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2人目、赤錆の街の ローランド が参加しました。
赤錆の街の ローランドは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
[国境線より鋼の方向へ、自然の要塞を抜けた先。
緑の波を塞き止めるようにその街は存在した。
同じ国内でありながら男の産まれ育った場所とは似ても似つかぬその街の大きな屋敷の一室で、
男は小さな銀製のスプーンをその手に遊ばせながら、対面に座る相手へと声をかけ]
……これ、正気かな?
[その声に疑問符を浮かべる対面者、その側を通り抜けるよう手の中のスプーンを放ってやった。
瞬間、対面者の護衛だろう青年が剣の柄に手を掛けたのが目にはいったが、抜きはしなかったので、男はそれをなかったこととして片付けた]
[国境線より鋼の方向へ、自然の要塞を抜けた先。
緑の波を塞き止めるようにその街は存在した。
同じ国内でありながら男の産まれ育った場所とは似ても似つかぬその街の大きな屋敷の一室で、
男は小さな銀製のスプーンをその手に遊ばせながら、対面に座る相手へと声をかけた]
……これ、正気かな?
[その声に疑問符を浮かべる対面者、その側を通り抜けるよう手の中のスプーンを放ってやった。
瞬間、対面者の護衛だろう青年が剣の柄に手を掛けたのが目にはいったが、抜きはしなかったので、男はそれをなかったこととして片付けた]
[対面するものと二人、金属の棒の行く先を目で追えば、壁にあたって軽い金属音をたて床に落ちるはずのそれは、形を変え壁へと突き刺さり]
……ね?
[男は壁に突き刺さるスプーンであったはずの鋭利な刃を指差して、対面者へと目を細めた。
──とある場所で並べる食器が凶器なんだけど、これをそのまま出すって正気なのかな?
その現象を目にし男が言わんとしていた事を察した対面者は顔色をなくして、挨拶もなしに部屋の外へと駆け出して。
事の責任者を呼びつけているのだろう、遠くなる叱責の声を耳にしつつ、置いていかれた男は椅子に腰かけたまま背を伸ばし──]
──で、僕は帰っていいのかな?
[同じく部屋に取り残されてしまった護衛の青年へと声をかけた。
用がないなら宿に戻りたい、もっと言うなら赤錆の街まで戻りたい。
男はそれなりの地位を持っている。
そしてこの分野に置いては教導者とも言える。
そして緑の要塞で起こされる"催し物"の中ではそれなりに重要な客人でもある。
──のだが、
招かれた土地の館に部屋を貰えずに、応接室とはいえない部屋に通されて、あげく今は放置され。
男の住まう地以外での、実際の扱いはこんなものである]
[
……ほら、今だって。
護衛の青年はこちらの問いに口を開くこともなく、帰るなんて選択肢があるはずないだろうって目を向ける。
たかが護衛がこれなのだから、先程まで対面していた相手が普段こちらをどう言っているかなんて、十分察してしまえるのだ。
まあ、帰るなと態度で示されはしたが、はっきり言われないのなら察することをしなければいいのである。
いっそ沈黙は肯定として受け取ってしまって、宿でのんびり過ごすとしよう。
よし、帰ろう]
取り込み中のようだから失礼するよ。
君の主人によろしくね。
[男は護衛の青年へ声をかけ、鞄を手に席を立った。
それに慌てた様子を見せた護衛であったが、
こちらに頭を下げ待たせた上で、主人に判断を仰ぐべく己で赴くなり侍従を呼ぶなりすることができるタイミングを沈黙によって逃したことは自覚できているらしい。
……青いなぁ
ぎり、と、力強く握った柄の音がする。
心のうちではこちらをなんとて思ってもいいけれど、態度に出てしまうのはうまくない。
まあ、男の知ったことではないのだが]
[──だが]
「……この 奴隷出が」
[続く言葉を、男は聞き逃すことができなかった。
故に、たった席のテーブルの、手元に並ぶカトラリーを視線を向けることなく護衛の青年へと放る]
側に侍る者の口が軽いのは……よくないよね?
[先程までの対面者へ向けたものとの威力の差は、壁に突き刺さる度ヒュガッと響く激突音から察せるか。
残るはフォーク一本となったところで、男が視線を上げたなら、衣服を壁に縫い止められた青年の姿が目に入るだろう]
[怯え逃げ出そうとするも動けない状態の青年へ、男はフォークを手に近づいて]
鉱 毒 持 ち
[青年の頬をフォークでぺちぺち叩きながら、
ほら、ゆっくり言ってごらん?
鉱毒持ち。簡単だよね?
この国に存在するのは"鉱毒持ち"だけ。
今はともかく本番で、うっかり口を滑らせたら、君の主に迷惑がかかっちゃうよ?
ちゃあんと練習しとこうね?
