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いつか必ず、おまえに伝えたい。
なぜ、おまえに血を注いだのか。
どれほど、私がおまえを求めたのか。
愛したいと願ったか。
[悲痛な叫びが消えて、谺ももう返らない。]
その魂が、まだ、我々の近くにあるのなら、
我々は言葉を、愛を──語り、教え続けよう。
そして、おまえが迷わぬよう、夜毎に燭を灯そう…
[ギィは、彼の最期を見届けることができたのだろうか。]
──…ユベール、
[深く傷ついているだろう彼にかける言葉も喉につまり、ただ、想いを飛ばして労る。
愛に迷わない彼の強さ脆さを、もろともに抱きとめる。]
ヴァンス。
[背に腕回すような声に、溜息にも似た音を返す。]
あの子は、ちゃんと戻ってきてくれるだろうか。
仲間に送られたことで、
満ち足りて消えてしまってはいないだろうか。
[普段からはかけ離れた弱気な声が零れる。]
たとえあの子が望まなくても、私はあの子を連れ戻したい。
それであの子が苦しむのだとしても。
これは、エゴだ。
私の。どうしようもない。
[流れ出す言葉は、ほとんど独白の色を帯びる。]
私をまっすぐに見るあの目が愛おしかった。
私を殺すための視線だとしても。
あの目がどんなふうに蕩けるのか、
どんな色を乗せるのか、見たい。
もっと見つめられていたい。
あの目が憎しみだけを向けてきても、構わない。
私を、見てくれるのならば。
[ただの1吸血鬼としてではなく、
ユベール・ギィとしての個を認識し、執着してほしいと望む。
どのような感情であろうと、他ならぬ自分に向けられるものなら、
それは自分にとって”愛”に等しい。]
これは、エゴだ。
私の存在の、根幹だ。
[低く、繰り返す。]
私とあの子の間にどのような音色が響くのか、
知らぬまま、諦めることなどできない。
あなたがするようなことしかしていない、 ユベール。
それも、だいぶ序盤にするようなことだ。
誘われた時に、混ざれと呼べばよかったか。
[しゃあしゃあと応えたが、内心、まだしてなかったのか…と、昨今の彼には珍しい奥手っぷりに、ジークムントにかけられた情愛のほどを思う。]
唇は奪っていない。
[安心材料(?)をひとつ投げて、それから、一拍おいて続ける。]
彼の血は──これは天然のものなのか。
あなたの血が入っているので惑乱されているのかもしれないが、同族喰らいに近い味がした。
…ああ。そのようだ。
[見ていた、と言外に含めて弟の言葉を受け入れる。]
あの子は、うかつに触れてしまえば消えてしまうから。
―――いや。ほんとうはそこを乗り越えて
深く踏み込むことこそ、必要なのかもしれないけれど。
[さわ…と見えぬ手を伸ばす。
弟の胸に染み入らせるが如く。]
同族喰らい?
あの子が他の吸血鬼を襲っている、ということかい?
[疑念には、こちらも首を傾げる。
我が子が人であれ魔であれ、
他者から血を奪っているところなど見たことは無いが。]
それであの子が命を繋いでいるのなら、
構わない、と私は思うよ。
[同族を狩っているのでなければ。
思考は我が子の命を至上とする。]
今、けっこう、危険なことをしている自覚がある。
[服薬しているからといって、聖血の効果を消せる補償はない。
だが、ギィのところへユーリエを行かせるわけにはいかなかった。
行かせれば、ギィはなんの細工もなしに聖女の血を吸いたがるに決まっているから。]
あなたを、喜ばせることができればいいんだが──叱られるかもしれない。
聖は魔を浄める。
魔は聖を穢す。
どちらの色に染まるかは、色の濃さ次第──にならないのは色彩学をかじった者なら知っていること。
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