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― 一か月前、兄の私室で>>1:=12 ―
[兄と語らう、緩やかな時間が流れる。
忙しい中。と、恐縮の言葉を述べながら、ウェルシュはこのささやかな一時が好きだった。二人とも大人となり、交わされる会話の内容はどうしても国に絡むものが多くなる。
けれども、それで構わなかった。二人して、同じ大きなものを見つめているのだ。兄と力携え、共にある。そんな風に知れる、このささやかな時間がウェルシュは本当に好きだった───。]
内から崩れれば脆いものですからね。
……はい。
兄上が外を支えて下さるなら、私は内を固めましょう。
といっても、私など父上の腕どころか指先にも足りませんけど。
ああ、でも兄上聞いてください。
この間お話していた、商業ギルドと貴族との利害を調整するための施策を、父上がお褒め下さったんです。
どうやら上手くいったみたいで……街の者らも喜んでいましたから、ほっとしました。
[うっかりと”自分の目で”確かめたようなことも口にはするが。それは心から嬉しそうに、そんな話もした。
……けど。
言葉途切れれば、持ち出してしまうのはそんな日常の話ではなく。>>1:=6]
父上が?そう…、でしたか。
[そこで聞いたのは、初めて聞く父の思い。>>1:=13
ウェルシュはそれを父から聞いたことはなかった。
けれど、ああそうなのだと思う。
父は訓練しているんだろう、少しずつ。兄を、自分を。
そんな思慮深く暖かな人だと、改めて思う。]
ええ。どちらにも王の位は──── まだ、重い。
それは恐らく父上や我々だけではなく、臣も民も思うのでしょうね。
きっと、全てが満足いくほど充分になることはないのでしょうけど。
それ程までに父上のお力は偉大です。
[あの時。ウェルシュは不安だったのだろう。
もう幼い日とは違う。時経てば失うものがあることを知っているし、変わりゆくものがあることも知ってる。
一カ月後。
王位後継者が正式に披露されたなら、きっとまた何かが変わってしまうのだろう。兄とのこうした語らいの時も。或いは変わってしまうのかも知れなくて……変わっては、欲しくなくて。]
…──── はい。
[だから願い紡ぐ声に、誓いのように肩に置かれた手のぬくもりに、弟は微笑んで兄と視線を合わせた。頭撫でてくれたかつてのように心に刻めば、きっと大丈夫だと静かに自分に*言い聞かせて*]
―一月前の兄弟の語らい ―
[共に成人となった今、話す内容は大人が話す難しいものではあるが、仕事でも無い家族水入らずの語らいだ。
なので、弟が嬉しそうに語る話は褒めて貰いたい、認めて貰いたいという純粋なそれで。
目を細めながら誇らしげに話す弟に、胸の中で何か生まれそうになりながらも微笑を浮かべ、弟の偉業を認める態を見せる。]
上手くいったのか。
お前のおかげで国が豊かになっていくな。
父上もそんなお前が誇らしい、と常々言ってた。
俺も父上と同じ気持ちだし頼りにしているぞ。
[そう、弟を認める言葉を告げ、静かにカップに口を付けた。
まだその頃は、スラムで起きた暴動の原因になるとは思わなかった>>88。]
[父から直接聞いた話を>>1:264弟に伝えれば何を思ったのか>>=2。
その心中は察するに余るが、家臣も民も考えての思慮だという事は此方も理解は出来る>>=3。]
あぁ、俺らを確りと王位継承者として育てる事が家臣や民の平和に繋がるとのお考えなのだろう。
父上の思慮深さには頭が下がるばかりだ。
だから俺達は、そんな父上の顔に泥を塗らぬ様、精進していかないとな。
[目を細め弟を見遣りながら共に歩む、という意思は示すが。
一月後に行われる王太子の発表で一波乱起きるのでは無いのか、という不安は如何しても生まれてしまう。
それでも弟の前では隠し、共に国の為に力を尽くそうと思うのは真である。
願いを込める様な弟の肩を軽く叩き、微笑む弟に真面目な面持ちで見つめていた>>=4。
大丈夫だ、と言い聞かせる様に一度頷き、自分の心に何度も刻み混んでいた*]
― 応接間 ―
[応接間で弟がやって来て向い合う様にソファに腰を下せば射抜く様な面持ちで弟を見遣る。
弟と二人きりでは中々見せない鋭い眼差しは何かを与えそうではあるかも知れない。
前置きはせず、幾つかの報告書を机の上に置き弟に内容を見せてから口を開く。]
南のスラムで暴動が起きた。
報告によれば、商人達の不当な値の吊り上げに不満を持ったスラムの住人達が暴動を起こしたとなってる。
暴動の鎮圧は此方の役目だが、商人関連は内政の管轄でありお前の役目だ。
[腕を前で組み真っ直ぐ弟を見据えながら、弟が以前話していた商用ギルドと貴族との利害の政策の事を思い出しそれを口にする>>=1。]
以前に商用ギルドと貴族との話してたな?
