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…………置いてかれたく、なかった。
勝ちたかった。
[誰に、という部分を欠いた言葉が落ちる。
誰かに聞いて欲しかったけど言えなかったそれは、ごく自然に落ちていた。
言っても大丈夫か、という思いがなかったとは言えないけれど。
他には誰にも言えないような気がしていたのも、確かな事。**]
― 少し前 ―
どう致しまして。
[>>=5 突けばもしかしたら、ぽろっと零してくれるのかも知れないけど。
自分の中で区切りがつかなければ話さないだろうことも知っていたから、どうにもならなくなる前には頼ると言う言葉を信じてそれ以上は言わない]
― 回想/12年前 ―
[いつもは何かあればちょくちょく話をしていたのに、ある日を境に友は口数が少なくなった。
時折言葉は交わしていたものの、その端々にこれまでの違いを感じていた]
テッド……どこにいるの?
[彼の父が無くなった後、友は姿を晦ました。
傍に在った者が居なくなる不安を胸に抱く]
……ねぇ、だいじょぶ?
[何度か声をかけるも、意識の海にも反応は無く、友を案じながら心細い日々を過ごした]
[そんな日々が途切れたのは、友が姿を晦まして三日程経った時のこと]
─── テッド!
だいじょうぶ? なんともない?
[何をしていたかは知らなかったから、先ずは案ずる言葉が突いて出る。
同時、反応があったことに酷く安堵した]
…おわった、って。
なに、してたの?
[彼の父の死が関連してのことと言うのは知っていたが、姿を晦ました理由は大人達に聞いても要領を得ず。
抱き続けていた疑問が口を突いて出た]
[次いでぽつりぽつりと零れる声に、うん、うん、と相槌を打ちながら聞く。
ただ、その途中で相槌は一度途切れた]
……なさけなくなんか、ないよ。
[止まらない友の言葉を全て聞いてから、ぽつりと言葉を零す]
かくごしろ、っていわれてても、いたいものはいたいよ。
いたくない、ってむりしたほうが、なんだかかなしい。
だって、たいせつなひとのことなんだから。
[友を慰めたくて、上手く纏まらないながらに必死に言葉を紡ぐ]
いたいっておもうほうが、あたりまえなの。
だから、なさけなくないし、かっこわるくもない。
[今まで語られることの無かった友の本音。
同じ境遇にはなれないオクタヴィアスが完全に理解することは難しい。
けれど、共有することは出来る]
もくひょうだったんだね…。
[勝ちたかった、と零したのには、そう解釈して]
ね、テッド。
あのね、どうしていいかわかんなくなったら、おもいだして。
ぼくがいるってこと。
テッドはひとりじゃないよ。
ぼくがいる。
こうして、つながってる。
わすれないで。
[どうしても耐えられない時は頼って欲しいと、そんな願いを込めて言葉を紡いだ*]
[話しながら思い返すのは、いつか言われた事。
あの時向けられた言葉は、自分を救ってくれたけれど。
さて、今自分はそれに返せているのやら、と。
そんな思いがふと、過る]
― 回想/12年前 ―
……なんとも、ない。
[案ずる言葉>>=13に、返す言葉は短いもの]
親父の、魂。
空と、水に還して、た。
……俺の……セイガの一族の、しきたり。
還して、また、廻らせる。
[投げ掛けられた疑問には途切れがちに返して。
とめどなく落とした言葉たちに、返される言葉を、黙って聞いた]
……いたいものは、いたい。
[痛みに耐えて、それを越えろと。
そう求められ続けてきた少年にとって、それは考えた事もなかったもので]
……そ、か。
[なさけなくない、かっこわるくない。
そう言われて、少しだけ、気持ちが楽になった]
……うん。
目標、だった。
親父は、すげー強くて、いつもかっこよくて。
[太刀振るい、舞うが如く戦う姿は、それが命のやり取りをするものとわかっていても引きつけられるもので。
いつかそうなりたい……というよりは、いつか、それに追いつきたい、越えたいと。
子供心にそう思わせるものだった]
……いつか……ちゃんと、立ち合って、それで、勝って。
……認めて、ほしかった。
[もう二度と叶わない夢。
亡き父もまた同じ事を望んでいたと、知る術はない]
……オクティ。
[願い込めて綴られる、言葉。>>=17
真っ直ぐな想いの込められたそれが、どこか、昏い場所に落ちそうになっていた気持ちを掬い上げてくれた]
……ん、そだな。
俺、ひとりじゃない。
[血の繋がりは全て喪ったけれど、それでも。
それを超える、心の繋がりは、ここにある。
そう、改めて感じつつ]
……わすれない、絶対。
[言葉紡いだ声音は、常の明るさに戻っていた]
[このやり取りを経て、州都に戻ったのはそれから2日後の事。
戻るなり、周囲には散々怒られた。
怒られたけれど、なんだか嬉しかったのを覚えている。
それは、ここに居場所がある、と。
改めて気づいた──気づかせてもらえた事が。
言葉に出来ないくらい、嬉しかった。
だから。
自分は、自分の出来る事を全力でやっていこう、と思った。
支えると言ってくれた友を全力で支えたいから、と。
それはかつて、父から下された命──それを超えて。
自分の意思で選び取った、選択肢。*]
………あ。
[言葉を向けた直後、意識の海に声を零す]
腕、ちゃんと治療した?
