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[島について最初に思ったことは、静かだ、という事。勿論潮の音や森を渡る風のざわめきはあった。が、人の気配が全くしない。かってはリゾート地として、整備された跡があるだけに、まるで白々とした書割の様な現実感の無さを覚えた。]
[宿泊施設に到着すると、ファミルに断り、『青葉』に自分の荷物を据えた。バルタザールは、あまりこの手の事に興味が無さそうだ、という判断だ。島の俗称ともなる、南側からの海の眺めを感じられる部屋にも未練があったが、階段すぐ側の部屋に控えた方が、出入りする人間の気配を察しやすいだろうという理由だった。]
[荷物を開き、必要なものは作り付けのクローゼットに移す。空気の入れ替えに窓を開けると、こちらは来し方車からも見た、海岸が大きく広がっていた。潮の香りがする。桟に手を付き、大きく息を吸い込んで深呼吸する。吐く息に合わせ頬を一つ叩き。これから数日、トラブル無く上手く遂せなければ。相手は不確定要素の多い民間人だ。規律の取れた軍の演習とは一癖も二癖も違う事だろう。]
[フレデリカ二等兵は?
港で申し送りをする際、二言三言言葉を交わしたが、尉官よりは易いと見て、乗客から無理難題を言われはしないだろうか。自分とてほんの少し前までは士官生の身分であったが、学兵、まして海軍から一人派遣とすれば、心許ない事も多いだろう。乗客の挙動を見る為、玄関ホールに戻ろうとしたが、目線、フレデリカの姿が無いか意識した。]
[三々五々、乗客は部屋を定めホールを行き戻りしているようだ。食堂へ続く両扉の脇に控え、何か戸惑う様子があれば声を掛けるだろう。]
[フレデリカは玄関ホールの廻り階段脇の部屋に落ち着いたらしい(>>4)。良い判断だ、と思う。もし何か、判断に困る事があるようなら、自分か、若しくは更に上官に相談するように、と改めて言い添えておいた。]
[食堂の奥で人の気配がした気がして扉を開ける。ちょうど食事を終えたカークが珈琲を手にしているところだった。
ずっとわたしは食堂扉の前に立っていたのに?と疑問に思うが、奥の階段と玄関ホールの階段と、入れ替わりになったのだろう。
この館は導線が2本ある。民間人の動きを補足するには不便な事と僅かに眉根を寄せたが、棒立ちのままもなんだろう。]
お食事でしたか?今から、観光に?
[と声を掛け、気付いたように、顔に笑みを作って乗せた。]
[挨拶に、遅れたように会釈をした。]
今日周遊が認められているのは東側ですから、コテージ跡か、西なら展望台か…。森の方も昔は神社があったそうですが、今はけもの道とも呼べないみたいで。地図から外されていますね。
[離れたところから話すのも不便と、腰掛けるカークの正面、卓を挟んだ位置まで歩み寄った。]
特に自由時間というものは設定されていないですけど…何かありましたらすぐ対処しなければなりませんし。
でも、そうですね、施設の状況確認も任務のうちですので、フレデリカ二等兵にこちらを任せる事ができましたら、わたしも島内を見て回ろうかと考えています。
[カークに相対したら、努めて、努めて穏やかに話そうと心掛けてはいたが、いざ話始めて見ると存外気負いなく話す事が出来た。カークの方にも、他意が無いように感じたからだろう。]
(>>18)
[カークが広げた地図を覗き込むと、貸してください、とペンを受けとり、キュ、と港の近くに、北の方位記号をつけた。]
此処がさっき来た港、反対側にぐるりと来た南側がこの宿泊所ですね。それから・・・
[言いながら、展望台への道筋や点線だのなんだのと、勝手に書き込みながら説明していく]
この辺りからが、昔の居住区で、立ち入りは禁止です。逆に言うなら、この辺りまでなら足を延ばして貰っても構いません。
[わかりましたか?とでも言うように、正面にいるカークを目だけで見上げた。ちょうどオズワルドが手に皿を持ち入ってきたのを見ると起き上がってペンに蓋をし、会釈した。]
オズワルドさんもご覧になりますか?
