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― 移動中 ―
んん? どうしたの?
[天輪湖へと上がる途中。
騎竜を寄せてきたカレルの、口調を改めた呼びかけ>>172にひとつ瞬いた]
天輪湖の水……を?
[天輪湖は王位継承の儀式にも関わる禁足地。
故に、立ち入りは勿論、その水面に触れる事も基本的には許されてはいない。
……が、王族の立ち合いの元であれば、ある程度の自由が許されてもいた]
それ、なんに使うの?
[素朴な疑問を投げかければ、彼の手にした剣を完全なものにするために必要ななのだという。>>173
どういう事? という疑問は過るものの]
……何もない、平時ならともかく。
こんな大掛かりな調査に協力してくれた同志の、調査終了後の休憩時の潤いまで制限するつもりはないよ?
[にこりと笑って返したのは、遠回しの許し。
滝に落ちる前の天輪湖の水は様々な精霊の祝福を受けた一種の聖水ともいえるもの。
剣が完全になる、というのがどういう事かはわからないが。
協力してくれている彼の助けとなるなら、拒む理由はなかった]
― 天輪湖 ―
[たどり着いた天輪湖。
唐突な白銀の変化には驚いたものの、呼びかける声>>174が、自身も引きずられるのを阻んでくれた]
ありがと、大丈夫。
[しっかりとした声音で応じ、白銀を鎮めた後。
状況を解析したアルビンの言葉>>166に、千切れて変化した鈍色の影をき、と見据えた]
……どういう事情でここに在るのかは、わからないけれど。
空の護り手として、ユウレンを……ボクの大事な国を、脅かす要素は、見過ごせない。
[自身に言い聞かせるように、ゆっくりと言葉を紡いだ後]
……いくよ、リュウ!
[凛とした宣の後、前へと飛んだ。*]
― 天輪湖 ―
[前へと出れば、行く手を阻むように鈍色の妖魔が飛来する。
飛んできたのは、巨大な蝗]
……これ、ふつーに迷惑だと思うんだけど!
[こんなサイズの蝗がいたら、基本的に慎ましい国内の農業によろしくない。
そんな思考からの突っ込みを飛ばしつつ、槍を確りと握りなおして
[突き出した槍は、蝗を真っ直ぐに貫く。
後に残るものがなかった事には意識は向けず、視線を向けるのは続けて飛んでくる複数の蝗]
逐一相手、してられない、か……リュウ!
[声に応じて上がるのはるぅ、という声。
直後に翼が大きく羽ばたいて]
[巻き起こる風は蝗たちを捉えて切り裂く。
今度は大きめの結晶体がひとつ、ころりと落ちた。
水面に向けて落ちていくそれを、しゅるりと伸びた金糸雀色の鞭が絡めとって回収していく]
ありがと!
[そちらへ向けて短く声をかけた後、ぐるりと周囲を見回した。*]
― 天輪湖 ―
[見回した視線が捉えたのは、妖魔を生み出す鈍色の渦。
白銀が示した動揺の意味は、今は予想もできず]
……悪いものじゃない……ような、気がするんだよなぁ。
[ぽつり、と呟いた声は風に散る。
それから、姫騎竜師は意識と表情を引き締めて]
そこを、ちゃんと確かめるためにも。
……邪魔されちゃ、困るんだよね!
[叫びざま、くるりと槍を回して向きを変え。
上へと向けて突き出した]
[繰り出した槍は見事に鴉を貫いて消滅させる。
直後、崩れて消える鴉の後ろから、別の鴉が突っ込んできた]
ちょっ……!
[こちらは槍を突き出した不安定な態勢。
避ける余裕はなく、右の上腕を鋭い嘴が抉った]
[勢いよく振られた尾は、鴉に避ける間を与えずに思いっきりぶん殴る。
その勢いのまま鴉は吹っ飛び、結晶体を残して消えた]
……大丈夫、リュウ、へーき。
[零れる紅に案ずる声を上げる白銀に、告げる声は静かなもの]
…………多分、必要にも、なるし。
[言いつつ、ちらりと見やれば。
零れた紅が腕を伝って槍へと落ち、その内へと消えていくのが見て取れた。*]
― 天輪湖 ―
[零れる紅を槍に食ませつつ周囲を見回せば、鈍色の妖魔は数を減らしていて。
これなら、と思った直後、アルビンの詠唱と虹の光が煌めくのが見えた]
上手く行ってるっぽい?
