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― 魔獣の領域 ―
……お見事。
[風の力と、剣の軌跡と。
それらが重なり、織りなしたものと、それが文字通り巨狼を殴り飛ばす様子に零れ落ちたのは、こんな呟き。
白銀が同意するようにきゃう、と鳴く。
ともあれ、青年は維持していた術を解き、手にした剣を鞘に納めて巨狼が落ちた辺りへと白銀と共に向かい]
…………いきてる?
[仰向けにひっくり返った巨狼に向けて、惚けた問いを投げかけた]
『……いや、そもそもいきてねーし』
[それに返ったのは呆れたような突っ込み。
内容はだいぶ物騒だが。
巨狼はしばしじたばたともがいた後、どうにか身体を起こしてぶるる、と身を震わせた]
『でもまあ、いい一撃だった。
これならまあ。
届くだろ、『アレ』に』
……それじゃあ。
『ああ。
イライラ綺麗にかっ飛ばしてもらえたしな。
開門と、承認を。
『始源の双牙獣魔』の名においてなさしめん』
[静かな宣の後、巨狼は一声、吼える。
それに応じて漆黒の光が生じ、それは若き騎竜師とその騎竜たちをふわりと包み込んだ]
『ん、まあ、なんだ。
オレのやり残しが起こした波のおかげで、手間取らせる事になっちまったが。
……オレ自身にゃ、どーする事もできねぇし。
あと、頼むわ』
[軽い口調で言いつつ、巨狼は若き騎竜師たちに向けて一礼する]
もうちょっと、言い方……。
『物言い飾ったりなんだりは、俺のガラじゃねーって知ってんだろ?
それより、先に進む前にちゃんと休んどけよ。
……次は、オレ以上にぶっキレてるからな』
あ……やっぱり。
[巨狼から告げられた言葉に刹那、遠い目をするものの。
青年は気を取り直し、若き騎竜師たちの方を振り返る]
……一先ず、最初の関門は突破できた。
ただ、次はもっと厄介と言うかなんというかなのが相手になるから。
今の内、しっかり休んどいて。
[できる限り静かな口調で告げる。
それに同意するように、白銀がきゃう、と鳴いた。*]
― 魔獣の領域 ―
[向けられた問いかけ>>136に、巨狼はぐる、と喉を鳴らす]
『おー、心配すんな。
ここにいるオレは、半分霊体みてーなもんだからな。
実体化してる時に殴られるとそれなりいてーけど、消滅とかはできねーから、問題ねーよ』
……その言い方って、逆に不安を煽る気がするんだけど。
[軽い口調で返してわっさわさと尻尾を振る巨狼の様子に、思わず飛んだのはこんな突っ込み。
巨狼はそれを気にした様子もなく、真っ直ぐな眼差しを返すハンス>>137に金色を向けて]
『おう、頼んだぜ。
なに、お前らならできるさ』
[さらり、と告げてまた尻尾を振る。
金色の瞳にあるのは、穏やかないろ]
[進み出て一礼するカレル>>141の短い言葉に、巨狼はこてり、と首を傾げた]
『お前さんの見事な一発で、たまってたもやもやぶっ飛んだ。
ありがとさん、中々効いたぜ、アレ』
[若者の気質は知らぬが故に、巨狼は思うままを口にする]
うん、あれは見事だった。
……色々な要素を的確に生かしてたし、ほんと、凄かったよ。
[それに続けて青年も、素と思われる笑顔でこんな言葉を口にする。
同意するように、白銀もきゃう、と鳴いた。*]
― 魔獣の領域 ―
……さて、それじゃそろそろ行こうか。
[先を考え、各自が十分な休養を取った、と判じた所で声をかける。
伏していた巨狼が『行くのかー?』と問うのには頷きで返して]
俺も、あんまり長くはいられないしね。
『ま、そりゃそーだ』
[軽口めいた言葉を交わした後、ぽふ、と巨狼に手を触れる。
巨狼は返礼のように尻尾を動かし、ぽふっと青年の頭を軽く撫でた。
それに僅かに目を細めた後、青年は平原の奥に灯る黒い光に向けて歩き出す。
それが次階層への門であるのは、先の事を思えばすぐに思い当たるか。
触れた直後に感じるのは、転移の感触。
それを越えた先に広がっていたのは]
― 天翼の領域 ―
[最初に目に入るのは、空。
それから、頬を撫でる風の感触。
炎の灯る平原から一転、移動した先は空中に浮かぶ岩場の上だった]
……さすがに、奇襲はない、みたい、だけど……。
[最初の転移の時と違い、移動直後に何かが襲ってくることはなかった。
代わりに頭上から降り注ぐものがある。
それは、異様な圧ともいうべきもの。
怒りの念を向けられている、との理解は、騎竜たちの方が早いかも知れない。
きゅう、と気づかわし気に鳴く白銀を制して、青年は上を――圧を感じる方を、見上げる。
そこにあるのは羽毛に包まれた六翼の、竜。
そしてその周囲に付き従う、一見すると天使のようにも見える有翼の戦士たち]
……思ってた以上かも、これ。
『……お久しゅうございます、天聖なる君。
ですが、ここをお通しする事は適いません』
きっぱり言ったね!?
