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マレンマ。
人の子は、何故
無知貪欲傲岸のなせる業か?
それとも他に、何かあるのか?
[それだけ真に不思議がるように問いが紡がれる。
目前の人の子、それに投げた問い>>28をなぞるかのように。]
…────ふ、ふ。 シメオンか。
思えばあれも変わり者よ。
だがそれ故にこそ。
わたくしはあれを好んだものだし、
あれがわたくしの元についたも、似たような理由であろう。
[密やかな笑い声が含み落ちる。
今は物言わぬ、淡き月白色の影の名残りに指先を触れ。]
………。
愛しき子よ。
もしも人が───…人の子が。
ただの貪欲ではなく無知の為でもなく、
傲慢と呼ぶに相応しからぬ知と力を備えているというならば。
あれらは天に、それを示さねばならぬ。
…───既に天の裁定は下っているのだ。
傲岸不遜の人の子は、地より粛清されねばならぬ。
これが天の裁定だ。
だが、この裁きには実は続きがある。
─── 最後の審判は、大天使ナタリエルの手に。
つまり。
あれらが真に天を目指したいというのであれば、
越えてみせるはわたくしである。……ということだな。
[にこりと笑う調子で付け加えた。
それは確かに、どこか楽しむかの気を滲ませて。]
あれらが力を示すか、知を示すか。
…果たしてそれだけの気概があるのやら。
天の御使い落としたとなれば、
多少は見どころもあるのであろうが。
───── 楽しみなこと。
[冷えた、刃のような笑みが落ちた。*]
……夢、なのだと思います。
知らないことを知りたい。
新しい場所に行きたい。
そんな喜びと期待があるのだと。
[記憶を探りながら答えた後、
かつて、自身もまた未知なる星空へ挑もうとする彼らを、
憧れの眼差しで見ていたことを思い出し、
───恥じ入るような色を見せた。]
[そして、天の裁定に関わる話を聞き、
眩しいものを見上げるような吐息をひとつ零す。]
師父。
人が、あなたの裁定に耐えうるほどであることを、
私は ───…
[途切れた言葉の向こう、吐息は微かに震えて]
……。これが人の子の在りようか。
貪欲であり無知であり愚かである。
ただ行きたい知りたいと、ごねるばかりでは話にならぬ。
やはり浄化は急がねばなるまい、な。
[どこか気を落とした様子の声と共に、嘆息の気配が落ちた。*]
[天の声通じて届く響きは、どこか己の心情を映すかのよう。]
……どうして人は、
幸福を願うなら、受け入れるべきなのに。
[吐息ひとつ、響かせる。]
わたくしの嘆きが、お前にも伝わったか?
[目を合わせて微笑み交わし、けれど天の響きに乗るのは、
寂しいほどの透明な哀しみであり。]
────天の理を、
人の子に知らしめるはやはり無理があるのであろう。
天を征く神の理、地に這う者の知らぬ道理か。
[虫けらに、と。
彼に理解させる為に用いた表現は使わぬものの、
本質は変わらない。
小さな息を零し、淡く笑みを浮かべて。]
そうだな、愛しき子。
この地は───人の子は、救われねばならぬ。
神の御心のままに。
[願いに応じ、慈悲深く瞼を伏せた]
地の面を清めしより後は、
私が、新たなる人々に神の理が届くよう努めます。
二度と浄化を受ける必要の無いよう
正しき道へ、導いてまいります。
[だから、とは言わず、ただ手を伸ばす。]
あなたを嘆かせるようなことが、
この地で、二度と起こりませんよう───
[遙かな高みへ届くようにと、祈り響かせた。]
───人が、この景色を見たのなら、
その時初めて、人間の小ささを知るのかもしれません。
[初めての光景に見入ったまま、吐息のように言葉を零す。]
もっと高く飛んでみたいと望む、私の心があります。
あの美しい場所に、包まれてみたいと。
けれどもそれはあまりに畏れ多いこと。
これより先は、肉体纏う身で踏み入れてはならない場所。
蒸気の煙で穢すなど、あってはならない場所です。
────…ふふ。 そうだな。
[大天使の嘆きを払いたいと、差し出される心に。>>*44
大天使は密やかな笑みを以て応えた。
それで嘆きの消え失せるわけではない。けれど、]
…… 大丈夫だ。
[間違いなく心は少しだけ軽くなる。
慈雨のようにささやかな、けれど確実に齎される救い。
その貴重さを、彼自身は知るであろうか。>>*44]
ああ。
その時こそ、この地は清浄なる地へと生まれ変わる。
……楽しみにしているよ、救世の子。
そのようになれば、地には天の祝福が溢れ、
この地は天の楽園の如くなるであろう。
───── その為にこそ、
[天の子の祈りに祈り重ねるように、囁いた。**]
時が至れば、必ずやお前を呼ぼう。
だから今少し、待っておいで。
[それは愛しき子を、その体力を案じる言葉でもあり、
同時に背後を任ずる信頼の証でもある。
短くそれだけを告げ、大天使は光の軍勢を率いて出立した。]
………… 、
[いとし子からの呼びかけに、返る声は少し遅れた。
人であれば息整えるかのような、間を置き声が返る。]
どうした? マレンマ。
[声は努めて平静に、だが戦いにより幾分常とは違う──…
僅か、消耗した…息切らしたかの様子は気取られたか。]
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