その詳細を詳しく話せ。
そして、それはお前が考えたのか、はたまた誰かの進言で決めたのかも教えろ。
[今の関係からして何処まで話してくれるか分からない。
かと言って、このまま看過する事も出来ないので弟に事情を聴取しようとしている**]
― 応接間 ―
[王の間での話し合いより数日の後、侍従を通じて兄からの連絡>>107が齎された。話の内容はスラムで起きた暴動についてとのこと、その用向きを聞いたウェルシュは一度眉を寄せた。
ともあれ兄の呼び出しを拒むことはなく、ウェルシュの姿もまた指定の時に合わせて応接の間へと現れている。久しぶりとの感覚は、さほどなかった。
そもそもが、兄が軍の用向きで国をあければ一月だって顔を合わせぬことはザラである。けれど同じ宮中で、これほどまでに顔合わせぬことは例になく、それを思うとウェルシュの顔は憂いに沈んだ。]
お待たせを致しました。
[ほぼ同時に現れた兄へ向け、まず向けたのは礼一つ。
向かい合ってソファに座れば、兄からは射貫くような鋭い眼差しを向けられた。なるほど、と思う。
なるほど、これが話に聞く兄の威か。>>=7]
──── はい。お話は使いの者より。
[対するウェルシュはといえば、それに怯える風を見せなかった。兄だからというのもある。けれど穏やかな物腰のまま折れぬ柳の如き強さを見せるのは、これも同じく兄の前では見せてこなかった顔。それは政の場にある人の貌で。]
南のスラムで暴動が起きたと。…、なるほど。
[冷静な、怜悧とすら呼べるほどの仕草で示された資料をめくる。その顔が曇った。これにはギルドの権を弱めたことで、貴族と癒着ある商人が値を釣り上げたとある。
…──けれどそんなことは、出来なかったはずだ。
出来ない。ように仕組みを整えた。
何故なら制度の目的は、貧しい者にこそ利益あるよう整えたものだったから。
それは王の目を通り元老院の目も通り施行されたはず。
献策したのは確かにウェルシュ、けれどその前にガードは幾重にもあったはずなのだ。なのに。]
いいえ。兄上、これはあり得ないこと。
[だからまず、返されるのは端的なる否定の言葉で。]
あり得ないはずです。
私のつくった制度がそのまま実施されたのなら。
私は民のため、貧しき者らの為の施策を考えました。
それは父上とてお認めになられたこと。
それゆえに、父上は私の施策を実行なされたのです。
……そして実際、私は民の間に降りてみました。
見落としはないか、不足はないか。
あの時はまだ、そのような事にはなっていなかった、はずです。
[一か月前、兄と街中で出会った日。
あの日のウェルシュの一番大きな目的は、それを確かめるためだったと言っていい。問題はないようであった。少なくとも、この目が節穴でなかったのなら。]
………。
それでも施策を共に練った者の名を問われるならば、ヘルムート・ハイドリヒ・シュナウザーと。
彼は監査局長ではありますが、同時に私の良き相談相手でもあります。良き相談相手にして…教師。というと少し違うでしょうか。
ですが非常に聡明で、良く物事を教えてくれます。
…───とはいえ、兄上。
[つい。と顔を上げれば双眸に宿るのは雷閃くかの如き鋭い光。
この様子を見る者がもしあったなら、やはりよく似た兄弟よと笑ったやも知れぬ。動と静、柔と剛。全く対極のようにも見える二人。
父に良く似て、強く厳格な印象を与える兄に、母に良く似て穏やかな印象を与える弟。
けれど魂の色はどうだろう。…存外変わらぬものと、無論、そのようなもの見る者も評する者もいないのだけど。]
進言により。というのはお口が過ぎましょう。
兄上の目には、私がそれほどまでに頼りなくお映りか。
私が臣の言いなりに、ただ諾々と従うだけの者と見えておいでか?
