幸と様々な名産品で知られる半島です。ここを訪れる旅人は、様々な郷土料理を味わうことができるでしょう。
この地方の中心都市であるトルーンには、海賊退治の伝説が残されています。
かつてトルーンが海賊の大軍に襲われた時、白い鳥に導かれた勇者が現れて人々を率いて戦い、見事に海賊たちを追い払いました。以来、その勇者に倣ってトルーンの人々は羽根の形をした銀の飾りを身に着け、いざとなれば町を守るという気概を示す習わしになったということです。
─── Gerben de Bock 『旅のしおり:プラメージ地方』
黒の双翼、とのみ文献に記される人物がいる。
仔細は記されないが、私生児であるとか寵姫であるとか、文献によってその立場は様々に描かれており、どのような人物であったかは判然としない。
おそらくこれらの文献は後世になって書かれたものであり、多くの伝聞や異説が入り混じっているものと思われる。
これらの文献の中でも、最も古いと思われる書物には、こう記されている。
"黒の双翼は赤の身体と分かちがたく一対のものであった。"
─── Firmin Darasse 『人物記・補遺』
氷血の怪とは、音もなく背後に現れ、あるいは遙か遠くから思いもよらない速さで近づいてきて、触れた者を凍らせるという怪異であり、多くは成人男性の姿を取っているという。
実はこの怪異にはモデルとされる人物がいる。氷血将軍と通称されているこの人物は、氷の上をすべるように地面を歩き、敵味方ともにその視線で凍り付かせたとされている。
この人物の隣には炎を纏った人間が描かれることも多く、常に互いを傷つけあう存在だったとも、隣にいる時だけ互いに穏やかになったとも言われている。
─── Stefan Meyer 『世界怪異事典』
数多ある神の御子のうち、彼こそが最も光り輝く者であった。
サフランのように鮮やかな髪も乳香のように白く香る手足もすべては女神の祝福を受けて眩い光を湛えていた。
芸術の神より才を与えられていた彼は、戦神の知恵をもその身に宿していた。
彼が天へ召される時には、草木も項垂れ神殿も暗く沈んで別れを惜しんだが、彼の姿が天に輝くと、全ては再び光に満ちて喜びを謳った。
─── 『聖典』
軍事を基幹としていたゼファーは、この時代を境に徐々に体質を変えていく。諸外国との交流を積極的に行い技術を取り入れたゼファーは、この頃から人口を増やし始めている。また女性の社会進出が進んだのも同じ時代であり、この年の前後に元首となった人物が改革を推し進めたとみられている。
この元首の妻とされる人物の姿も残されており、小柄ながら活力にあふれた女性だったと、とある文献に記されている。
─── Balduin Rundstedt 『古代史の扉』
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やはりもう少し頭が働いている時に書くべきでしたね。
お目汚しですが、歴史家より愛を込めて。
何しろ後世なので、いろいろな伝わり方をしているようです。
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さて。本来ならばぎりぎりに落とすいつものあれですが、さすがにもう寝るので、ほろりと落としてしまいましょう。
戦火を潜り抜けたカーマルグに、翌年もまた海賊の襲撃があったと記録が残されている。この時は義勇兵を中心にして、王国の兵とゼファーの兵が肩を並べて戦ったと記されている。
カーマルグ半島にはこの後、独立の機運が生まれるが、独立以前も以後も、変わらずプラメージ王国とゼファーとの懸け橋であり続けた。
─── Nigel Buhler 『カーマルグ半島騒乱記』終章
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