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――副長。
自分を機関室にやったのは、そういう意味と思って宜しいんですかね?
[応急修理に従事する人員の監視と、副長との連絡維持――艦のどこにいても会話できるのに、同じ場所にいても仕方ないのは道理だった。
誰が工作員か判らないなか、不用意に、他に預けるわけにもいかないというのも理解はできる]
うん、察しが良くて助かるよ。
現状で誰が味方かわからないし、
確実に連絡が取れる大尉と私は別れて行動したほうがいい。
と、なるとこういう構図かな、と。
状況的に考えて、コンラート大尉は飛行機の通信機器のみではなく、
機体そのものも破損されているから白だと思っている。
彼が黒なら通信機器と一部だけやられた、と言えばいいかな、と。
――そんなものですかね。判りました。
ともかく、いずれにせよ、注意は払っておきます。
[そのあと、確認するように]
……もし、怪しい行動があった場合は?
報告と拘束、どちらを優先すべきでしょうか。抵抗があった場合は――、
[預かっている拳銃を用いることになるのだろうか]
報告優先で頼む。
荒事が苦手なのに無理に拘束するよりは、
泳がせておいて情報にした方がいいと思う。
ある程度人数を集めて拘束する方がおそらくいいだろう。
――クレマンソー大尉より、副長。
機関室の爆破には、我が国製のTNT爆薬が用いられた可能性が高いようです。
バルサミーナ少佐によれば、発見した雷管が我が国の爆弾に用いられるものと同様。
また、使用された爆薬量は約1Kg……一兵卒が私物に隠して持ち込める量じゃありません。
以上の点より、少なくとも工作員の一人は、
出港時より本艦に乗船していた乗員――それも、士官クラスと推測されます。
[報告する声は、幾らか驚愕の名残を残していた]
――こちら副長、感度良好。
なるほどな…思ったより根が深そうだな、この案件。
そこまで周到だと、今から部屋などを探しても証拠物件は残ってなさそうだ。
やはり相手から動いてもらうしかない、か。
――と、思います。
[部屋を探すと、には、同意して]
ただ――……通信長は、その点からは、外れるかと。
その、自分、通信長の私室にお邪魔したんですが。
寝台にさえ埃が積もってたし、荷物もほとんどないし。
鍵もお預かりしたので、何かあれば調べられますし……。
――こちら副長、大尉、聞こえるか?
こちらは現在3人を確認している。
主計科のシュテラ・タラクト一等兵、衛生科のベリアン・ブルーム曹長、見張要員のライナー・シュタインメッツ中尉。
あとは軍医のアレクシス少尉だ。
そちらに合流したものはいるか?
[先のやり取りより、少しして]
――感度良好。
クレマンソー大尉より、副長。
機関室は、司令塔出立時の人員より変化ありません。
了解、司令塔に残った人員と、先ほど伝えた人員。
そしてそちらにいる人員以外を暫定的に敵として認識する。
負傷などで動けない場合はその限りではないが、
そのつもりで対応して欲しい。
バルサミーナ少佐に関しては「白である」という前提で動かざるを得ない。
機関部の修理をするなら彼女の技能は必須であるし、
黒であるなら修理不能と告げればいいし、我々はそれを検証する手段を持たない。
という風に考えると、白であるという前提で動くしかないと思うのだが…どうだろう。
……でしょうね。
自分も、白だと――"思いたい"ですが。
ですが……、副長。
失礼ながら、自分は士官学校で、希望的観測は忌むべきものと、教わっております。
明確に、疑いから外すべき理由がないなら――……、
対策は監視下におく、しかないのだろうな…。
方針を機関部の修理に一本化して人員を増やすべきなのだろうか。
だが機関部だけに人を集めると、外部からの干渉に対して無防備になる。
そちらに戦闘要員を1,2名追加するか…?
――作業効率が落ちてよいのであれば。
全員で同じ作業をすれば、監視は可能ですが……。
……自分は専門外の作業なので、自分の主張が通るかどうかは。
全ての果実を拾うのは無理だな…。
敵であっても動くのは修理が終わった後、と割り切ろう。
黒であっても我々にとって不利な行動は単独ではできないだろう。
人員追加が必要と考えるなら予備人員は司令塔に集中させる。
通信長とは伝声管で連絡が取れると思うので、そちらに要請して欲しい。
健闘を祈る。
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