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―――大学、帰り道。
[お腹がすいている中の授業は、最悪だった。
周りの生徒も、教師も、全てが肉袋に見える。
授業の内容なんて当然入ってこない。肉、肉、肉。頭の中はそればっかりだ]
(…そろそろ本格的にヤバイな)
[…狩りの準備が必要かもしれない。
薄暗い夜道で、物騒な事を考えた]
…っ!
ハンス、なんで…
[こんな時に会うんだと、心の中で毒づく。心の中のナニカがぶるりと震えた。「思い入れのある人程食べたくなる」そのせいで、今のハンスは随分魅力的な「肉」に見える。
後ろに飛びついてきたこの無邪気な男を食べたら、どれほど美味な事だろう?
そんな最悪の想いすら湧いてくる。人間としてどころか…フィオンという個人として、それだけは嫌なのに]
あ、あぁ…
…えっとさ、今あんまり腹減ってないんだ。
悪ぃけど、また今度な。
[事実人間のご飯を食べる気なんてなかった。人間のご飯じゃなくて、今は人間を食べたいのだ。
そして今後ろにいるおいしそうな友人と人目につかない所へ行ったら、僕は何をしでかすかわからなかったから。
今は、別れたかった]
僕は山か何かか!
[こんな時でも、ちゃんとツッコミは出せる。…いや違うか。こんな時だからこそ、こうやって気を紛らわせないとやってられないのかもしれない]
………っ!
…心配すんなって…!
[なんて感度のいいセンサーだろうか?それだけ察する事ができるなら、いっそ何が食べたいかすら察してくれればいいのに。そんな破滅的な思考を。
顔を覗きこまれると、ふっと目をそらした。
なんで笑顔じゃないんだ。僕はそんな心配に見えるのだろうか?]
本当に、大丈夫だから…
…僕は…
僕は…全然大丈夫…!
[顔を逸らして、後ずさり]
…っ!
…なんだよ友達センサーって…
[そのセンサーがあるなら、いっそ苦しい事もわかってくれよ。そんな思いが湧くと同時に、少しだけその心配が嬉しくもなるのだった]
……おせっかいすぎるぜ、本当…
[諭すような口調に流されそうになる。
でも、それに流されちゃ駄目なんだ。
死体漁りの手伝いなんてさせられないし――…ハンスをエサにするなんてもってのほか。
こんな時でも、彼の言葉には安心できた。だけど、それで救われはしない。悲しい狼男の性だ]
(…休憩くらいなら、いいか…)
………そこまで心配されたら、無為にしちゃ駄目だな。
………助かる…ありがとな。
[距離が縮まると何をしでかすか分からないから肩は借りずに、そのあたりの公園へと歩みを進めようか。
――近くに、今戦いが起ころうとしている家(>>38>>39>>40)があるとは気が付いていなかった]
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