[それは悔しさでもあったろう。
兄の前で、一生弟であることは変わりない。
けれど今や、二人共に成人をしているのだ。兄はそれでも、一人前とは見てくれないのか。相も変わらず、頼りない庇護の対象としてしか思われぬのか。
その悔しさを滲ませて、弟はじっと兄を見る。
奥の歯は食い縛られ、頬は僅かに紅潮していた。]
………これは我が施策。
ゆえに、これが暴動の契機となったというなら、この一件は私の手落ちです。ですが兄上、この件は腑に落ちないことがあまりに多い。
暴動は果たして、本当に施策に絡むものなのか?
暴動を起こした者らは、真にスラム街の者たちなのか?
或いは施策を歪めた者があるのか、
……ただ、民の不満を煽りたいだけなのか。
兄上。兄上も噂の件は、ご承知でしょう。
何者かが父上を弑し奉ったのみならず、それを広めた者がいる。
その者の狙いが何かは、分かりません。
…が、私にはラメールを揺るがさんとする者のあるように思えるのです。上を崩し、下を揺さぶり、国滅ぼさんとする者の意思があるようには思われませんか。
[一息に言ってのけた視線は、兄の上に据えたまま。
そうして漸く息をつくと、ウェルシュは兄の前に頭を下げた。]
兄上。この資料、写しはありましょうか。
あれば私にも一部、預からせて頂きたいのです。
もしも私の手落ちなら、私にはこれを正す義務があるはず。
さに非ず、どこかで何かが歪んでいるなら、それを確かめ正さねばならない…これもまた、私の責務でありましょう。
今はこの時、どれだけ手早く手を尽くせるかは正直お約束を致しかねますが、それでも全力を尽くすことはお約束申し上げます。
それまで民と軍、双方に負担をかけることは心苦しく思いますが…
いかがでしょうか?
[いつしかウェルシュの物腰は、常の穏やかさを取り戻している。言葉遣いも兄への敬意を保つまま、兄の応えを待つべく彼の上に視線を*止めた*]
― 応接間 ―
[此方が応接間に辿り着くのと同士に弟も到着したようだ>>=8。
久し振り、と言っても諸外国からの視察で城を空けていた頃より遥かに短いが、共に宮中に居ながらも会っていない期間が久しく感じさせたのかも知れない。
憂う弟に向けた視線は鋭いもの、意図せず発した眼光に彼は怯む事は無く。
穏やかさを持つが折れぬ強さを持つ弟の顔>>=9。
成る程、と心の中で呟きながら、初めて見る弟の一面を見遣りながら席を薦め腰を下ろす。
前置き無しに報告書を提示し、書類を眺める弟の顔を表情を見逃さぬ様見つめていたら、見る見る曇ったものへと変わっていく>>=10。
開口一番に出る言葉は不備は無い、というもの。
貧しき者達に利の恩恵を受ける様に施策したと>>=11。
父を認め施行し、実際弟が町へ視察し不備は無かったと告げる様子を見せている。
確かに一月前弟は城を抜け出し街へ足を運んでいたのは事実。
何処まで確認をしたのかは定かではないが、治安的に安定していたのだから正しく施行されてたとは思う。
少なくとも弟が施策し、父の目も通し正しく施行し運用されてた、という情報は理解した。
と、施策を共に練った者の名を聞けば思わず眉間に皺を寄せてしまう>>=12。]
[監察局であるシュナウザーが、管轄外の事を進言している、という事実には危機感を覚え警戒の念を抱く。
弟が信頼を置き相談相手となっているのは理解出来る。
されど、シュナウザー監査局長から感じ取った野心的な匂い、そして監査とは違う管轄である税に関しての進言したという事実には警告せざる得ないのだ。]
