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2人目、吸血鬼公 アレクシス が参加しました。
吸血鬼公 アレクシスは、人狼 を希望しました(他の人には見えません)。
― 宴の前 ―
[その日、タルボシュの街を闇が覆った。
何万、何億、それ以上のコウモリが飛来し、空を埋め尽くしたのだ。
昼は夜へと変わり、街は陽光から隔てられた。
巨大な生き物が触手を伸ばすようにコウモリの群れの一部が城へ到達し、城門前の広場から若い吸血鬼を攫っていく。
直後、雷鳴のような音と共に吸血鬼公とその眷属が城に現れ、瞬く間に城内を制圧した。
城を落とし、街を封鎖した闇の眷属たちは、嬉々として宴の準備に取りかかる。
街ひとつをテーブルに載せた宴は、さぞかし盛大なものになるだろう。]
― 宴の始まり ―
良い頃合いですね。
日は沈み、月は昇り、残照は血のごとくに赤い。
我々が宴を始めるのに、最高の時間でしょう。
[城のテラスに立った絢爛公ことアレクシス・ルマニフィークは、マントを翻し高らかに宣言する。]
今宵一晩、この街を血の饗宴に捧げましょう。
友よ、血で結ばれし朋輩らよ、存分に狩りの興奮と血の甘露を楽しんでいただきたい。
人間たちよ、我らが愛しき獲物らよ、力と知恵の限りに逃げるといい。
儚き抵抗は宴に花を添えるでしょう。
ではこれより、宴の始まりです。
[宣言と共に城から火球が上がり、薄暮の空に鮮やかな炎の花を咲かせた。**]
― 城のテラス ―
[城内の掌握も一段落したようだ。
地平線の彼方からは、折しも血のように赤い満月が顔を出している。
眷属のものらは、街へと向かって宴の飾り付けに励んでいるだろう。]
領主よ。
あなた方がなぜ急に私の仔を傷つけたのか、
―――とは問いませんが。
どうなるか、は考えるべきでしたね。
[黄金の鳥籠の中で、領主夫妻は抱き合って震えている。
ソファも一緒に入れて差し上げたのだから、感謝していただきたいものだ。]
[それ以上は領主に注意を向けず、街の様子を眺めている。
遙か遠くまでを見透かす目が、そのときひとつの馬車を見いだした。>>45]
あれは白磁の淑女が乗る馬車ですね。
門を開けなさい。
盛大にお迎えしなくては。
[公の意ひとつで、コウモリでできた城門が大きく開く。
人間たちは通さないままに馬車を迎え入れれば、同じコウモリたちが公の姿をかたどって、中空で一礼してみせるだろう。*]
[己の城館に逗留している赤い髪の吸血鬼については、よく知らなかった。
けれども、そんな流れ者も館には多い。
行きずりのものも大いにもてなすのが、流儀だ。
彼にまつわる魅惑的な噂は耳にしていたけれども、試そうとは思わない。
霊妙なる恍惚は火の神髄に触れたとき、自ずから沸き上がるもの。薬やそれに類するものを介して得るものではないと考える。
だが彼自身を一個の美術品として考えるならば、それに陶酔するのもまた正しいことだろうか。]
― テラスにて ―
[優美な馬車を翼ある眷属に先導させ、道を開かせる。
訪れた麗しき貴婦人に、こちらも腰を折って応えた。>>88]
ご機嫌麗しゅう、ミリアム嬢。
あなたの美しさに、この無骨な城も華やぐようです。
[彼女が作り出す陶磁器ほどに白い繊手を求め、許されれば指の背に唇のひとつも落とそう。
宙から取り出された白磁>>92は、赤い満月の光を受けて、ほんのりと淡く染まっている。]
貴方のお好みは、あのようなものではないでしょう。
佳いものを取ってありますよ。
是非。
[震え上がった鳥籠の住人には目もくれず、手を二度打つ。
眷属に連れられてきたのは、まだ声変わり前の侍童だった。]
あの仔は今は書斎でしょう。
まだ気が乱れているようなので、好きにさせています。
……狩人の方は、どこでどうしているやら。
見かけたら、可愛がってあげたいものです。
[笑み浮かべ、侍童を呼び寄せて魔女の前に立たせる。]
貴方の案内は彼にさせましょう。
必要なければ、お望みのままに。
[よくお仕えしなさい、と少年に囁いてその背を押しやった。*]
アレクシス、
貴公の興にも添えばと希っているけれど
およそ楽しんだなら、貴方自身とも遊びたいわ
逢わない時がながければ、想いは降り積むばかりだもの
― テラスにて ―
[城で働く幸運な侍童は、不幸にも吸血鬼の手の中へ。
だが、なぜそれが不幸だと言えるだろう?
それ自体が繊細な美術品たる魔女の手に、唇にて触れる栄誉に浴したのだ。望外のことと悦ぶがいい。
手を繋ぐ彼女らの、一幅の絵のごとき美しさよ。>>112
少年らの中から取り置いた己の審美眼に満足して頷く。]
では存分に宴を楽しまれますよう。
―――ああ…
貴方の振る舞いは常に私に霊感をもたらすものです。
麗しき
お待ちしておりますとも。
私にも、積もる話も募る想いもありますから。
[遊びへの誘いに是を返し、裳裾の奏でる涼やかな音に耳を傾けた。*]
― 双子のはなし ―
[面白い双子がいると囁いたのは誰だっただろう。
あるいは、双子が自ら売り込みにきたのだったか。
並び立つ双つの顔を目の当たりにしたとき、これぞと膝を打ったのだ。
分かちがたき一対。
渾然としてひとつでありながら、個々にも完成された美を持つもの。
以来暫く、館には一対で完成品となる美術品が増え続けた。]
[此度の騒動で、彼らには招待状ではなく召集状を送っている。
街ひとつ占拠するため、あらゆる戦力を結集した―――とは半ば口実で、こんなときこそ彼らの麗々しい戦装束を鑑賞したいという思惑もあった。*]
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