『我が眷属の不始末、そしてそれに連なる北の守りの不始末。
それを晴らすは我の……『征魔天角』が務め。
これ以上、地上の者の介入は無用です』
いや、そうはいかないよ。
……それに、それはあなたの務めじゃない。
あのひとは、そんなものは望んで……。
[言いかける言葉を遮るように、六翼の竜が咆哮する。
白銀が呆れたようにきゃう、と鳴いた]
『問答無用、だね』
……ああ。
ったく、レヴィンと違ってこっちは話聞く気そのものがないからなぁ……。
『……力押し?』
そう、だね。
あんまりやりたくはないけど。
……言われて覚悟はしてたけど。
どうやら、ここの護り手も問答無用らしい。
……全力で当たってくれると、ありがたい。
[若き騎竜師たちに向ける表情は、どこかへにゃり、としたもの。
それでも、それは白銀の背に飛び乗るのと同時に消え失せる。
応じるように、六翼の竜の周囲に控えていた有翼の戦士たちが手にした槍や弓を構えた。*]
― 魔獣の領域 ―
[敵う限り力を尽くす、という宣。>>153
大きく頷く笑顔。>>163
それらに巨狼は楽し気な唸りを上げて尻尾を振る。
礼と讃辞に対し対照的な反応をする騎竜師と騎竜の様子>>179には、白銀がうんうん、と言いたげにきゃぅきゃぅ、と鳴いていた]
『……ぉぅ。
まさか、ここに来て昔嫁に言われた言葉がまた来るか』
[色々とアレな返しに対するゾフィヤの言葉>>182に、巨狼は僅かに懐かしむような響きを声音に乗せ]
『……まあ、そう言ってもらえるのはわるかねぇしな。
……ありがとさん』
[穏やかな口調で、短く感謝の言葉を告げる。
尻尾がぱたり、と緩く振れた]
『ぉぅ。
……頼んだぜ』
[やがて、休息の時を経て門へと向かう騎竜師たち。
それぞれの反応に目を細めつつ、巨狼は小さく呟いた。**]
― 天翼の領域 ―
[六翼の態度と、それに対して紡いだ要請。
相当に理不尽な状況ではあるが、若者たちは願いに応じて動き出してくれる]
……その場における最適解を選ぶ、っていう点は、及第点じゃないかな、これ。
[ぽつ、と落とした呟きに、白銀がそんな事言ってる場合? と言わんばかりにきゅーぅ、と鳴く。
それに、わかってるさ、と応じて青年は前を見据えた]
そーれーじゃ。
俺たちも行くよ、ヴァイス。
[呼びかけに応じ、白銀がきゃう、と鳴く。
大きな翼が大気を打ち、槍を構える有翼戦士へと一気ら近づき――そのまま、更に上へと一気に抜けた]
……っせい!
[白銀を追うように、有翼戦士たちが視線を上げる。
直後、その頭上へ向けて青年が一切の躊躇いなく跳躍した。
右の肩に担ぐようにしていた大剣が切り返され、落下の勢いを乗せた切り下ろしが繰り出された槍ごと有翼戦士を叩き切る]
[空中で単身剣を振るう、というのは、翼を持たぬ青年には危険以外の何物でもない。
けれど、それに対する躊躇いや恐怖感は全くなかった。
それは、言わずとも、意を察し合える相棒――『兄弟』の存在があればこそ。
飛び降りた青年を追って降下した白銀は、不安定な青年へ向けて弓を構える有翼戦士を尾の一撃で吹っ飛ばしつつ、絶妙のタイミングで己が『兄弟』を受け止める]
よっ、と。
……鈍ってないな、ヴァイス!
