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あいつが希望だっていうから従ったし、
あいつが救ってくれるって言うから耐えてきたんだ。
けど、これじゃ今までと変わらないどころか
もっとひどくなってるじゃないか。
どっかに本当の救世主はいないのかよ。くそっ。
───壕の壁に刻まれた落書き
馬鹿だな。
俺達みんなが救世主になるんだよ。
あの方は、道標なんだ。
俺たちが迷わないように、先頭で照らしてくださってるんだ。
だから俺たちが後に続いて、あの方を支えるんだよ。
───その下に彫られていた落書き
魔界の悪魔と人間との友好的な交流、などという世迷言を信じるものはいるだろうか。
魔界の生き物はすべからく悪逆非道で、残客な行為を好み、人間を家畜以下のものとしか見ていない、というのが通説である。
しかし、ここにいくつか興味深い事例がある。
洪水から村を守った巨人の話、
助けられた礼に自分の身を削って尽くした鳥人の話、
遭難した人間を助けた上に、妻となった氷魔の話、
盗賊や魔物から幾度も人々を助けた鎌持つ魔の話、などだ。
あるいは、魔界の住人の中にも心優しきもの、善の心を持つものがいるのかもしれない。
そういう魔と交流を持つことが叶うならば、戦いではなく対話によって世界を平和に導くことができるかもしれない。
いずれは、人と魔の子供が普通に暮らす世の中が───
───禁書の書架に眠る名もなき書
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