[呟きに返ったのは、どこか落ち着きない天龍のるぅぅ、という声と、そして]
……なっ……!
[鈍色の渦から声が上がり、その姿が変じる。
自身にとって何よりも近しい相棒とよく似たその姿。
それを見た瞬間、白銀がたかく、たかく、るるーーーーぅ、と鳴いた]
……リュウ?
あれ、まさか……。
[短い問いは最後まで言葉にはできなかったけれど。
いつになく寂しげな白銀の様子が、その答えを端的に物語っていた]
……なんで……あんな姿に……?
[天龍の卵と龍玉石化した虹竜の卵。
それらが見つかった時、周囲に親龍の姿はなかったと。
ふたつの卵を見つけた父はそう言っていた。
だからこそ、放置できずに保護してきたのだと]
まさか、とは思うけど……。
[それにより、仔を奪われたと思ったから? とは、口にはできなかった。
それをなしたのが他ならぬ自身の父である事を思えば言えない、ともいうが。
その予測が生じさせる複雑さが重しのように思えて、刹那、動きが止まってしまうが。
[そんな様子を叱咤するように、白銀がるぅぅぅぅぅ、と高く鳴いた]
って……リュウ?
[『しっかりして、そして、力を貸して』、と。
明確な意思を伝えてくる声に、呆けた声が出る。
アルビンの声>>252が届いたのは、それと前後しての事]
鎮めて……救う。
[ぽつり、と。
願われた言葉を繰り返して]
ああ……うん、そうだね。
こんな事で竦むなんて、ボクらしくない。
[思う所はそう簡単には消えない、けれど。
原因を作ってしまったのが自分たちだというなら――何より、あれが相棒の親であるというなら]
ボクは、ボクのやれる事を全力でやる。
……鎮め、救う事で、贖えばいいだけの事……!
[自身がなすべき事はただ一つ。
それとわかるから]
……みんな、お願い、力を貸して!
ボクらの想いを、あの龍へ届けるために!
[迷いの消えた声で目指す所を紡ぎ。
くるり、回した槍を構えなおした。**]
― 天輪湖への移動中 ―
[遠回しの許しは伝わったようで、返されるのは礼と感謝の言葉。>>232]
剣を、捧げた相手……か。
つまりは、きみにとっての王、ってとこかな。
[向けた言葉はごく何気ないもの。
『虚無』と関りがあるらしいその存在は、予測もつかないけれど。
空へ向ける瞳は、それが大切なのは感じ取れて]
なら、ここにきみがきたのは風の縁の導きなのかもね。
[風の縁は、強い想いを拾うんだよ、なんて。
告げる口調は冗談めかしていた。**]
― 天輪湖 ―
[投げた願い返るのは、それを後押ししてくれるもの。
強化される護りの術>>261と、送られる風。>>267
風の感触は心地よく、笑みが浮かんだ]
ありがと!
[感謝の声に重ねて、白銀がるーぅ! と鳴く。
遠い昔の、『風の寵児』と呼ばれた王によく似ている、と称される姫は同じように風の感触を好む。
だからこそ、送られる風はとても心強く思えていた]
願神獸角。
我的願望,大家的感受。
委託這一擊並到達他的龍……!
[凛とした声が言霊を紡ぎ、応じるように槍が翡翠色の光を灯す]
……リュウ、行くよ!
[声に応じて白銀が甲高く鳴き。
煌天の騎竜師は拓かれた道を真っ直ぐ、鈍色の龍へと翔ける。*]
― 天輪湖 ―
[白銀の声に応じる仔竜の声。>>287
託されたものは、煌きとなって周囲にふわりとまといつく]
……あなたがそうなった経緯はわかんないし、色々辛かったのも想像しかできない、けど。
でも、だからこそ。
このこたちの……リュウシンと、シエルの声を、聞いて!
