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毎日2000ptか…どうしろとな?!
じゃあ、エレオ嬢ちゃんと俺っちとトーマスの旦那の出会い編とか書けたら書くかー(ごろごろ)
〜誰得:エレオノーレの過去編SS〜
【はじめに】
・ラヴィを期待した人はすみません。しかしさすがにこの兎だけで発言稼いでも面白くも何ともないので出来る限りのSSを時間が取れる限り書いてみよう!
もちろん表優先で、ということになりました。
・思ったより時間が取れないので、ざっくりと切り捨てる話とかあるかもです(´・ω・`)
・……なお、SSは用意してなかったので進行と共に書いております(ふるえ)
・エレオノーレは約4000歳。かつてはその背に蒼い翼があった有翼人種だったのを人間の勝手で翼を切り取られ、徐々に衰弱していき
感情や記憶がほとんど抜け落ちた後に、ちょいちょい話題に出る元ランプの魔人トーマスに助けて貰ったのが今のエレオノーレです。
・それを別人と呼ぶ人も居れば同じ人と言う人もいるかと思いますが、基本、ほとんど別人と思っていただければわかりやすいかと
・…多分これだけわかれば…読める筈…?
ってことでどこまで書けるかレッツゴー
遥かな悠久の彼方。古代文明と呼ばれる頃。
親という存在があるとすれば、自然界すべて。兄妹という存在があるとすれば、自然界すべて。
胎内で生まれくる人間と違い、彼女は自然界の大気や霊気といった万物の陽の因子より生まれた。
象った翼は蒼く、髪の色はまるで深海をあらわしたかのよう。
”彼女”はそうして生まれた。
記憶の一番奥深くに沈むのは、清らかな青の世界。
魂の故郷とも呼ぶべきものは、深く深く根付いた。生まれてすぐに15歳の少女の姿となっており、世界の事象について知識を得ていた。
知らぬは人の性のみ。
”彼女”は誕生とともに、人間に幸福を与える。存在意義にして命題として本能に深く刻み込まれている。
彼女は高次なる意思など持たぬ世界の理により生み出された天の御使い。
彼女は青き有翼種。彼女は幸せを導く者。彼女は敬虔にして清廉なる者。
名は――
生まれ出ずるその時より、存在意義を知っていた。人々を幸せにすること。エレオノーレはそのために、あらゆる人の元へと羽ばたいていた。
背には空のごとき翼。傍にいる人間にあらゆる幸福が訪れる。その羽根にも幸運を呼ぶ力があった。
彼女は人々の笑顔を愛し、人々は幸福を呼ぶ彼女を愛した。少女のような年代でありながら、理知的な表情と、慈愛に満ちた穏やかな空気をもつエレオノーレは幾星霜の年月を思わせるような、翼を持つ少女であった。
月日を重ねていく内に、同属とも呼べる存在にも数人出逢えたことがある。
その折りに、教えられたことがある。
――おのれの存在をねじ曲げたなら、夜に堕ちる。
エレオノーレは、その意味合いを生まれた時から知っていた。彼女は高次よりつくられた、自然界そのもののような存在。
忠告を受けた、その意味合いを。この時まだ知らなかった。
人の欲深さ。人の傲慢さ。人の業。それは自然界とは縁遠いものであるため。
すぐに、知ることとなる。
青の少女が人間の権力者に囚われたのは、彼女が生まれて百にも満たない時だった。
「……空が、青いわ」
ぽつり、呟く。エレオノーレは格子がついた窓の外を覗いた。
一人部屋には十分な広さだった。
橙の暖色の明かりを零すシャンデリア。絨毯は質の良いサテン生地。ソファや寝台も、まるで一国の姫君のような華美な一室の隅っこ。窓際を陣取るようにして座り込む。
国の権力者に囚われて以来どれ程の月日を経ただろう――?
エレオノーレにとって。時間は有限と無限の境だった。人間の命は儚く、幾度となく権力者は代を重ねていく。親から子へ。受け継がれていく。
権力者は遂に時代の王とまで成り代わったが、エレオノーレが解き放たれることはない。一部の臣民のみしか知らない。国の至宝となっていた。
彼女は薄々、薄々と。勘付いていた。
エレオノーレは、幸運の象徴。権力者が手放す筈が無かった。彼女の幸運を呼ぶ力は、彼女の意思とは関係無く傍にいる者に与えられる。
多くの人達を、幸福への手助けをするのが彼女の存在意義である命題。一国の王に囚われれば、国民の多くは潤沢し豊かとなる。
なのに。募る憂鬱さは何故だろうか?
青の少女は目を反らす。人達を傷付けることなど出来やしない。元よりエレオノーレには闘うための力など、無かった。
大空への恋しさは、年月を経る度に増していく。
国が年代を重ねるごとに、憂いに満ちていく。
少女の存在は、誰かひとり。――例え一国の王であろうとも――に与えられる恩恵で良い筈がない。
エレオノーレは考えるよりも、本能が知っていたのだ。
こんな風に、囚われて空も飛べずに生まれたわけではないのだと。
自由なる青に楔は打たれる。自然界を具現化したような少女が一つどころに留まれば、澱みと驕りを生じる。
エレオノーレはただ静かに、自由に空を飛んでいた頃のことに思い馳せ囚われたまま。
籠の中の小鳥のように、小さな小さな世界に押し込められた。
人間の、エゴによって。
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