[にこりと笑って親切を発揮する男に、相手がどんな感情を抱いているのかなんて……
そんなこと、男の知ったことではない]
[壁に縫い止められた青年が混乱から抜け出し、男の言葉を反唱できるようになるまで、どれ程の時間がかかっただろうか。
壁から解放した後、立つこともできない青年を部屋に置き、侍従に軽く言付け男が宿へ帰るまで、部屋の主が戻ってくることはなかったから、それ程長くはなかったのではないだろうか。
真上にあったはずの太陽が、西から眼を突き刺すのも、きっと気のせいかなにかなのだろう**]
ん……くぁぁ……
[調度品というものが置かれていない殺風景な部屋の中、固くとも清潔なベッドの上。
男は寝転がったまま、欠伸と共に天井に向けて両手を組んで腕を伸ばした]
あー……"活性化"しちゃってるなぁ。
[手のひらに天を求めれば、視界に映り込むのは天に向かう鈍色のアカントス。
両腕を走る鉱物製の唐草に、男は大きく息を吐いた。
──あっちに向かうまでにはなんとかしたいけど、なんとかなるかなぁ
身に付ける衣装の袖は長いが、袖口から金属が見えてしまうのはよろしくない]
[
──やっとここまでこぎ着けたんだ。
暗い坑道の中、奴隷頭と捨てられ貴族と
皮肉にもその身を堕とす為に刻まれた刺青の毒を媒介に、魔力の行使をものにし、捨てられ貴族を旗頭とし彼の親から街の実を奪った。
だから今度は混血であることを盾に"赤錆の街を中立地とする"という名を手に入れたい。
鉱毒持ちを"混血の奴隷"から"新たな魔術形態を持つ集団"として認めさせ、
混血という特性上、一国にアドバンテージを取らせれば要らぬ争いが起きかねないからこその中立地。
鉱毒の弱毒化、弱体化を犠牲に紋様の制御を容易にする為、少々時間を費やしたが、今和平がなるのならその時間は正しく費やすものだったのだろう]
[
──やっとここまでこぎ着けたんだ。
暗い坑道の中、奴隷頭と捨てられ貴族と帳簿係ローランドの3人が、鳥より安く買い叩かれたあの日から。
皮肉にもその身を堕とす為に刻まれた刺青の毒を媒介に、魔力の行使をものにし、捨てられ貴族を旗頭とし彼の親から街の実を奪った。
だから今度は混血であることを盾に"赤錆の街を中立地とする"という名を手に入れたい。
鉱毒持ちを"混血の奴隷"から"新たな魔術形態を持つ集団"として認めさせ、
混血という特性上、一国にアドバンテージを取らせれば要らぬ争いが起きかねないからこその中立地。
鉱毒の弱毒化、弱体化を犠牲に紋様の制御を容易にする為、少々時間を費やしたが、今和平がなるのならその時間は正しく費やすものだったのだろう]
[だからこそ、ここで躓きたくはない]
んー……
[男はぎゅうっと目を閉じ、腕を覆う唐草へと意識を向けた。
ちょうどよく窓の外からピチュピチュと鳥のさえずりが聞こえてくる。
──本当に、ちょうど、いい……
男の集中に応えるように鈍色の唐草はその腕から背へ流れるように集束し、最も古い鉱毒で刻まれた鳥の図へと絡み付く。
背中の鳥をくびり殺しても、窓の外の鳥の声は止むことがなかったが、それでも唐草は満足したらしい。
男の目からは見えない唐草であるが、今頃はおそらく背の中で仕留めた鳥を啄んでいることだろう]
──ふぅ
[
まあ、今はそれよりも]
…………ぃたい
[鳥の絵図を啄むということは、男の背もまた啄まれているのである。なので痛い。
普段はつねられる程度であるのだが、緊張からか力加減を誤ったらしい。だから痛い。
出来ているのは小さな生傷程度だろうけれど、布で擦れると結構痛い]
止血してもヒリヒリしそうだなぁ……
[自業自得であるけれど、溜め息を吐かずにはいられない]
[血が止まったら軽く身体を拭いて、なにかを腹におさめようなんて]
……焼き鳥、食べたいな。
あるよね屋台。
[鳥は嫌いであるけれど食える鳥は別物だと、男は未だ囀ずる鳥がいる窓の外へと目を向けるのだった**]
……え、嫌だけど。
[それは男が焼き鳥にありついてからどれくらい後の事だったか。
バターで練った芋粉を丸めて揚げた減量中の人間からしたら悪夢のような食べ物を包んでもらってホクホク顔の男の前に、見覚えのある馬車が停り──…中からはやはり見覚えのある青年が現れた。
こちらに怯えを見せつつも、男に馬車に乗るよう促す青年への返答が前述のものである]
[なにか言いたげ──…いや、怒鳴りたげに口をぱくぱくさせながらわなわな震えて首を上下させようとする青年の頭を、男は撫でるように抑えて]
君とはよい縁とも言えないんだし、
用件もわからずついていくわけないでしょ?
[さあ、用件を吐けと促した]
[そうして、軽い概要を耳にすれば、男は早々に馬車に乗り込み、さっさと出ようと護衛の青年を急かすのだった。
先程までとの態度の違いに、青年はポカンとしているのだが、男にとってはそんなものは知ったこっちゃないのである。
急ぎの用なら最初からそういえばいい]
今、国境跨いで誘拐って、それもう"黒"で扱っていいんじゃないかな?
[往来の安全に最大限配慮しつつ速度を上げた馬車の中、男は簡単な概要の詳細な内容を書面で受け取り、解決済みの誘拐事件に目を通しながら呟けば。
「それはそうですが──…」
そんなことはわかっていると、対面から声がかかった]
["誘拐事件が起きた"時点で国家間の感情は悪くなる。
せめて和平交渉が終わるまでは誘拐があった事自体を隠したい。
さらに言うなら、被害者を穏便にアーケシアに送り届けられればいいのだが。
隠蔽を選ぶ以上、加害者への処罰も追求も先送りになってしまう。
交渉が終わるまでとはいえ、誘拐被害者を加害者のある国に一人放り投げておくわけにもいかないのだ。
監視役、護衛役、そしてアーケシアに繋ぐ役として考えるなら、この街を治めるものが取れる手段の中で最善なのはおそらく──…]
うっわ、面倒くさい。
["最善"もそれを察してしまったのだろう。
ぐぬっと眉を寄せ、飾らぬ本音を漏らしてしまったのだが──…
馬車引く馬に、男のぼやきは届かない。
やがて男と青年を乗せた馬車は、街の門に併設された衛兵詰所に着くのであった**]
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