[叫びと共に真っ向う、突っ込む。
鈍色の動きは変化したウェルシュや他の皆の牽制によって抑え込まれ。
対するこちらは、風虎の風をまとい、いつもよりも軽やかに動ける状態。
狙いを違える要素は――どこにも、ない]
[繰り出された神獣角が、鈍色の龍の眉間を捉える。
直後、白銀と虹色の光が周囲に散った]
……っ!
[突き立った槍を介して流れ込むのは天龍の記憶。
産まれた卵が孵る前に、力尽きてしまったこと。
その際に生じた精霊力の乱れが、一方を龍玉石へと変性させてしまったこと。
子を守れぬ事への、置き去りにしてしまった事への悔いが自身の昇天をよしとできず、そのまま留まり続けていたら卵が奪われた事。
全てを喪ったと思って、でも、この地から離れられなくて漂っていた時。
喪ったはずの仔の気配が、遠い場所から感じられて。
違う方の仔の気配が、別の場所から感じられて。
仔らの無事が嬉しくて、けれど、この地に縛されているからその傍にもいけなくて。
天輪湖の守りを乱せば行けるのでは、との思いから精霊力を集めて暴走させて――そこを、滲み出てきた『虚無』に突かれて、そして]
……そっか。
そんなに、苦しかったんだ。
[情報量にくらりとしつつ、ひとつ息を吐く]
でも……あなたを苦しめてしまったけれど。
ボクは、リュウと逢えてよかった。
リュウに選ばれて嬉しかった。
リュウを不幸にするつもりなんてないし、それはアルビンさんだって同じだと思うの。
だから……えっと。
[この場合はなんていえばいいんだろうか、と。
悩みながら言葉を紡ぐ]
リュウも、シエルも、大丈夫だから。
ちゃんと、それぞれ見つけた場所で生きていけるから。
……置き去りにしちゃった事で嘆かないで。
あなたの代わりにはなれないけれど。
あなたと同じように、リュウとシエルを守って支えて、一緒に生きていくひとたちがちゃんといるから……ね。
[だからどうか、悔いに捕らわれないでと。
願いを込めた言葉に沿うように、天龍と虹竜が鳴き声を上げる。
それぞれが大丈夫だから、しあわせだから、と。
紡ぐ声は鈍色を揺らして。
くぁぅぅぅぅぅ……という静かな声が零れ落ち。
直後に、鈍色の龍は解けるように消え失せた。*]
― 天輪湖 ―
[天龍の想いを浄化してもまだ終わりじゃない。
わかっているから、気は抜かなかった。
何をどうすればいいのかは、実はわかっていない。
だが、感覚というか、魂というか……そんな、深い所にそれは刻まれていた。
神獣角を手にした者になす事が叶う、浄化や均しのための術は]
願神獸角。
作為我生命中的一滴水的犧牲。
在這裡匯聚強大的淨化之力……!
[紡がれる言霊に応じ、槍の穂先が淡い翡翠色の光を灯す。
直後に、アルビンの手によってひとつになった『虚無』の欠片が打ち上げられて。>>302]
神代級だかなんだか知らないけど。
……この国を、この風を澱ませるものは、赦さないよ……!
[迷いない宣と共に、神獣角を突き立てる。
槍は違う事無く鈍色を貫き――直後に煌く光の粒子となって、溶けるように消え失せた]
…………浄化…………できたの?
[槍を突き出した先には何もない。
ただ、先ほどまで感じていた圧のようなものは、感じ取れなくなっていて]
うまく……いったのかな……リュウ。
それなら……。
[よかった、と。
ぽつり、呟き、白銀の背にくったりともたれかかった。*]
/*
そーいや書いてなかったね、な訳文。
最初が、
神獣角に願い奉る。
我が願い、皆の想い。
この一撃に託し、彼の龍に届く事を……!
で、次が、
神獣角に願い奉る。
我が命の滴を贄として。
強大なる浄めの力をここに集わせよ……!
でした。
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