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ふ、言ったな。
[これから命じることは、彼の意に染まぬだろうけれど、あえて明朗に声を響かせる。]
決戦は継続中だ。
先行する艦を追って、おまえが指揮を執れ。
おまえがカルボナードに行き着く時間は、俺がかせいでおく。
[“幸い”シュヴァルツアインはシュヴァルツアインに捕まって動けない状態だ。
自由に動ける状態で同じことを告げるより説得力(?)が増している。]
な………
[衝突の衝撃から立ち直らないような意識で声を零す。
届いた命令に反駁しようとして、なにか言おうとして、結局唇を噛んだ。]
………… 御意のままに。
[絞り出すように声を送る。
なにを馬鹿な、とは言えなかった。
今はそれが最適解だ。理性はそう判断する。]
[それでもあなたの側に。
いさせてくださいと、言う事はできない。
ふたりが描いた世界を実現する道を、閉ざしてはならない。]
ああ、行け。
おまえは扶翼官──皇帝の全権代行者だ。
おまえがやり遂せたならば、俺がしたのと同じこと。
交渉はすべて任せる。
ただし、おまえを獲られることだけは却下だ。
俺たちは一対の生き物だ。
ザイヴァルのワインは無事か?
つまみはカルボナードで見繕っておいてくれ。
[無事を祈る声に、屈託のない笑いを乗せる。
気負ってなどいないと。そんな素振りで。
方向性が違うだけで、やはり似た者同士なのかもしれない。]
あなたという方は……
[ここで全権代行者を持ち出してくるかと息を吐く。
確かに一代限りの扶翼官に与えられた権限はその通りで、交渉に当たっては彼と相談することもなく行うこともあった。
必要なかったのだ。
自分と、トールの意思は、最終的には同じ場所へと行きつく。
しかしながら、皇帝を盾にして扶翼官が先に行く、というのは主従が逆だろう、と思うが]
わかりました。
カルボナードの頑固者たちに、冷や汗をかかせてきましょう。
─── ええ。
祝杯は是非、東の海で。
[彼が直面するだろうことを思うと、自分こそ冷や汗が滲む。
それでも信じているから、信頼されているから、
己は己の為すべきことをしよう。]
それを聞くと、カルボナードの連中が気の毒になってくるな。
[信じるゆえに送り出す。背中で見送る。]
ルッツ、
提督から戦闘を停止したいと申し入れがあった。
通達が回って以降は問題なくカルボナードまで行き着けるはずだ。
この戦争がどのような終わり方をするかは、そこからの交渉次第になる。
[ゲオルグから提案された内容とアレクトール自身の回答を伝えておく。]
むろん、それに義理立てする必要はない。
おまえなら、より良い道も見出せるだろう。
…というほど丁重な申し出ではなかった。
おまえのカルボナード行きを止めろという話だ。
俺も甘い。
戦闘停止の申し入れ、ですか?
[聞こえてきた声に、いささか拍子抜けといった気配纏う声を返す。
ただトールが無事であるらしいことには胸をなで下ろした。]
わかりました。
では通達が来るまでこちらも戦闘を停止して待っていましょう。
交渉の方はお任せください。
[告げたのちに、聞かされた会談の様子に、暫し沈黙した。]
………つまり、ウルケルは最初から帝国に勝ちを譲るつもりだった、ということですか。
[いくらか気配が冷えた。]
帝国も、舐められたものですね。
譲られた勝利に喜ぶとでも。
[呟くほどの声で言ってから、纏う気配を払う。]
いえ。
実利を取るならばそれでもかまいません。
そのように調整してみましょう。
[複雑な心を胸の内に収めたところで、甘くなかったと言われて首を傾げた。]
要は、現時点でおまえと元首を交渉の場につかせたくないんだろう。
[続けて、ゲオルグの主張を伝える。]
俺はおまえの誇りとか聞いたことがないな?
そうでしょうね。
私が直接カルボナードに行けば、交渉の権限は提督から離れますから。
[トールの見解に同意を示す。
相手の主張を聞けば、やや首を傾げた。]
友情や誇りと金銭の間には、少し相容れない要素があるとは思いますが…
何らかのケジメが必要という事でしょうね。
この戦いを清算し、海峡を開くに足る何かが。
[暫し対策を黙考するが、]
私の誇りですか?
それは、帝国の、そしてあなたの扶翼官であることですよ。
[それらを穢されることがすなわち、自分の誇りを穢されるということ。]
ケジメ、そうだな。
今、提督もそんな趣旨のことを言っている。
俺の旗艦に単身で乗り込んできて、すでに勝ったつもりの圧で交渉をふっかけてくる、その実直さはやはりウルケルの柱というにふさわしい男だな。
───そうですね…。
私たちの理想を実現するためには、海峡の完全に自由な航行、という項目は外せません。
いえ、それ1点のみ、ともいえるでしょう。
これに対してウルケル……提督が誇りを言うのでしたら…、
我々は"誓い"という形でこれに応える手もあるかと。
未来永劫に、帝国はウルケルと敵対しないこと、
ウルケルの独立不羈たる精神を尊重し、
無二の友人として共に歩むことを、
あなたの名で、そして帝国そのものの名で誓うこと。
なんなら、帝国の代々の皇帝が守るべきものとして制定してしまっても構わないでしょう。
その誓いを疑うのは、私たちの誇りを傷つけることと同義である、とも。
何も出てこなくても言ってやるよ。
で、提督が納得してくれるか、ぶつけてみた。
[了解も得ずに事後報告。]
[ルートヴィヒの意表をつくとワクワクするのはどういうわけだろう。
勝手に言葉を借りたが、それすらも「あなたの役に立てたのなら、嬉しい」と言うルートヴィヒに早く会いたくなる。]
安心しろ。力になっているに決まっている。
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