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待っておいで、
…… すぐに、
[ふ、と。案ずる心掠めさせてしまうは、
どうしようもなく、心近しくあるゆえに。]
[それになによりも、]
待っています。
あなたはいつも、ちゃんと来てくれますから。
[自分を思ってくれる師父の心が傍にあると、
伝わる温もりが、怖気を拭ってくれていた。]
ああ。
そうか───…、
…… 三度目、だな。
[愛しき子の元へと天を駆り、駆け付けるのは。
最初は地上に降りて迎える為、二度目は目覚めを祝する為に。
飛翔の合間、いとし子の声の響きに微笑み添えて返した。]
[今日はなにがあった、
あしたはなにして遊ぼう。
そんな、たわいもない話の時もあった。
かみさまはどこにいらっしゃるのかな。
どうしてこのひとは、罰をうけたんだろう。
そんな、神の教えに関わる話の時もあった。]
あの空のずっとずっと向こうに行きたい。
行けたらいいのに。
[首飾りにも話しかけたけれど、
それは神様のお庭を汚してしまう、
とてもいけないことなのだと優しく諭されたから、
そうなのかと納得して、夢は記憶の底にしまい込まれたけれど]
お前を置いて───…
… 全て、消えはしないから。
[安心おし、と。
おさな子あやすように、心の温もりがいとし子を抱く。]
…ほんとうに?
[嗚呼。それはおさなき子の、愚かな問い。
てんしさまは、いつだって本当のことしか言わないのに。]
やくそく、 して、くださいますか …?
[縋るよう、言葉は紡がれる。]
ああ、
[術を紡ぐ間も、心の声は自由だ。
道を失った迷い子のような、不安げな声。>>=17
それへ、温かな声が優しく響いた。]
…… やくそく、だ。
[音の響きは、微笑みと同じ響きで。]
マレンマ、愛しき子。
約束するよ。
…──── お前がわたくしを求める限り。
わたくしはもう、お前を置き去りはしない。
やくそく。
[優しい響きに、蕾ほころぶかのような笑みが咲く。
あたたかな陽光に巡り合った、ちいさな緑のように。]
ありがとうございます。
───わたしは、しあわせものです。
― 遠き日 ―
[今日は何があった、あしたは何をしよう。
そんな他愛もない声が、おさなく響く。
天の種子を地上に起きて以来、
大天使の元にはそうした小さな声が届くようになっていた。
応えられないこともある。
むしろそんなことの方が多かったかのようにも思うが。
おさない声はそれでも、何度も語りかけてきた。>>=9]
かみさまはね…とおい空の向こうにいらして、
[そんな話をしたこともあったように思う。
子どもの他愛ない話に、
ただ寄り添うように合槌うった日もあったようにも思う。]
おおきくおなり。
[そうして時折、そんな言葉を添えた。
おおきくおなり、健やかに育ちなさい。
目に映すことはかなわずとも、
おさな子の成長は大天使にとっても喜びとなり始めてたから。
その成長を願わずにはいられなかった。
その顔を見たいと───願わずには、いられなかった。]
( いつの日か──── )
[いつの日か再び、と。
願う都度、銀の首飾りは仄かに温かさを伝え瞬いたのだ。*]
[名残響かせるを、
ただのひとつも漏らすまいと息を詰め、心を凝らし
最後の響きの、最後の揺らぎのひとつが消えるまで、
身じろぎのひとつもせずに聞き入っていた。]
[そうして、凪のように凪いだ魂の面に]
……師父。
───わたしも、あなたを、
お慕いしています …。
[波の形をなぞるように、心に刻むように、
そっと声を解き放った。]
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