待て、シュナウザー監査局長は管轄外の事に干渉しているのだ。
税に関する事は監査局の仕事ではない。
相談するだけとはいえ、最終的な判断はお前が決める事であり、あくまで参考とするつもりなのは重々承知してる。
が、本来の役割とは違う干渉を許すのは如何なものか。
[結果的に功を奏したとは言え、監査局が内政に干渉をした事は許される事ではない、と忠言を申し付けるが弟はどの様に受け止めたのか。
もし弟が王位に就き、弟を利用し軍を牛耳る事があれば後々の脅威となりうる。
そう思うと、厳重に注意をせざる得ないのは立場上あっての事。
そんな時空気ががらり、と変わる。]
[ヘーゼルの瞳に鋭さを宿す。
それは雷の様に力強く、閃光の様な強い光の様な物を感じさせる。
初めて見る弟の鋭さを見れば、弟とて父の血筋を引いているのだと改めて認識出来る。
が、弟の鋭さに“重さ”が足りない。
確かに弟や自分の鋭さに下の者は畏怖を感じ怯ませる事はあるかも知れない。
されど、父の重厚で且つ鮮烈な眼差しを何度も受けてきた自分にとっては怯む物を感じさせず、堂々とした振る舞いで弟の眼差しを真摯に向き合う>>=13。]
現に話を聞いてみれば、本来関わるべきではない者に関わらせたのは確かのも然り。
お前は素直で心優しい人間である故、兄として気掛かりであるというのも確かだ。
[弟に悔しさがあったのはあるのだろう>>=13。
庇護するべき対象としてではなく、年長者として指導し将来を期待し忠言し次に生かす為に言った意味を兼ねているのだが、それを弟がどう受け止めるのかは定かではない。
そしてこのやり取りを思い出すのは、嘗て自分が父に叱られた事を思い出し、改めて父が何を想っていたのかが少し分かる様な気がした。]
[弟の疑問を耳にする>>=14。
幾つかの疑問点は挙がる。それはまだ軍も調査の段階で、暴動の鎮圧と同時に調査をしなければならない上に、まだ判断できる材料は揃ってない。
が、弟が口にする疑問点は此方も調べれなければならないと改めて認識し。]
一先ず、お前が施策を考え父上に認めてもらい、それが正しく運用されてるという事は分かった。
それにしても、あまりにも暴動が起きるのは早すぎる。
これに限らず、何者かの思惑が絡んでいるのは確かだ。
[国を揺るがさんという言葉には一言此方の言葉を付け加えよう。]
内にも外にも揺るがそうとする者が居るのかも知れない。
幾つかの思惑が複雑に絡んで、破滅に向かっていくのではないかと思ってる。
[不穏な空気にそう感じた言葉を弟に伝えれば席を立つ。]
分かった、後で下の者を通じて資料を渡そう。
それと、施策の資料を後で此方に渡してくれ。
此方の調査の資料として目を通しておきたいからな。
俺は、これから暴動の視察に向かう。
だから、後で下の者に資料を渡してくれ。
[此方の上に視線を止めている弟>>=15。
穏やかな口調で提案をすれば、資料が欲しいとの事。
此方の上に視線を向けている事にすぐに口は出さず、そのまま暴動の視察に向かおうとしている。が、
その前に、弟を真っ直ぐ見遣り、一言だけ言葉を残しその場を後にしよう。]
その目……。
よく見るアレだ、ある意味懐かしいな。
[その言葉の意味を弟が反応見せたり問い掛けたりする前に、此方は応接間から出て行くつもりだ*]
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