さっき動きおかしかったよ。
[落ち着いたことで会ったら言おうと思っていたことを思い出したのだ]
…戦いである以上、怪我するな、なんてことは言わないけど。
引ける時はちゃんと引いて。
肉を斬らせて、なんて方法続けたら、身が持たないよ。
[まだ近くに居るのを良いことに、友の両頬を指先で摘んで引っ張った*]
― 回想/12年前 ―
[余裕が無い時に言葉が端的になってしまうのは、幼い頃からの友の癖だったらしい。
途切れがちに返る声>>=19を聞いて、安堵と理解を声に込めた]
そらと、みずに、たましいを かえす。
そっか…それが、しきたり なんだね。
[友から初めて聞いた、セイガと言う一族のしきたりのこと。
世の中には異なる文化があると、改めて知った瞬間]
[必死で紡いだ言葉は友へと届いた>>=20よう。
再び零れ落ちる言葉>>=21には、頷く気配を返した]
うん、つよいし、かっこよかった。
[友の父の戦う姿は、訓練や稽古の時しか見たことが無いが、その動きは洗練されたもので。
ラモーラルには無い武術であることもあり、良い意味で目立っていた。
友と、彼の父が稽古する姿を目を輝かせて眺めたこともある]
…んっとね。
かって、みとめてもらうのは、もう できない、けど。
でも、
ちゃんと、つづけてたら、
テッドが おしえてもらったこと、わすれずにつづけてたら、
きっと、みとめてくれるよ。
[居なくなってしまっても、見ていてくれると思うから。
目に見えないものであっても、そんな日が来るはずだと、来て欲しいと、願う]
[友の声に明るさが戻る>>=22]
うんっ
[いつも通りになったと分かり、オクタヴィアスは嬉しそうに頷いた。
ひとりじゃない。
それは自分にも当て嵌まること。
この心の繋がりは何にも変えがたい]
[2日後、友が無事に帰って来て>>=23、オクタヴィアスは例に漏れず彼に抱きついた。
笑顔で出迎えて、おかえり、と声をかけた]
[友があちらこちらから怒られていたのには、あわあわとなってしまっていたけど、友はなんだか嬉しそうだった。
その様子がオクタヴィアスは嬉しかった]
[もう大丈夫だと、そう思えたから*]
……え?
[投げ掛けられた問いかけ>>=24に、少し上擦った声が上がる。
やべ、忘れてなかったか、と思ったのはちょっと置いといて]
いや、治療はしたぞ、ちゃんと!?
[自分よりも重症の兵を優先させてたりはしたが]
つか、俺より重症なのに殿やってた旦那の方が問題だろっつー……。
[そんな風に誰かさんを巻き込んでいたら、むに、と頬が引っ張られた。>>=25]
こら、やめ……引っ張んなって!
[なんかこれも昔よくやられたよな、なんて過ったのは一瞬。
懐かしいやら、なんでかこれは避けられないのが情けないやら、色々とぐるぐるとしつつ]
わかった、わーかったから、離せって!
[とてもわかっているように聞こえない主張の後、は、と息を吐いた]
……身ぃ持たねぇのはわかってる。
でも、そうでもしねぇと、見えねぇものがあるんだよ。
[相手が何を思い、そこにいるか。
何を己が芯と定めているか。
戦場においてそれを知るには、全力でぶつかるのが一番の早道で]
全力でぶつかれば、相手も全力で返してくれる……それで、見えるものがある。
何も知らずに、ただ、血を流すだけの刃を振りたくねぇんだよ。
そこだけは、さ。
どうしても、譲れねぇんだ。
……ま、なんだ。
無茶しねぇ、とは、言い切れねぇけど。
無理はしねぇようにするから、そう、怒んな。
[その『無茶』が問題なのもわかってはいるのだが。
今は、こう言うしかできなかった。*]
ダフィ兄様も……あとで言っとく。
[>>=31 あの人はあの人で誤魔化すのが上手い、と。
気付かなかったことに剥れて。
離せ>>=32と言われると抵抗することなく直ぐ離した]
……テッドにそう言う自論があるのは知ってる、けど。
[案ずる色が出てしまうのは仕方の無いこと]
無理もして欲しくないし、無茶もして欲しくないよ。
[言葉も正直に零れ落ちてしまう]
………分かったよ。
その代わり、
ちゃんと、戻ってきてよ?
[>>=34 これ以上はとやかく言わないから。
ただそれだけは約束して欲しいと、そう願う*]
[手が離されると、やれやれ、と息を吐く。
後で言っとく、という言葉>>=35には一つ頷いた]
あー……他が言うより、お前が言う方が効果あるだろーからな。
[五十歩百歩の自分が言ってもあらゆる意味で効かないのはわかるから、さらっとそう言って]
[滲む案ずる色と、零れ落ちた言葉。>>=36
自分を思ってのそれは、真っ直ぐ内へと落ちる。
落ちるからこそ、ちょっと痛い部分もあるのだが、そこは押さえて]
……だーいじょぶだって。
忘れて、ねぇから。
俺は『ここ』にいるって、言ったろ?
[口にするのは、遠いいつかに告げた言葉]
戻って来る場所があるのは、忘れねぇ。
『約束』すっから、んな声だすな。
[願い>>=37に対し、返すのは。
流離い人たる在り方を捨てて選んだ場所を、再び捨てる気はない、という意思を込めた言の葉たち。**]
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