[どこか楽し気な声音に応じるように、白銀がきゅーい、と誇らしげに鳴く。
直後、その紫水晶の瞳が上へと向いた]
[白銀の紫水晶が捉えたのは、上から掃射を仕掛けようとする有翼戦士たち。
防具と呼べるものは全く身に着けていない、ついでに言うなら騎竜の装備も跨るための鞍しかない。
手綱も、騎竜師の身体を安定させるための命綱すらない、という、軽装と言うにもほどがある一対。
一斉掃射をまともに受けたらかなりのダメージとなるのは想像に難くない。
と、いう思考に基づいていたかはわからないが、とにかく上から射かけようとしていた有翼戦士を、白銀の口から放たれた閃光が飲み込んだ――のだが]
……っ!
[三体の内の二体は光に焼かれ、消え失せたものの。
一体は光に焼かれる直前に姿を曖昧にしてその熱を避け、僅かな空白に矢を放ってきた。
とっさに剣で切り払うものの、全ては落とせず、一矢が左肩を掠めて朱を刻む]
……油断した、か。
[小さな呟きに、白銀が案ずるようにきゅぃ、と鳴いた。*]
― 天翼の領域 ―
[傷には縛るだけの簡単な手当てをして、周囲を見回す。
若き騎竜師たちはそれぞれの特性を生かした戦いを空の各所で繰り広げていた]
……さすがに、ここじゃのんびり見守りってわけにもいかないし、ね。
[小さな呟きに応じるように、白銀が再び口を開く。
再度迸るのは閃光。
弓を持つ一団を狙い、閃光による目くらましをくらわせて]
……に、しても。
ほんっと、やる気だけはあるんだから。
融通利かないよね、天界の連中ってば……!
[思わず口を突いた愚痴に、閃光を放ち終えた白銀がこく、と頷いた。*]
― 天翼の領域 ―
[空を舞う、色とりどりの翼によって、真白の翼が次々と落ちてゆく。
その様子に業を煮やしたか、六翼が鋭い声で咆哮した]
……っ!
天角!
[呼びかける声に、返答はない。
白銀が、だめっぽいねー、とでも言いたげにきゅぃー、と鳴いた]
もー、なんでこうなるかなぁ!
『……しかたないよぉ……天角、寂しがり屋だし』
いや、そうかもだけどっていうか、あー、ほんとにもー!
……あれはもう、全力でぶん殴らないと、止まらないね。
[大きく翼を広げて威嚇してくる六翼の様子に、は、とひとつ息を吐く]
……周りもまだまだやる気らしいし……さすがに、これは援護もいる、か。
我が真名において、求める。
天の風、天の光、我が意に沿え。
我が同胞たる者たちへ、速き衣と癒しの光を。
[大剣を一振りしつつ言の葉紡ぎ、応じて生じた光が若き騎竜師たちを包み込む]
……雑兵は、なるべくこっちで引き受けるから。
天角に、力を示して……!
[短く願い紡いだ後、青年の瞳は再度、天の六翼へ向く。
その色はいつからか、紫水晶のそれに変じていた。*]
― 天翼の領域 ―
[向けられる視線>>238に、ひとつ瞬きそちらを見る。
こちらを案じているらしき様子に、大丈夫だよ、と告げる代わりに微かに笑んだのは短い刹那。
先陣切って空を翔け、道を開く様子>>239に、こちらもやるか、と気を引き締めた]
ん……ありがとう。
[呼びかける声>>241に、短く応じる。
瞳の変化は無自覚だから、少女が首を捻る由縁には思い至れず]
……行くよ、ヴァイス。
[短い呼びかけに返るのは、きゅ、というやはり短い声。
白銀が羽ばたき、槍を構える有翼戦士へと近づいていく]
っせい!
