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息子へ。
この手紙を読んだなら、すぐに燃やしてほしい。
すぐに、確実に灰にするように。
私は幼少の頃より、かの尊き御方の恩を受けていたものだ。
野外でのティータイムの折り、私にビスケットを渡してくれた
白く美しい指は、今でも私の目に焼き付いている。
あの御方の忘れ形見が亡くなったと聞いたときには
あの御方を再び失ったようにも思い、大いに嘆いたものだ。
そのご子息が実は ───いや、それはよそう。
ともかく私はこれより出奔する。家督はおまえが継ぎなさい。
私は釣りの時に海に落ちたまま、行方不明としておくように。
元気で。体に気を付けなさい。
p.s.戸棚にあったレバーパテの缶はもらっていく。
───ある貴族が残した手紙。今は無い。
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