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― 回想/語らい>>4:=6 ―
[兄と過ごす時は、ずっと前からウェルシュにとって特別なものだ。
兄は幼い頃から憧れの対象だった。
あんな風に、強く立派になりたいと思い続けてきた存在だった。
幼い頃は懸命に兄の背中を追いかけて、少し大人になってからは兄の助けになりたいと頑張ってきたのだ。少しずつ。
身体を丈夫にするためにと運動をして、兄の贈ってくれる本を読み、勉強に励んで少しずつ。そんなウェルシュを、父母は励ましてくれたし、幼馴染も支えてくれた。
けれどやっぱりウェルシュの一番は、兄だった。
だから何か出来るようになれば、兄に一番に報告するのだ。それは大人になっても変わらなくて。
……兄に、褒めて貰いたくて。>>2:=1]
そう…、ですか…。
[父の葬儀。それについての提案が断られれば>>4:=8、ウェルシュは目に見えて肩を落とした。兄の言うことも尤もだ、とは思う。
それでもウェルシュ自身も、兄と共に何かをしたかったのだ。
それはリヒャルトの危惧した通り、兄弟の心が、何故だか以前より遠くなってしまった気がして。]
分かりました。
軍を纏められるのは兄上、
兄上がお一人しかおられぬ以上、やむを得ますまい。
兄上が北の守りに行かれるならば、父上も納得されましょうが、
……… どうか、くれぐれもお気をつけて。
[その言葉には、これまでにない情が籠る。
この数日で、ウェルシュは親しい者を立て続けに亡くしすぎた。
父なき今、この世に身内は兄しかいない。
その兄を喪うのは恐ろしかった。
兄は強い。そうは思えど、不安に騒めく心は止めようがなく。]
あにうえ……、
[向こうを向く兄と視線が交わらない。>>4:=10
それが不安だった。どうしようもなく不安だった。
声は揺れて、どこか幼い頃のような所在なげな色を宿す。]
…────、はい。
[それでも。兄が告げる言葉には頷いた。
これからも、先、ずっと。
約束のような音を繰り返すように、そっと胸に掌を*重ねて*]
― 回想:何処か距離のある語らい ―
[ある切っ掛けに弟の頭を撫でる事が増えたのだが、それは弟が知らない話だろう。
それを境に弟の事を気に掛け幼いなりに可愛がったりもしていた。
兄の自覚が生まれた自分は、弟の手本となる様に勉学を励み、剣の腕を少しずつ少しずつと付けていけば、自ずと「守ってあげたい」という意欲も芽生えてくる。
此方が教えた事を弟が出来る様になると、我が事の様に褒めてその度に頭を撫でていた。
出来た満足感と此方が認め褒めた喜びもあるのだろう、明るくて輝く笑顔を見せてくれる弟を見て此方も純粋に喜んでいた。
如何してなんだろう。
――――何時の間にか、それが出来なくなってきてるのだろうか。]
[弟との心の距離を取ったのは明らかに此方からだ。
それを素直に目を向ける若さは少しずつ失っていき、今は心を偽る事に慣れていってしまった。]
……すまないウェルシュ。
[共同で葬儀を主催する、という提案を断れば、弟の声に翳りが帯びるのだろう>>=1。
父の想いを捻じ曲げ、ラメールに住む者を裏切った自分に父を弔う資格は無いのだ、と心の内で呟き、その重苦しさを一人だけで背負う。
罪の重さを背負いながら、此れまでの罪滅ぼしにと、彼岸へと逝ってしまった幼馴染の想いを受け取り、命を賭して白狼騎士団を守ろう、と心に決めた。
そんな自分の想いを知らぬ弟は此方を危惧する言葉を乗せる>>=2。
近しい人らを亡くし心に傷を負う弟に、また新たな傷を付け業を背負わせる、と己の愚かしさに気付く事は無かった。
否、気付いているのだろうが、気付こうとはしなかったと言った方が正しいか。
だからこそ、人の言葉で心に決めた事を簡単に覆すなんて事を仕出かすのだ。
一見固そうに見えるそれは、実に脆弱で薄い、中途半端な心しかない。]
[これからも先変わらない、と嘘を告げ、弟を見ようとしない自分。
そんな愚かな兄をまだ信じているというのだろうか、不安げに此方を呼ぶ>>=3。
もう此方は今まで信じてた兄ではない、と心で己を詰りながら、決して振り向かず握り拳を微かに震わせてた*]
― 母の子守唄に包まれながら ―
[遊び疲れて、幼い兄弟達は同じ寝台の上で小さな身体を寄せ合って眠りに就こうとしていた。
既に弟は眠ってしまったのだろう、ヘーゼルの瞳を閉じ静かな寝息を立てている。
少しずつ少しずつ温もりが増す身体を守る様に、幼い兄は身体を寄せ、短い腕で弟の体を包み込む。
そして母の優しい歌声に、穏やかな子守歌に包まれ、兄弟は二人寄り添い合っていた。]
ウェルシュ……。
[また熱が出るのでは無いか、と不安を抱き、幼いなりに弟を守ろうと抱きしめていた。
先の不安に無垢な心は揺れるが、包まれる温もりが眠気を引き出し。
いつの間にか翠の瞳がゆっくりと閉じられていくのだろう。
その時苦しみが生まれてきたのだろうか、動く弟の身体を包み守ろうとしながら。
母の子守歌に眠気を誘われ、拙い言葉を弟に紡いでいく。]
だい、……じょぶ。
ぼく、が、まも……。
[穏やかで優しい歌に守られながら、安らかな眠りの世界へと身を委ねていく。]
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