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[祠の破壊と同時に、封じられていた魔力が膨れ上がる。
剣をもってそれを押さえこみ、爆発的な解放は防いだが、度重なる負荷に耐えかねて、ついに剣は半ばから折れた。]
く っ ……
[反動をまともに受けて膝をつく。
その眼前に、場違いに澄んだ音を立てて鍵が落ちてきた。*]
私としたことが、
無様を晒した、な。
[横ざまに身体を倒し、仰向けに手足を開く。
衝撃に打たれた全身が、まだ痺れていた。
けれども、空を見上げる顔は晴れやかだ。]
そう。始まりだとも。
ここから、始めよう。
[帯から鞘を抜いて、傍らに置く。]
まずはここから出ることだが、
[鞘の肌を撫でてから、おもむろに自分の手首を噛み裂いた。]
力が足りない。歩けない。
早く人の形になっておくれ。
[吸血鬼の血こそ魔力の源。
溢れる濃い赤を、鞘に注ぎかける。]
[要請通り、人の形を再生した彼の腕が、身体を掬い上げる。
脱力にかこつけて彼の肩に頭を預け、顔を間近に見上げた。
瞳の中に、同じ色がある。
繋がりの証のようで、嬉しい。]
まだ、おまえの真名を聞いていない。
[不意に、問いともつかない言葉を投げた。
手に入れた鍵を使えば元の場所に戻れるだろう。
けれども、この赤い月の下で、聞いてみたかった。*]
もう…?
[見ているはず、という口が紡いだのは、古い言葉の響き。
ああ── と理解の息を吐く。]
あれは、おまえの名でもあったのか。
[理解と共にその来歴へと思い馳せたが、それもごくわずかな間のこと。
促されれば微笑んで、彼の首に腕を回した。]
[自分の唇から音が滑り出すと共に、胸の裡に熱が点る。
硬質な殻を持ちながら、包み込むように柔らかい。
彼そのものの形。
よろめいた彼の腕の中で短い墜落感と拘束感を味わう。
笑い声をあげて彼の首にしがみ付いた。
この身に備わる高い回復力は、既に先の痛手をほぼ癒している。
動くのに支障は無いのだが、今しばらくはこうしていよう。]
[真名を問われて笑み深くする。]
名乗り交わすのは、契りの作法だな。
[はるか昔の風習を持ち出すが、長き時を生きてきた身にとっては未だに有効な習俗であった。]
共に、帰ろう。
[
それを失わせたのは私のせいだ。
責任は取るとも。
[名を交わし、血を分け与えた縁はもう切れない。
微笑みで、それを証立てた。*]
/*
うちの子可愛いうちの子可愛い。
もううちの子って呼んでいいかな。いいよね。
名前ルーキスの方だったら強制改名させてるに違いないよ。
/*
白ログは相方のためのものだけれども、他ペアと交流できる囁きがある、というくらいが一番好みの塩梅かもしれない。
[軽口の口調で問われたが、己にとっては存在の根幹に関わる。
刹那の真顔が緩やかにほどけ緩んで、魂まで蕩かさんとする笑みに変わった。]
私に、そんなことを聞くのかい?
[彼の首に回した手指が髪の間に入り込む。
肩を抱く手が耳を、顎のラインを、喉仏をついと辿る。]
私はおまえの全てを求める。
この人型の愛おしさも、
鞘であるおまえの美しさも、
おまえが持つ力も、なにもかも、
全てが、欲しい。
[己にとって、求めるということはそういうことだと、
白皙の下に熱情を透かして、告白する。*]
[魂の共鳴が血脈の漣となって身体を巡る。
血を分け与えて作られた人型は眷属にも等しい。
いずれは彼本体もそうなるだろうか。
それは心躍る未來である気がした。]
では、"さきほどの続き"をするかい?
[響き合い舞い上がる心のまま、そんな誘いも掛ける。
背を伝わせて腰骨を弾いた指先を、そのまま下へと滑らせた。]
[と、そこへ小さな皮翼が降りてくる。
いつのまにかどこかへ行っていた使い魔が、にゃあとなにかを訴えてきた。]
そろそろ帰って、美味しいものが欲しいそうだ。
鍵は、おそらくどこででも使えるだろうが、
なにかやり残していることはないかい?
[使い魔が咥えてきた鍵を手の中で転がしながら、問いかける。*]
おまえに逮捕されるなら歓迎だ。
こんな風に縛ってくれるのかい?
[嬉々として言って首に抱きつき、首の向こうで手首をクロスさせる。
ついでとばかりに首筋に口付けたところで、あ、と息を零した。]
まだおまえに印をつけていない。
[重大なことだというような顔をする。]
鍵を使った先でなにかあるといけない。
この場でつけてしまおう。
降ろしておくれ。*
[降ろしてほしいとと頼んでおきながら、腕は首に回したまま。
足が地面につけば、首と腰に手を添えて引き寄せ、唇を寄せた。
髪の毛の間に入れた指でそっと仰のかせ、露わになった首筋に牙を立てる。
"これは既に手が付けられている"という、吸血鬼としての印だった。*]
[彼の声で呼ばれる名は沸き立つような色を帯び、額に捺される濡れた感触に身体の全てが舞い上がった。
彼に何もかもを捕えられた己を自覚する。
それは幸福な気づきだ。]
実用の品を飾って楽しむ趣味は無いよ。
[飾られるために作られたものでないなら、使うべきなのだ。
愛で、愛し、活かす。そのやり方が鞘に対して適切かどうかは不明だけれども、人間の形をしたものを愛でるのならば、方法はひとつしかないだろう?]
やはり帰って続きをしよう。
あの時は邪魔も入ったし、たったの一回しかしなかったし、
そうだ。プラグもせっかく入れたのに結局活用しなかったし、
[言いながら、鍵を掲げて宙で捻る。
鍵とはこう使うものだという観念に鍵は応えた。
空間が扉の形に切り取られ、開く。
扉の向こうは、白い霧が濃く深く渦巻いていた。]
おまえが想像したことも無いような極みを見せてあげるよ。
[眉を上げた彼に笑って約束する。
開かれた扉は新しい世界への入り口だ。
お互いに、昨日とは少し違う明日へと踏み出すために、
共に、帰ろう。***]
/*
おつかれさま。これで〆かな。
続きとか後日談とか思い立ったら、また明日にでも。
たぶんそのうち、オルトゥスって呼びにくいから、名前付けるとか言い出すと思う。(
/*
滑り込み間に合った感。
お疲れ様でした。ミヒャエルもヒースも来てくれてありがとう。
可愛いいわきゃわきゃ感があって好きでした。
相方もいつもありがとね。
ダーリンって呼んでほしいのかい?(照
また宜しく。次のネタを考えようね。
[城に帰ったら、先ほどできなかった続きをしよう。
新しい、自分だけの名前も付けたい。
鞘を出すのに毎回人型が真っ二つになるのは少々心臓に悪いから、人型を壊さずに本体を取り出す方法も考えよう。
一緒にしたいことはいくらでもある。
けれどもまずは、抱きしめて口接けて、こう言うのだ。]
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