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どうしておまえは、そう…
―――おもしろいことを私に黙って、…。
[いくつも言いたいことはあったけれども、
そんな文句だけを言って]
― 城内 ―
[己の血を媒介に凝集させた輝石。
そこにいつからか、細く繋がる気配があるのを感じる。
見えねど幽かに感応するものがあるのは、
一度、自分がその世界に身を置いたからか。]
バルタザール。
私の、
[彼はどちらの名で己を規定しているのだろう。
そんなことを思いながら呼びかける。
おそらく聞こえるだろう、と。]
わたしはいつかおまえを呼び戻すだろう。
未だ磨かれぬ原石を珠となすために、
歪まぬ強きを愛でるために。
[鈍色の輝石を撫で、掌に転がす。]
私に創生の力があれば今すぐにでも呼び覚ますのだが
あれは、アレクシスのものだからね。
私の愛しい幼子。
いずれわたしはおまえをこの手に
それまでは夜毎におまえに愛を語ろう。
私たちが歩む遥かな道のりを、
長き道の果てに見出すものを。
私たちがこの世にある意味を。
["遺産"に語りかけるギィの斜め後ろで、蜜蝋の蝋燭に火を灯せば、柔らかな香りが立ち上った。]
おまえの魂が奈落の闇に迷わぬよう──
これを目印に置いておく。
[燭台を塔の窓辺に運び、欠けた月を見上げた。]
どれほど望もうとも、おまえは私の血から離れられない。
そういうものだ。
私は、おまえが抗い続ける姿が見たい。
そうして、私を惹きつけ続けるおまえを見ていたい。
おまえの抵抗をことごとく折り、
おまえの心のよりどころを踏みにじって、
なおも壊れぬ美しき輝石を愛でたい。
―――その果てに、私はおまえを…
いや。
すべて蹂躙しつくされたと思ったあとにこそ、
おまえは、自分が真に自由であったことに気づくだろう。
おいで。私のものとなる子よ。
おまえが気づくまで、何度でも壊してあげるよ。**
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