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ねえ、父さん 母さんは?
「……あいつはもう帰って来ない」
どうして?
「……帰れない場所へ行ってしまったからだ」
[ぽつり ぽつり
空の涙がアスファルトにシミを作る
それは僕の心へも、暗いシミを作った]
[母さんが居ない庭 暗い世界に咲く白薔薇は何よりも希望を表していて
その1輪の花びらにそっと触れる]
母さん……僕が、この庭を守るよ
[咲き誇る純白に接吻を落とす
ひとひらの雫が、頬を伝った*]
「ねぇ、晶 晶は“白”って、どう思う?」
しろ?綺麗ないろ!!
「ふふ、そうね 後はね、白は何にでもなれる色なのよ」
なんで?ほかの色になれるから?
「光が何故白いのか知ってる?」
―ショウの記憶―
[まだ母がいた頃、ビーズのアクセサリを作ることにハマっていた
その日も夜の10時頃まで、ひとり、指輪を作っていた
すると、開け放していた窓から誰かが入ってきた
泥棒かと思ったが、その人―――まるで、騎士のような格好をした金髪の男性は怪我をしていた]
お兄さん………大丈夫ですか………?
[悪い人だったらどうしよう
そう思うものの、その人が心配で、声をかけた]
[声をかけたところで、言語が一緒かどうかという
だが、「あぁ」という返事で、言葉が伝わることに気づき、安堵した
すぐに部屋にあった絆創膏を取り出す
……と、ここで足音がする
父のものだ]
あっ……か、隠れてください……
[小声で伝え、入口からの死角に彼を匿えば、ドアの開く音がする]
「いつまで起きているんだ もう寝ろ」
ご、ごめんなさい……… さっき終わったから、もう寝る………
[そう言えば、ドアが閉まり、足音が遠ざかる
ほう、と息を吐いて、絆創膏を出し、まず目に入った頬の傷へ被せた]
「……お前は、警戒しないのか?」
けいかい、は………少し けど、怪我してる人を放っては置けないので
「……優しいんだな」
……あ、ありがとう……ございます
[暫く、無言の間が続く]
あ、あの……… 僕、ショウっていいます
[無言の空間に耐えきれずに、紡ぎ出したひとこと
彼はその言葉に一瞬、戸惑った表情を見せるが、すぐに名乗り返してくれた]
「ショウ、か 俺はシュウト……あー、じゃなくて、シェットラント」
シェット、ラント……?よろしく
「……おう」
……そうだ、これ
[先程作っていた指輪を手に取ると、彼の手にそっと乗せた]
「これは?」
えっと……おまもり
「……そうか、ありがとな」
[そう言うと、騎士―――シェットラントは立ち上がり、窓から去っていった
ショウの瞳には、揺れる金髪と、はためく真紅のマントが灼きついていた*]
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