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どうせ、ルビーの事だ。
お前の声が聞こえぬとわんわん泣いてボルドーを
困らせているに決まっている。
せいぜい、お前が出来るのは。
ルビーの傍で躓かない様ボルドーと見守ってやるくらいだ。
1人は慣れ切ったと思っていたのだがな……。
[聲が返って来る事が当たり前になっていた]
……だから…情など…嫌いなのだ…。
[1人誰にも届かない聲は銀嵐の闇へと吸われて消えた]
銀嵐の中で…迷子になってないといいが…。
まぁルビーとボルドーの事だ。
迎えに来ているか……。
[人混みが怖くて泣いて困ると、ブラッドの親に
相談された事を思い出す。
ルビーを頼むと言ったが。
案外ブラッドの世話を2人がする事になるのかもしれんと微笑んだ]
3人で…仲良くいろよ……。
[疼く左手を撫でながら呟いた。
2人の遺体を喰らえば、喉の渇きは押さえられるかもしれない。
だがしなかった。
送り出すまでは耐えようと決めていた…彼らはもういない。
何を耐える必要があるのか]
[夢を見た。
銀嵐の白い闇の中。
狼の嗅覚をもっても。
狼の視覚をもっても。
狼の聴覚をもっても。
何も見えない、聴こえない、嗅ぎ取れない。
仲間の気配も赤い聲もない真っ白な闇の中。
遠吠えが一度響いて。
錆色の狼はその場から動く事無く銀嵐の白に埋もれて逝った]
[ヤコブの傷跡を見ながら静かに考える]
何が起きたか判らなかったかもしれないが。
痛くは無かったろうか。
これでも狩の腕は落ちてはいないと思っているのだが。
[流れているのは血だけだろうか。
談話室の時のまま、涙の痕が残っていないだろうか。
血の痕も、涙の痕があったとしても拭う事もしなかったろう。
その役目は自分では無いから]
ああ、でもあんまり堂々と仲睦まじい様子は見せつけるなよ。
ボルドーがいたたまれなくなるからな。
[聞かされ続けた惚気かと思う聲の数々を思い出して
溜息を吐く]
まぁ、ボルドーもフリーデルと出会えたなら仲睦まじく過ごせばいいんじゃないか。
[それならいいか、と何処まで本気か判らない事を口にしながら]
[彼らが旅立った場所に、誰がいるのか判らないが。
共にあれば…今度こそ皆で暮らせればいい。
下らない事を口にした直後に表情は寂しげな笑みに]
ルビー、お前がリーザを選んだのは利からではなかったな。
[ただこの残酷な騒動に巻き込まれた少女に与えられる
せめてもの慈悲]
今も…リーザにこの騒動の中に入れたくないと思うか?
[返らぬ問いを虚空に零す]
[慈悲を与えたくとも、自身の牙も通さず。
眠り齎す力を持つ者ももういない]
……そうだな…見せられないな…。
[呟いた答えの先は自分にしか見えていなかった]
[風呂で昔を語りながら、含む様に笑う]
あいつらにも教えてやれば良かったか?
いつもお前達が頼りにしているレジーナにも
抱きつけば折れそうな位可憐な時期があった事。
だがきっと知っているか。
[レジーナに直接聞かれれば熱湯を掛けられそうな
事を口にして]
本来なら…私の方が…逝くべきだったのに。
[特別な仲間と特別な村。
秤に掛けても揺れるだけで傾かない]
私は随分弱い男だったな。
[判るのはそれだけだった]
お前達がいなくなって…まだ一日も経っていないのに。
やはり私は弱くなっていた……。
人間ゴトキがしぬかもしれないことに。
おびえている。
[必死に何かを取り繕うとしている自分を感じて。
嘲笑うしか出来なかった。
怯えるなら選べばよかったのに。
無くしてから後悔する己を]
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