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[ひとりになれば思うのは教会のこと。
否、アデルのことと言った方が正しい。]
――…アデル。
[小さく名を紡ぐ。]
君は今、どうしているのだろうね。
元気にしているだろうか。
……泣いてはいないだろうか。
[案じる想いが、声へと滲んだ。]
傍に居ると言ったのに……
何も言わず離れたのだから恨まれても仕方ない。
[アデルはそのようなひとでないと思いながらも
悔いる気持ちがそのような言葉を綴らせる。]
アデル。
君の無事を、そして幸せを、祈っているよ。
君が笑顔で過ごせる日々を、希う。
――…頼られぬ事が淋しいと思うのは
頼られる喜びを知ってしまったからだろうな。
それを教えてくれたのは――、……。
[小さな、子供だったアデルの姿が過る。
彼に必要とされる事が、喜びだった。
教会という狭い世界でのしあわせは彼が近くに居てくれた事。]
[人ならざる者となってしまった男は
吸血鬼の城に身を寄せながらも
己のいるべき場所は此処ではないのだろうと思う。
人でもなく、魔にも染まりきれず、季節はひとめぐりしてしまった。]
アデル……。
[吐息まじりに名を呼んで柳眉を寄せる。]
――…あの反応からして、息災か。
[神子の身に何かあったなら
修道騎士はあのような反応はしないだろう。
息災であってほしいという思いが零れる。]
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