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しかしなあ、
[ふと、落ちるのは音にならざる小さな声]
……俺は相変わらず、臆病なんだろうな。
[微かに笑う気配。
見ても、怯えの風は見えぬだろうけど]
あの皇帝陛下を驚かせんでも、どうしても、
確実に勝てる方法がないかとずっと考える───…
[つまらないと言われたそれを、繰り返して]
つまらなくともどうしても、勝ちたいな、タクマ。
お前と…お前さんたちを、生かす為にも。
[結局はそういうことだ。
命を奪う商売を続けながら、命を失うことを恐れ続けている。
英雄らしからぬことを、ごく密やかな音にして]
──── 勝つぞ。
[ひとつ呼吸を置き、力強く言い切って口を結んだ*]
[ 小さく落ちる声を、タクマはしばらく黙って聞く。
弱音と思える言葉も、自らを臆病と呼ぶ、その声も、否定も肯定もせぬままに ]
[ そうして、英雄としては口に出来ない、人としての本当の願いを、そこに落としたゲオルグに、緩く笑みを浮かべた ]
言われなくても、生き抜きますよ俺は、ちゃんと帰ってこいってうちの息子に言われてますからね。
[ 息子、と、男が今まで養い子の事を、そうはっきり呼んだことはない、と、ゲオルグは知っているだろう ]
ええ、勝って帰りましょう。**
息子に…? 、そうか。
[ふと。何気なく落ちた音を聞きとがめ、そして、その意味するところに仄かに微笑んだ。はっきりとは初めて聞く、その響きに]
… そうか。
そりゃあ、 みっともないところは見せられんなあ。
[心が温かになる。その心のまま、ゲオルグは嬉しそうに笑みを浮かべた**]
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