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記された一葉 は、団長代理 ソマリ を占った。
それは星が墜ちるごとく
それは夢が終わるごとく
それは愛が断たれるごとく
死は突然やってくる。
─── リヴァディウス・アウラ 『終焉に寄せて』
「礎が壊れたら、上の人たちはどうすればいいの?」
「自分の足で立てばいいのよ」
「立てなかったらどうするの?」
「倒れるだけね」
─── 名もなきものたちの会話
記された一葉 は、商人 ファミル を投票先に選びました。
− いつか未来 −
[その書庫には、『屍鬼研究』と称される一連の草稿が保管されていた。
著者の名は「ベリアン・サルーク」とされているが、それが真筆なのか、そもそも実在する人物なのかどうかすら、論争は決着をみていない。
ともあれ、それを読む者の多くは、分離し難い狂気と愛着を感じるという。]
○月○日
人間以外のものを屍鬼化できるかの実験。
病死したコボルド、処刑死したオークなどの提供を受け実行。
結果、人間と同じ方法で同程度の成果が得られた。
屍鬼化に関与するのは人間だけがもつ資質に由来しないことの証明。
○月○日
ヒューマノイド以外のものを屍鬼化できるかの実験。
馬・羊では人間と同じ方法で同程度の成果が得られた。
猫や鼠では成功率が低い。
成功したように見えても、ほどなくただの死体に戻ってしまった。
仮説 : 体のサイズの問題?
○月○日
サイズの問題を解決するための実験。
大きい方は本当はドラゴンを使って実験してみたいが、簡単に手に入るものではない。
出入りの商人ファミルに、オーガより大きな死体と注文した。
小さい方は虫を使用しようと考えたが、探すとなかなか死体が見つからない。
これもあわせて頼んだら微妙な顔をされた。
実験のために生きているものを殺すのは間違っている。
だがきっと、ファミルはその辺で虫を獲ってくるだろう。
わかっていて頼むわたしは所詮、
[この日の記述はここで終わっている。]
○月○日
ファミルから虫の納品。
冬眠したままミイラ化したてんとう虫の群れ。
大きい方はトロルだったが、陽光にあたって石化してしまっていた。
試してみたが、いずれも屍鬼化は無理だった。
それはそれでひとつの証明である。
今後も、注文はファミルへ。
○月○日
水棲生物が屍鬼化するのかの実験。
これまでの研究により、屍鬼化にかかる労力は人間サイズの骸が最適なので、海豚を発注。
結果 : 屍鬼化はしたが、泳がなかった。沈んでしまった。
海水でもダメだった。
底層魚となった海豚をみていると、無性に残念な気持ちになる。
○月○日
ハーピーを屍鬼化する実験。
飛ばなかった。
仮説 : 屍鬼は屍鬼であって元の生物の特性を引き継がない。
○月○日
生前は足が速かったという男の死体を入手して屍鬼化。
他の屍鬼と運動能力に有為な差は確認できず。
子供の屍鬼との比較。
行動速度は変わらないが、歩幅の関係で移動距離には違いが生じる。
結論 : 生前の能力には関係なく、体格には左右される。
○月○日
屍鬼化に使う触媒の調合を変えてみたところ、できた屍鬼の運動能力がこれまでのものに比べて勝っている。
《奈落の書》が完璧ではない証拠。
研究次第で、より能力のある屍鬼を造り出せるということだ。
愉快。
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