[地図。]
レクチャー時、ファミル少尉の左側に立っていた白服の海軍兵です。
[覚えのない名前の記憶を辿り、思い至って笑うのに、補足の様に付け足した。流石の今日のレクチャーは起きていたのは知っていた。立ったまま寝るような器用な特技がなければだが。]
[張り切りすぎるな、と言われるのに、借りたペンを返しながら]
任務ですから。
[と短く返すが、少し考えたようにつけたした。]
わたしも安心できればいいんですけど。
[そう言うと、訴えるようにじっと見た。懇切丁寧に地図に書き込み説明したのは、ここまでは大丈夫だぞ、と。但し、それ以上は「アウト」だと。それは、ファミルに注意を促した引け目もあったかもしれない。]
[素直に賞賛されるのに、何だか恥ずかしくなり、はぁ、と気の抜けた相槌を返した。]
[意図を承知で、揶揄交じりにオズワルドに地図を披露し同意を求める姿を見ると、それが揶揄であるか何かを考える前に、かっと頬が紅くなった。そもそも揶揄耐性が弱いのだ。]
[そもそもよくよくが、自分でも公正と断じれない理由で注視とし、それを引け目に思い、勝手にその補填をしようというのであるから、だからそれが受け入れられなかったとして、カークに全く非はない筈だ。何故からかうのか、は置いておいて。]
[だから頬が紅くなったのは怒りからでなく「恥ずかしかったから」だし、揶揄の視線が向けられるのに目が合うと、ぎゅ、と舌唇を噛み]
いざっていう時がない事を願っています。お気をつけて。
[押し出すように言い、オズワルドさんも何かありましたら、と声を掛けるのが漸くで、そのまま食堂から立ち去るのは単なる「まだまだだ」に見えただろう。消えてしまいたい。]**
(>>70)
ゾフィヤ・シュバルツ准尉です。改めてよろしく。
[こちらを振り返り、伺う様に名前を呼ぶのに、あぁ、以前の事を気にしているのかと、(>>0:29)、幾ばくか申し訳ない気持ちになった。]
[問うた内容は、このオカルトな噂に塗られた廃墟の島には似つかしくない牧歌的なもので、ぱちくり、と目を瞬くと、薄く口に笑いを履いた。]
お腹が空いていないなら、無理に食べることもないと思いますけど。充分な量は用意していますでしょうし。近場で、腹ごなしを兼ねて歩いてきては?海岸や展望台なら、往復でも手軽な距離だと思います。
おひとりが不安なら案内しますが。
[カレーは逃げませんが、島にくる機会はないでしょうしね。などと付け加え。頬の紅みを指摘されると]
…日焼けです。
[一つ覚えだが、当面はこれで逃げ切るつもりのようだ。]
(>>87)
[だからゾフィヤだと言っている。そんな事とは露知らず、名を呼び返すのに不思議そうに瞬き一つ返すと]
サンドイッチが?
[なかったのか?と問おうとするのに供される食事の品質差について訴えられると、その発想はなかった。顎を引いて小さく笑うと]
そんなに食事を気にするのなら、こんな島に来るのは間違っています。
それならこう、もっと適した観光地があるのでは?
[真面目な顔で、はっきりと言ってしまった。ご一緒に、に当然の様に頷くと、少し待ってくださいね、と伝言板に『ローレル=アスター、ゾフィヤ・シュバルツ→展望台 2h』と書き込んだ。]
2時間程も歩けば、小腹も空くでしょう?
ローレルさんは…申請書では観光と聞いていますが。この島には何を見るのが目的で?
[玄関を開け、足元に注意してくださいね、などと先導しながら、目の前の女性の長閑な様子と、どうもこの島を訪うイメージが不釣合いで。もう何度も聞かれただろう事、また聞いた。]
そうです。
[と日焼けを言い切り。外は玄関ホールよりも流石に明るいか、日焼けと言ったその頬は、先程よりも紅味は引いていただろう。遂務していれば気持ちが落ち着く。きちんとこの女性を、安全に送り案内しなければ、との意志が湧く。]
(>>98)
[しゅん、とする姿に、あぁ、違います、と声を掛けて。こう、自分はどうしてそんなに、機微を感じ取ることができないのだ。]
わたしが任務とかそういう事ではなくて…、民間の方が食事を望む旅なら、もっと、名産があるようなところが楽しめるのではないかと思ったのです。
何分ここは、事前の承諾書でもご存知の通り、そう言った食事や娯楽を楽しむ場所ではないですから。
[歴史跡としては、価値あるものかも知れないが。確かにそれ故に一部の間では有名なツアーだ。多分、本当に偶然なのだろう、募集の告知が彼女の目に入ったのが運が悪かったのか。彼女の話を聞くだけ、もっと良い場所があったのではないかと]
…他の参加者の方とは、交流していますか?
