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ああ、ゼファー兵の強さは、君の奏楽にも匹敵するかもしれない。
目の当たりにして感嘆していられれば官能が打ち震えるものを、勝負の相手にするのは、とても気が重い。
[ 上に立つ者がそれを兵らに悟らせてはいけないこともまた、折込済みの振る舞いだ。]
自分は外交官を自負しているのだけれど、
軍を率いるからには、どれだけ禍根を残さずに事態を収められるか、全身全霊を尽くしてみるさ。
──なにしろ、今回は君と一緒だ。
[ 16歳の時に、ベリアンは実家に呼び戻されて神殿を去った。
彼と義母との仲は、自分と養母ほど穏当なものではないと聞いていたから、大変だなとは思ったが、ベリアンの能力を信頼していたから、引き留めはしなかった。
けれど、本当は傍にいて欲しかった。
一緒に困難を乗り越えたかった。
だから、今を憂いはしない。]
最善を尽くしてみせよう。
しておくも何も、そうだったろう。
[神殿に賊が入った時、その場に居合わせたのが自分達だけだった。
ギィが囮になると言ったから、その必要は無いと自分が前に出ていった。
手に持っていた掃除道具の柄が長かったから、武器にした。
騒ぎを聞きつけた大人達が駆けつけたから、賊は観念して捕まった。
それだけの話なのに、ギィはいつもこちらを持ち上げる]
俺の奏楽程度なら楽勝だったろうがな。
できるなら彼らとは事を構えるは避けておきたかった。
[ギィがこれを言えないのは承知の上で、内心を吐露してみせる。
互いの思考にズレがあれば、それを修正できるように──とは、”声”にも出さないが]
そうだな。
あの頃と同じように。
[16の時。
先に自由になると言って別れたが、本当は神殿の中にこそ自由があった。
窮屈な家、重圧の中の兵役、全てにおいて不自由で。
けれど、今はまた自由の中にある。
己にとって、自由とは友の傍にある事だから]
最善を尽くすのはお前だけじゃない。
お互いに、だ。
[そう言って、笑った*]
だが、世話焼きに免じて、今回はこれ以上、せがみはすまい。
──ありがとう。
[ このまま隣に引き込みたいのも我慢する。]
─ 過去 ─
そうか。
なら、俺はメランだ。
[=8こちらが渡した名をそのまま名乗りに使われたことで、俺に名乗るつもりはないんだなと判じたから。
こちらもまた自分の名ではなく、己の髪の色を名だと返した。
後から追いついてきたのか、供らしき者たちがティノスの周りに控えるのを見れば結構な身分ではあるのだろうが]
お前には、関係ない。
[どうしたという問いかけにも、変わらぬ態度で返す。
相手がどんな身分であろうと、初対面、何者かもわからぬ相手に明かす胸の内など無かったから。
先の、頭の中に響いたような声がどこか、引っ掛かりはしていたけれど**]
─ 天幕内 ─
[>>=9聴こえた”声”に、起こしたかと思いはするがそれに対する謝罪はしない。
ただ、投げかけられたそれには微か、笑い]
俺は別に縛られている訳じゃない。
俺にとって便利だからこそ、家に居るんだ。
それにな。
俺の存在が面白くないのは、何も義母上だけじゃない。
そんな中で後継を育てれば、また新しく厄介事が起きるだろうさ。
俺はもう充分人の口端に上がらせてもらった。
火種にくべる薪になるのはもう御免だ。
[そう言って、背に受けた>>=10ありがとうという声に手を振った**]
[ ベリアンの目の奥を見つめる。]
わかっているだろうが、君もまた、
きっと狙われる。
自分が示唆した方法は、君自身に向けられるかもしれない凶事だ。
くれぐれも気をつけろ──本当に。
─ 過去 ─
メラン。
[ 聞いた音を"声"にして返す。
彼の名前までくれるとは思っていなかった。望外の出来事である。
けれど、高揚する気分とは正反対の冷たいものが体の中に伝わってきて、少年は胸を押さえた。]
関係ない、はないな。 ないだろう。
[ そして、先ほど聞いた子守唄を"声"に乗せた。**]
[見送る前。
瞳の奥を見通すような友の目を、こちらも見つめ]
わからんな。
何度も言うが、お前は俺を誤解している。
俺は何も持ってはいない。
持たぬことこそ、俺の強みだ。
例えどんな誹りを受けようと、生き汚く生きてやる。
だから、俺のことは案ずるな。
[そう言って、笑い返した*]
─ 過去 ─
[即興で作った名を、繰り返す相手の声に知らず鼻白む。
悪意があるようには見えない、けれど他の意図も分からない。
明確な何かがあるようで、その形が分からないもどかしさに苛立ちが募っていく。
>>=14胸を押さえる様子に、身体が弱いのか、と思ったのは束の間。
先と同じ、頭の中に響く”声”が紡ぎ出した旋律に、感情の火花が散った]
歌うな!
それはお前の、歌じゃない!!
[ただでさえ母に想いを馳せる事で耐えていた心に、無遠慮に触れられたように思えて。
怒りのままに放った”声”、感情は瞳からも幾本もの涙の筋という形で露わになる。
神殿に身を寄せて5年、誰にも見せることの無かった涙は、神殿の者たちにも驚きを呼ぶものだったろう。
この涙がどれ程の我慢を超えてきたものか、目の前の少年には知らぬことだろうけれど]
俺の主は、俺だけだ!
俺の断りも無く俺の宝に触れて、どうしてお前を受け入れられる!!
関係ないと言われたくないなら、無遠慮に踏み込むな!
