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「うん、真っ黒だね。
騎士団の中に入るのが目的なのが見え見えだね。
首に縄をつけておくか、処断が最適か」
アードが黒いよ! ったく。
[船の中の仮眠をとった]
[夢の中は自由だ。お互い好きなように好きなだけ話ができる。最も、好きなだけ、というのはどうも睡眠時間に響いてくるらしく、2人そろって寝坊したなどということも昔はあったが――]
アード、元気そうで何より。
「夢の中でヒュノプスすら斬り殺す弟がいて兄さん嬉しいわー。
寝ているだけでも、思考は進められるが、話し相手がいないとやっぱりね」
[クロイス邸の二人の部屋だったところ。
帰宅して何年かは、昔は当たり前のように、同じベッドで並んで寝ていた。
そのままのように、まだ森から出てきてガリガリのソマリアランと、よいところのお育ちのソマリアーダが、同じベッドに寝転がりながら話をしている]
[夢の中は自由だ。夢なのだから。
だから、ここで星をつかまえる剣の話をした。
たまにちゃんばらもした。ソマリアーダが受けてきた授業も話もしたし、ミシェイル子育て奮闘の話もした。
夢は、自由だ]
[そのテオドールの内心を聞こえていたら、アードはため息をついただろう]
「予算が足らなくて、実際には運用には至っていないんだけれど……
鳥避けの空砲は、鳥の魔物によく聞く」
[まさに辺境の生活の知恵的なものだったなんていえない]
― クロイス邸・出撃の日 ―
[身支度をしていると、ヴェルザンティが髪を結ってくれた]
すまない、アードでなくて。
「だめですよ、アラン。
貴方は、アードだから、アードとしてちゃんと綺麗な晴れ着をしてくださいね。
そういうところから、ボロが出ますわ」
[ごもっとも、とばかりに黙るしかなかった]
[勇気のある兄だと思っていた。
来るべき日に、騎士団にいれば、かの魔物の大軍勢と戦うのは自らとなるというのに。
来るべき日までに、愛するもの、愛すべきものを慈しみ――幸せを享受した]
― クロイス邸 ―
「お父様は、どこにいるの?
アランはお父様ごっこしているし、変なの」
「エリオット。お父様は、アランと一緒に戦っているの」
「戦う? 魔物が来るっていうの……?
物語のように……」
「大丈夫、お爺様、父様が守ってくださるわ……きっとよ」
[ぎゅっと、母は子を抱きしめる]
[未だ、ローゼンハイムの葬儀は執り行われていなかった。
全て終わってからにしろ。それが遺言の一つであったから]
[今もソマリアードは眠りについている。
その眠りは――確実に命を削っていた]
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