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[十年前に出会ったこども。
神子として教会に連れてこられたアデルは
ジークムントの目には儚く頼りない存在に映った。
腕にすっぽりとおさまるか弱き存在。
涙に濡れるそのこどもを護りたいと思った。
純粋であればあるほど
この世は生きにくいことを知っていた。
アデルを傷つけるものをその手で遠ざけた。
教会が彼を囲い守ろうとしたように
ジークムントは兄として彼を護ろうとした。
己には与えられなかった兄弟の情を注いでゆくうち
いつしかアデルはかけがえのない存在になっていた。]
[護るべき存在と思っていたアデル。
一年会わぬうちに随分と強くなったように思う。
心のまっすぐさが芯となり見違えるようだった。
彼には仲間がいる。
必要とし必要とされる仲間が。]
――…弟ばなれが必要なのかもしれないな。
[アデルが護りたい存在であるのは変わらない。
けれど、彼の成長の枷となっていたなら――、と。**]
[この肉体が在り続ける限りアデルを求めてしまうだろう。
弟離れが出来るなら、この一年で出来ていたはず。
それなら、ゆるされぬ存在は自ら終わりを選ぶより他ない。
そんな勝手な思いから固めゆく考え。]
[血の兄弟となった者の名がアデルの声で紡がれる。
何かあったのだと声音から察するが。
それには触れぬまま問う声に考える間を置いて]
――何の為だろうな。
私は子を作った事がないから分からないが
……その時、必要とされて、うまれるもの、と思う。
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