お前は俺の、何だと言うんだ!!!!
[神殿に来てから、だけではない。
生まれて初めて感情のままに叫んだ”声”は、確かに目の前の少年が齎したものだった*]
[ 冷静さではきっと負けていない腹心へ、"声"を飛ばす。]
こちらは、これからトルーンに寄って兵を半分、下ろすところだ。
そっちはどんな様子だ?
[ 何も言ってこないのは順調だからだと思っているし、口を挟むつもりもないが、連携することでうまく兵を動かせれば、より損害は減らせるだろう。]
そうだな。
こちらも幾つかの部隊が目当ての位置に配備、既に交戦している部隊もある。
今の所想定から離れてはいないが、楽勝とは言い難いな。
お前も足元を掬われぬように気を付けろよ、ギィ。
=15
[ 近づくゼファー軍船を見ながら思う。
先ほど、ベリアンは、己は持たざる者だと主張した。
自分とつながるこの"声"は、彼にとって価値のないものなのだろうか。
そんな意地の悪いことを言って、からかってみたくもあるけれど、
「持たぬことこそ、俺の強みだ」と告げる声には、彼の自負が感じられて、何ともベリアンらしいと思った。
おそらくは生育環境に起因する自己評価の低さに拘りつつも、彼は決して後ろ向きではない。]
そんな君が好きでたまらない。
[ つれないところもまたいいのだと、"声"に想いが溢れた。]
さて、ゼファーの軍船が動いた。
見張り程度を残して、係留されているだけなら簡単だったのだが。
一直線にこちらに向かってくる。
ぶつけてくる気かもしれない。とてもゼファーらしい判断だな。
あの船に乗り込んでいるのが誰であれ、真剣で頑な矜恃を抱いているのを感じるよ──あの時の君を思い出す。
懐に入り込まないと進まない話というのは往々にしてあるもの。
──届かせてみせよう。
[ 相手の策に乗る、というのではなく、こちらの力を示すという意味でだ。]
─ 過去 ─ =16
[ あの時。=24
"女神の子"は、なりは年相応でも、いまだ、人間界の礼儀も常識も身につけてはいなかった。
自分がしたいことは、自分を包んでいる波動や旋律を表現することくらいだったから、歌ったのだ。
それに激しい制止を叩きつけられれば、痛みに触れた気がして身を引く。
メランと名乗った少年が涙を零すのを、俯きつつも凝視していたが、やがて、じわりと近づいた。
"声"を発したのが誰であるかは、 正確に把握していた。]
[ 彼の何であるか。
その問いかけに、息を呑む。]
── 翼
[ 予言にも似た"声"を繋ぎながら、黒髪の少年の頬を流れる涙に唇を寄せる。
遠慮とか断りという概念はわからない。
ただ、獣が患部を舐めて傷を治そうとするように、彼を癒そうという行動だった。*]
ベリアン、
ゼファーの船は、バルタ・ザール将軍が指揮をとっていた。
戦闘中に見失ってしまったが、船と運命を共にした、ということはないと思う。
ロマンには流されない男だろうから。
自分は、引き続き海にいるが、余力があればゼファーの拠点まで攻めたいところだな。
[>>=22届いた”声”は、いつもの軽口。
余裕を崩さぬ様は、すぐにも駆けつけぬ場に在る今なんとも心強い。
>>=23耳に届く状況を考えれば楽観などできようもないが]
そうか。
なら、俺が案ずる必要も無いな。
[懐に入られた己自身が証人だとばかり、軽い”声”で応じた]
─ 過去 ─
[今まで人前で発したことのない感情は、もう抑えなどきかなくて。
目の前、顔を合わせたばかりの相手に向ける”声”の違いにも気付かぬまま、ただ感情のままに言葉を投げる。
近付いてくる気配に気付きはしても、退くことは逃げるような気がして、身動ぎせぬままにただ、泣き続けて。
頬にその感触が触れるまで、目の前の相手が何を成そうとしたかも、為したかも知ろうとすらしなかった。
だから]
……なに、したんだ。
[それが何だったか、想像はついていたけれど。
こんなことをされるなど考えてすらいなかったから、疑問を投げた後]
俺は、女じゃないぞ。
[分かり切ったことを告げて、けれどもう涙は流れることなく相手を見据え]
ティノス。
お前は俺の、翼だと言ったな。
だがな、その言葉を俺はまだ受け入れられん。
俺にとってお前は、突然現れただけの得体のしれん奴でしかない。
だから、お前が俺の翼だというのなら。
俺にお前を、理解させろ。
お前も俺を理解ってみせろ。
お前が俺の翼なら、俺はお前の手足だろう。
[年不相応なリアリズムは、目の前の少年を即座に受け入れる事は難しく。
けれど、掲げた条件は受け入れることを前提としたものだという矛盾は無意識の為したもの**]
[ギィの”声”は、いつでもギィの心のままに投げられる。
それは互いの状況の把握など出来ぬ>>=27遠くの地にある時も変わらないのだから、今のように密接な報告を要する状況などは当然で。
けれど、先の報から随分と間が空いていたから何事かあったか、とは思いはしていたのだが]
ザール将軍……例の酒杯の御仁か。
お前のことだから心配は要らないと思っているが…
あまり欲はかくなよ。
ゼファーとて折角取った領地に築いた拠点だ、何も用心していない訳ではなかろうしな。
[己がゼファーに足を運んだ事はなくとも、ギィが見聞きしたものは己の知識ともなるものだ。
彼の国の宴での一件だけでも油断ならぬと分かる相手と対峙したという友に、忠告の言を投げた**]
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