情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
野茨公がアデルの兄上――、
[実際にその関係を聞けば悩ましげに息を吐き]
アデル、と呼べるのもこれで最後かな。
野茨公は我が主――…、その弟御にこう親しげに話しては礼に失する。
けれど今だけは、許してほしい。
アデルはそれを知って、如何したい?
歩む道は、もう決まったのかい?
僕は今ね…
どうしたら兄さんと一緒にいられるのかな――って…考えてる。
[そして人間と吸血鬼と、共存するにはどうしたらいいのか。]
人と吸血鬼が共に生きていける世の中になったらいいなって、思うけど――…やっぱり、難しいよね…。
んとね…
確かに血筋の話をすると、そうかも知れないけど…。
僕にとって、ジーク兄さんはジーク兄さんなんだ……。
[急に距離感が開いたような気がして、繋いでいた手を振り解かれたような気持ちに、胸が締め付けられる。]
いつの間にか、君はそんなにも大人になっていたのか。
――分かったよ、それも君の言葉の一つ、覚えていよう。
私の勝手な想いではあるけれど
嬉しいと言って貰えるのは、嬉しいものだね。
今でも、アデルを傷つけたくないと、思っている。
君は私の、大事な弟だから。
今まで通りの兄さんでいてくれない…?
[真実を打ち明けたことに、後悔の念が押し寄せる。]
兄さんは、もう…
僕のこと…必要ない…――?
[兄であり、同時に父のようでもあった存在に。
不安げな声で問いかけた。*]
[今だけと言いながら今だけを淋しく思う。
弟、と言葉を綴ってから、割り切れぬ思いを感じ眉を寄せた。
アデルから兄と呼ばれると苦さは溶けて]
これからも、アデルを弟と思って良いのかい?
私にとって、それは嬉しい事、だが――…
[野茨公にも了承を得る必要が、と考えるあたり
血の親であるそのひとの存在は大きくある。]
[確認するような尋ねるような、そんな響きが届き、瞬く。]
兄でいていいのなら――…
私は君に兄さんと呼ばれたい。
私にはアデルが必要だよ。
――必要ないと思われるのは、私の方だと思っていたんだ。
[不安げな音色に気付けば言わずにいた思いの一つを零していた。*]
兄さん…
"僕の兄さん"――。
[打ち明けられるジークムントの声に、胸に押し寄せた不安な波が引いていく。]
僕には…、ジーク兄さんが必要なんだ――…
これからもずっと…、ずっと…
待ってて。
大事な話を聞いて…――
[今度は温かい波となって寄せる波に押されるように、彼の元へ――]
[聞こえ来るアデルの声に野茨公との話が済む頃合いが近い事知れる。
必要と返す弟の言葉を素直に嬉しく思う。]
嗚呼、兄として大事な弟をこれからも支えてゆければ幸いだ。
[望み望まれる立場であろうとするのは無意識に近い。
大事な話と聞こえれば微かな緊張が過る。]
僕はね…ずっと…、ずっと、兄さんと共にいたい。
このまま一緒に――"永遠に"
[この意味が伝わるだろうか、また別の不安で強くジークムントの服を掴む。]
ギィ兄さんから"親子"の申し出があった…、同じく家族になるなら、それでも良いかも知れないけど。
でも、僕は――"ジーク兄さんのもの"になりたい…。
[そこまでを言ってから、首にかけたペンダントを外して。自ら襟元を下げて鎖骨の辺りまでを露出する。]
貴方に僕の血を捧げます、ジーク兄さん――。