[掛け声と共に横に薙がれた大剣が繰り出された槍を弾き、間髪入れずに白銀が爪を振るう。
翼が一つ落ちるのに合わせて迫る別の翼は、振り切った状態からぐるりと回され、両手持ちの大上段に構え直された大剣によって落とされた]
……おっと!
[そこに、別方向から射かけられる矢。
とっさに身をよじって避けた後、白銀がきゃう、と鳴いてそちらへと突っ込む。
指示が出される様子もなく、けれど、一連の動きは流れるが如く自然なもの。**]
― 天翼の領域 ―
[若き騎竜師たちが連携して六翼に挑みかかる。
青年がなすのは、それを周囲舞う者たちが遮らぬように、注意を引き付ける事]
……これがきみたちの正しき在り様じゃない事くらいは。
わかってるんだろ?
[投げた問いに返るのは、突き出される槍の穂先。
舌打ちしつつ大剣を当てて一閃を滑らせ、ぐるりと返した刀身を叩きつけた]
……ほんっ、とに、もう。
[六翼の言わんとする所は、わかる。
根底にあるのが何であるかも察しはついているけれど]
……それでも、ここであなたが動くという事は。
あのひとの選択肢の否定でもあるんだって、なんでわかんないかなぁ……!
[そんな思いもあるから、どうにももどかしさが消えなかった。*]
― 天翼の領域 ―
[有翼戦士と切り結び、叩き落とす事幾たびか。
視線は時折、六翼と相対する者たちへと向く。
片側の翼を重点的に狙い、均衡を崩さんとする連携と、それに沿う嫋やかな、しかし確たる芯の強さを秘めた花弁と蔦。
氷の槍と吹雪が舞い、大きく飛翔する者への道が開かれて]
……ってー。
[翼の後ろから噴き出す炎に、目が丸くなったのは許されろ]
……いや、まあ。
あるだろうけど。
[ぽつ、と零れた呟きに応じるように、白銀がきゃう、と鳴く。
一見隙だらけとも見える様子。
それを好機ととらえたか、複数の有翼戦士たちが群がって来るが]
[直後、響いたのは『うーるーさーいー!』とでも言わんばかりの白銀の咆哮。
きゅぁぅるるる! という甲高い声が響き、直後に放たれた閃光が有翼戦士を文字通り消し飛ばす。
その間、青年の視線が追うのは加速する蒼き流星。
振るわれる爪が弾かれ、六翼に流星が激突し――]
……お見事。
[浮かぶ岩場の一つに叩きつけられた翼が力を亡くす様子にぽつり、と呟いた後。
青年は剣を納め、白銀と共にふわり、と岩場へ降りる]
[咳き込む騎竜師とご機嫌に鳴く竜の姿は対照的。
ふ、と一つ息を吐き、先にかけた持続回復の術をほんの少し強化して回復速度を高めておいて、それから]
……天角。
あなたという存在には、認め難い事かも知れないけれど。
地上は……いや、この世界は、遠きものの庇護がなくてもやって行けるんだよ。
あのひとはそう判じたから、東の地で終焉に至るを望んだ。
……認めて、くれてたんだよ。
だから、俺がここにいる。
[呼びかけるのは、岩場に打ち付けられた体勢のまま微動だにしない六翼]
あなたに在り方を変えろとは言わない。
それは、誰にも言えないし、あのひともそれを望まないから、ここに守りをあなたに託した。
……だから、さ。
認められなくてもいいから。
彼らとならできる、って、信じて。
[彼ら、と言いつつ視線を向けるのは若き騎竜師とその相棒たち]
……先に、進ませてほしいんだ。
[静かにつづられる言葉に、六翼は何も言わぬまま。
微かに右の翼を動かして、唐突に消え失せた。
一瞬の間を置いて、そこに現れたのは銀色の髪と瞳の女性。
その背の力ない六翼は、消え失せた竜と同じ物]
『…………私の在り様を否定なさらぬのであれば、これ以上の言葉は無用でありましょう。
……開門と承認は致しますが……』
……わかってる。
今は、それだけで十分だよ。
[それだけでも今は十分だし、それ以上を望むのは難しいから。
微かに笑みながら告げた言葉に女性はつ、と手を振って。
ふわり、巻き起こったのは、真白の光を帯びた風。
それは、先に巨狼が放ったものと同じように、騎竜師とその相棒を包んで消えた。*]
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