[せめて、一期の出会いが楽しめればいいと。安心して任せられるかと言えば疑問が残る、癖のある人間が多いのは事実だが。]
(>>103)
[しかし彼女は、折角訪ったなら、そこにきちんと、自分なりの楽しみを見出そうとしているのだろう。]
…この島の全部、の立ち入りを許可する訳には行かないのですが。
可能な場所はきちんと廻れるよう取り計らいますので。
[そこで彼女が何を発見できるかはわからないが、そう望むのなら、その思いは護れるよう努めよう。その一助になれれば誇らしい。]
そうですね。多分、もう大丈夫だと思います。
[すっかり色味の落ち着いた頬を指先で抑えて。まさか色恋事と思われているとは慮外の外。勿論彼女の傷口もまだ知らずのままでいるので]
[そうこうしているうちに、展望台へ着いた]
(>>110)
旅行は、多かれ少なかれ日常とかけ離れたものだとは思いますが…。
[静かな場所も他にもある。しかし、灯りが消えたかの表情に、彼女も矢張り訳ありなのだろうか、と一人ごち。それを先程から、無粋を繰り返している自分が問うてもいいものかと。ただ気遣わしげな表情で見た。]
[自分への問いに少し動揺したが、それ自体は隠す事でもない。彼女の背後に着いて、崩れ掛けている石畳、その足元に気を配りながら話す。]
わたしの家は軍人の家系なので。兄も、父も祖父も軍人でした。勿論祖父より前の代も。わたしは末子ですし女ですから、特に軍に進む事は期待されていませんでしたが、やはり、そのような環境にずっと居ましたので。
[当然の様に、兄や父の、その背筋伸びた背中を見てきた。]
(>>130)
[あまり見掛けないというよりも、軍と民間人が同行するこのようなツアーは、他に例がないのではないか。任務を受けている自分ですら、妙な事だと思わなくもない。但し、任務と言われれば務めるのが軍人であるので、従うのみ。]
自分への課題ですか。それなら、まずは小腹を空かすという課題はどうですか?
[彼女のバックボーンを知らなければ、それが咄嗟の言葉であるのかどうか、ただ、全てが嘘にも聞こえなかったので、まずは当初の目的を問うてみた。]
[もし彼女の、口にするのも胸が痛む傷跡が、この旅の中で少しは癒えるなら、瘡蓋として、口の端に乗せるくらいに癒える事があるなら、話して貰える事はあるだろうか。]
尊敬しています。
[父も兄も。それ故の、自分に感じる不全までは口にすることはないが。さ、そろそろ帰りましょう、と、ローレルに帰路を促した。]
[昼とは違い、タイミングが合ったのか、食堂はそれなりに賑いを見せていた。]
[此処にいる人物、…というより、此処に居ない人物だけざっと見て、軽く会釈をすると、2、3離れた席に座る。]
[食堂に顔が見えなかったのは、先程まで同行していたローレルとユーリエ。ユーリエの様子なら、そう動向に神経質にならなくとも大丈夫だろう。食堂に人が集まってる今、少しばかりなら、外出しても問題なさそうか。それでも律儀に、玄関ホールの伝言板に、→海岸 と記して玄関を出た。]
[昼の時間は長くなったが、陽が落ちるのは駆け足である。すっかり薄暗くなった歩道を、ところどころ草が食い千切ったアスファルトを歩く。虫の音が遠くで微かにして、その合間に規則正しい感覚で軍靴の踵が響く。やがてもしない内に海岸へ出た。]
[此処に来るまでは特段海が見たいとも思っていなかったが、窓から覗けば、なんとなく近くで見てみたくなった。人の気配がないせいか、心なし潮のかおりが強く感じる。]
[父が。]
[父も昔、この島に来た事があるらしい。新兵として。まだ炭鉱盛んで、この島の華やかなりし頃だ。と言って、何を多く聞いている訳でもない。あの当時の事は語れない事も多いだろうし、そういった事を好んで話す人でもない。]
[そして自分も、初任地としてこの島を訪れる事になるとはこれも偶然というものか。]
[ただ若かりし頃を過ごした町と聴いた、想像だけの風景の終を、事前資料のネガとして見た時は、どれが、現実なのだろうと…]
[寄せる波返す波を緩慢に眺めながら、それでも板書に記した時刻になれば、館の方へ戻って行っただろう]**
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