怖くない……、
兄さんを失うことに比べたら、何も…――。
[彼が吸血鬼だと知ったとき、魔物と化したのが怖かったんじゃない。もう二度と、共にいれなくなるのが怖かった。
血を捧げる行為がどんな意味を持つのか知らないまま、静かに目を閉じる。]
僕を"子"にして下さい――。
[難しいことを考えても、結局は始めからこうされたかったのだと。
腕に飛び込んで気が付いたのだ。**]
[一緒に居たい。
その思いはジークムントも同じく抱くもの。
傷つけるのを怖れるがゆえに傍に居られぬとも思っていたから
アデルの言葉に驚いたように目を瞠り、言葉を失う。]
――……。
[柳眉を寄せ考えるような間があいた。]
“永遠”、なんて――…
それは“兄”に向けるものじゃないよ、アデル。
君が愛し共に歩みたいと思うひとの為に
大事にとっておかねば、ね。
[アデルの想いを嬉しく思いながらも
兄さんと呼ぶアデルに返せる言葉は他に思いつかない。]
[服を掴むアデルの手にそっと己の手を重ねる。
野茨公の申し出にアデルは思う事があったのだと知れるが]
血の繋がりがあるのだから既に野茨公とは家族だろうに。
わざわざ、“親子”にならずとも良い、と、私は思う。
[思案げに言葉を綴った。
でも、と続けられた言葉に虚を突かれる。
襟緩め晒された細く白い首筋に目を奪われた。
コク、と喉が鳴るのは吸血鬼としての本能か。]
――ッ、アデル、それは、
“弟”から受け取るには過分なものだ。
[首筋から視線をそらし、緩く首を振る。]
[アデルを大事に思うがゆえに傷つけたくないと思うがゆえに“共にいれなくなるのが怖かった”という気持ちが彼にそうさせたのだと気付けない。
深い呼吸を一度、それから再びアデルに向き直り視線を重ねる。]
私は人として生き吸血鬼となり、人から血を奪う性を苦く思った。
大切な君に同じ苦さを味あわせたくないと思っている。
アデルが私と同じになりたいと望むなら、
この想いは私の我儘なのだろうと、思う。
[兄に血を捧げようとする弟――。子になる事を望む言葉が失う事への怖れからと思えば、アデルに不安を抱かせたのはジークムント自身と知れる。]
アデルが一番に望む事を教えて欲しい。
私と同じになり永遠を過ごす事が、君の幸せに繋がるのだろうか。
――…、アデル、私が願うのは、君の幸せだから、
君にとって幸多き道を、探したいんだ。
[大事に思うがゆえに真摯な眼差しと言葉を向けて、問う。*]
…兄ぃ…さ――
[諭すようなジークムントの声に、呼びかけた声が詰まる。
"愛し共に歩みたいと思うひと"
そう思える人はジークムントの他に無い。だからこそ、吸血鬼になっても"永遠に"傍にいたいと思うのに。]
僕は……
[もしかしたら、ジークムントは"弟"しか、欲していないのだろうか。
だとしたら"兄"としてだけじゃなく、永遠という言葉にそれ以上の想いを込めてしまった自分は、"弟"としては失格だろう。]
ジーク兄さんと同じ"血奪う苦しみ"を味わって――…、
手探りでも、共に幸せを探して一緒に生きて行けたら。
それが、僕にとっての幸せなんだ…。
[服を掴む手が緊張で小さく震える。]
ジーク兄さんにとって…、僕は"弟"でしか必要とされてないの…?
[だとしたら、彼にとって自分は重荷にしかならない。]
僕には、ジーク兄さんが全てなんだ…
本当は僕だけ見て欲しい…、その腕で僕だけ抱きしめて欲しいよ…っ!
