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[相棒はヘッドセットを装着する。]
あー。
もしもし聞こえますかー?
こちらツェーザルです。どうぞ?
[さて、反応はあっただろうか。*]
あ、繋がった。
[応答が返って来れば、相棒は嬉しそうに報告してくる。
大丈夫だ、ちゃんと己にも聞こえている。
名乗りは聞いた事がなかったが、その声は]
えーと…あ、あの黒い人っすか?
『おい、それを本人に言うのか。』
え、あ。すいません。
えーと、何か会場で通信機落ちてるの拾ったんですけど、これ通してだとカラドさんとも普通に話せるらしくって。
仲良くして貰えると嬉しいっす。
『相棒のカラドボルグだ。
これも何かの縁だ。宜しく頼む。』
[事情は正しく伝わるだろうか。
取り敢えず、己も挨拶しておこう。]
黒くてモテなくて面倒そうな人で悪かったな
[…そこまで言ってない。
そして色々根に持っているらしい。
聞こえる別の声には密やかな会話ながらつい動きが止まり、彼へ視線を向けてしまう。]
……そういう訳か。
対話が出来るとは、随分高等なものを持っているようで。
[一拍置き、先程の出来事にも理解が及ぶ。]
まあ、二人……と呼ぶべきか?宜しく頼む。
しかし、やはりこちらでは“あいつ”には繋がらないようだな。
[手の中で弄ぶもう一台の通信機。
男は、複数機を所持していた。]
まさか、お前のせいじゃないだろうな?
[脈絡無い言葉は己がカードに向けて
拾いあげた後試さなかったわけじゃない。しかし今まで聞こえなかったのだ。彼等の声は。
そちら側にも微かに伝わるだろう、唸り声のような音が。“獣”は話すことまでは叶わない。]
……悪いな。
癖のある性格でね。そっちの相棒の気配に少し気が立ってるんだろう。
やや、そんな事言ってないっすよ?!
メルヒオルさん格好いいし、ちょい悪そうな感じでモテそうなのに勿体ない。
『そうだな。相棒よりも9(10x1)割方男前だぞ。』
そうそう。って、カラドさん酷くない?!
[相棒は食い気味で主張した。
いつものやり取りが通信機を通して彼の耳に届いただろう。]
『相性が良かったらしい。己も物に宿るものだからな。』
…あいつ?
[此方では、という事はもう一つ通信手段を持っているという事か。
相棒も漠然とそれを察知したらしく、通信相手の方に視線を向けた。
そんな相棒の左手にも、増えたものがあるのだが。]
…?
うぉっ。何かいる。
[脈絡無い言葉に相棒は首を傾げるが、微弱に獣の唸り声が伝われば己は嫌が応にも反応するし、
相棒の身体にも緊張が走った。
けれどどうやら己の存在が影響しているらしい。]
『己の敵はお前じゃないから安心してくれ。』
そうっすよー。
問答無用で倒したりしないっすから。
[二人してそんな声を掛けたが、どうだろうな。]
…漫才のようだな。
[やり取りを耳に呟いた声
それは笑みの色を含み。どうやら上手く流れたようで。]
なるほど。
似たものは俺も知っている。
[それから相性、そう聞けば納得した様子。
そして、相手の手にもこの会話に使っているものでない通信機を確認しふむ、と。]
[そして現在。己が狼の声への魔剣とその使い手の反応に。]
奇妙なことだ。俺達は少し似た境遇らしい。
[なんて、もう一つの通信機を手に口にする。
勿論、そのことだけを言っているのではない。]
こいつも理解してはいるんだろうが、強い力に昂ってしまったんだろう。
何しろ、支配者のカードだからな。
俺が持っている限りお前達に危害は加えない。気にしないでいいさ。
[唸り声は小さくなり、聞こえなくなった。]
[呟き声は茫洋としていてはっきりとは伝わらなかったが、通信機越しの空気は変わっている。
いつも通りをやっただけだが、上手くいったようだな。
相棒にもそれは伝わっているようだ。
通信機から聞こえてくる言葉には笑顔で応じていた。]
へぇ、そうなんすか。
カラドさん良かったね。
『形が似ていても、性質まで同じとは限らないぞ。
…まぁ、興味はあるがな。』
[呑気な相棒には教訓めいた言葉を掛けつつ。
黒の彼の知るものがどんな性質を持っているのか。
それは共生の道を探る己にとって、思考の材料となるかもしれないからな。]
これも神様のお導きって奴っすかねぇ。
[もう一つの通信機を手にした黒の彼の言葉にそう応じつつも、相棒は少し考えて。]
…メルヒオルさんのそれは、貴方を選んで力を貸してくれてるんすか?
[彼がカードを出していたところを相棒は見ていたんだったか。
それが黒の彼のヒーローとしての力の根源だろう。]
『確かに支配者であれば、対抗し得る力を持つものに対して反応せざるを得ないだろうな。』
あはは、強い力ってところは否定しないんだ。
『当然だろう。己達もヒーローだぞ。
――貴方の力が強い事は己にも感じられる。それが正しい事に使われる事を祈ろう。』
[いつの間にやら唸り声は聞こえなくなってしまったな。
心穏やかになっているといいんだが。]
この手で元の所持者を打ち倒し、力を示した結果だ。
お前には、どう見える?
俺はただの略奪者か。それとも、
……いや、よそう。
[静かに首を横に振った。彼ら以外には気付かれない、刹那の時。]
それで、そっちはどうなんだ。
こいつを昂らせる程の力を持った魔剣、どうやって手にした。
……。
[投げかけられかけた質問は、黒の彼によってなかったものとされる。
前の所持者はどちら側にいたんだろうか。
けれど今、彼はヒーローの側に立ってその力を使っている。――それならいいのでは、という言葉では、答えには足らないだろう。
代わりに投げられた質問に、相棒は応える。]
…俺っすか?
魔物の起こした事件を捜査してる途中に魔物に遭遇したんすけど、一般人がまだ避難し損ねていたからつい、警棒持って殴りかかったんすよね。
まぁ当然只の棒なんで、叶う筈ないんすけど。
それで一般人は逃がせたんですけど、俺は危うく死にかけて――そしたら、カラドさんが助けてくれたんすよ。
『まぁ、危なっかしくもあるこいつの志に共鳴したわけだ。』
で、カラドさんと契約して、俺達はタッグを組んだってわけっすよ。
[へらりと笑っているが、己が助けなかったら死んでいたんだからな。]
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