[今まで見せてこなかった独占欲を吐き出して、
はっと気が付き、掴んでいた両手を放した。]
ジーク兄さん…ごめん……。
[きっと彼は"可愛い弟だけ"を欲しているのに、どうしてこんな困らせるような事ばかり、言ってしまう。]
…ごめんね……、こんな"弟"で…。
[9年間共に過ごし、彼が教会を去ってからも、片時も忘れられなかった人。
ただの"兄"に抱く思いにしては、過ぎた思慕。]
もう……こんなこと言わないから…
我が侭言わないから……
…いなくならないで――…
[バルコニーの床にぺたりと座り込んで、堪えきれずに伝う涙が石床を濡らす。]
…ジーク兄さんの傍で生きていけるなら……
それで…――
[それだけで良い――…
それだけで良かった。]
嫌いにならないで――…
[拒絶されて、遠ざけられる事が何よりも怖い――。]
[教会ではアデルの傍にあり彼が傷つかぬよう護るのが喜びだった。
大事に思うが故に近く在り過ぎて“兄”という存在を勘違いさせた。
アデルの想いを聞き、そう思えばこそ、
“兄”は共に人生を歩む存在ではないと伝えなければと思った。]
アデル――…
[彼にとっての幸せ>>=23をその口から聞く。]
気持ちは嬉しいけれど君が苦しいと私も苦しいよ。
一緒に、……嗚呼、一緒にいきられたら私も幸せだ。
[相槌うつように頷く。
手の震えに気付けば、重ねた手でそっと包み込み]
弟でなくとも、アデルはアデルだろう?
関係が変わろうとも心は変わらない。
[出生に関する事を聞いても変わらぬように
もとよりアデルその人を大事に思っていると伝える。]
もう黙って居なくなりはしない。
次に、何かあれば、君に相談しよう。
――その時は、話を聞いてくれるかい?
[少しだけ腰を折り視線の高さを同じにして首を傾げる。]
君はまだ若い。
結論を急ぐこともない。
君が望んでくれるなら、共にいよう。
私が君を嫌うことなど無いよ。
[兄としてでなく個として等しい立場を意識しながら
隠したままで言えるのはこれが精一杯の言葉。*]
ジーク……
[>>=29ジークムントが抱える問題をまだ知らない。
いつも沐浴用の服を着ていたから、何か身体的な問題があるのだろうかと思った事はあっても、
それを自分から問うことはしなかった。
何かあれば、きっといつかジークムントが自ら話してくれると、そう信じていたから。]
……うん…
どんなことでも、僕…ちゃんと受け入れるから…。
だから、何でも話してね…?
[>>=31今度はちゃんと話してくれる。
その言葉に安心しと、どこか例えようのない寂しさを抱えながら、
目線を合わせて首を傾げるジークムントにそれだけを返すのが、自分にとって今出来る、精一杯の答えだった。]
[兄さん、とは続かぬアデル呼び声に翆玉が揺れる。
野茨公から呼ばれると同じ愛称ではあるが
慣れぬせいか少しだけ落ち着かないように視線が彷徨い]
何だか不思議な感じだ。
[ぽつ、と感想を零してはにかむ。
何でも話してと言われるとふと違和感を覚えた。
これから何か起きた時の事を想定していたが
アデルの言葉からは先ではなく今を示しているようにも思える。]
――――。
[短くない沈黙が流れた。
様々な可能性を考えて思い当たるのは
秘密にする一つに気付いているかもしれぬということ。]
何でも、か。
君は、何かに、気付いているの?
[言葉と言葉の間は何かあると感じさせる。
抱擁はいつしかほどけ、アデルは其処を立ち去ろうとする。]
――――…。
[引き止める事は出来ず]
そうか。
[呟くような声を零して、その背を見送る。]
[ややして、バルコニーに居るジークムントからは
アデルの姿が見えなくなった。]
――…ずっと君に隠し事をしていた。
[ぽつりと離れた彼に声を向ける。]
私には、身体的な欠陥がある。
吸血鬼となる前から
魔の者と言われてもおかしくないほどの歪を宿している。
アデルは、私が全てと言ってくれたけれど、
君が思うほど私はよいものではないんだよ。
[姿見えなくなってから言うのはずるいと分かっていたけど
彼を前に言う勇気などありはしない。
ジークムントにとっては言葉にするだけでも苦痛を伴う事で、
言い終われば重い息を吐き出して目を閉じる。
それは断罪を待つかのような時間だった。*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新