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何かが掛け違っている── ああ、そうに違いないんだ。
シルキーは国民に委ねると言い、貴族たちやクロードはシルキーに認めさせないダメだと言う。
この国に責任をとれる者はいないのか。
責任を取れる者、か。
………俺が今まで会った中で、先をしっかりと見据え、人々を想い、更に率いることも出来ると思える奴は、一人しか居ないな。
アレイゼル卿?
[クレメンスのところに押し掛けてきた彼は、強かな男、という印象だった。
実際に膝を突き合わせて話したシメオンの評価はより高くなったようだ。]
彼は今、おれからそう遠くないところにいるな。
とはいえ、敵本陣だが。
[そう告げ、自分がオプティモに戻ったことを知らせた。]
オプティモは、北門での激しい戦闘が終わったところだ。
これから篭城戦になるのか、講和になるのか、まだちょっとわからない。
救護所にルディが運び込まれていた。
事情はわからないが、銃で撃たれたらしい。
幸い、おまえが銃創の手当をこっちの医師に伝えていたおかげで適切な治療を施されていた。
ありがとう。命の恩人を助けてもらったよ。
ああ。
人の上に立つ責任と言うものは心得てる奴だ。
領地を治めてるだけある。
油断ならないところもあるが……俺が会って話した、って括りの中ではアイツになる。
おっさんもその枠には入るんだが、身軽な方を好みそうだったんでな。
[最後は少しだけ笑いが漏れた]
そっか、戦闘は一区切りしたか。
[安堵するのとはまた違う声。
どこか複雑な、苦さを含んだ色。
それも直後の報告で驚きに塗り替えられた]
ルディが!?
まだ息はあるんだな?
適切な処置されてるんだったら良い…。
…ルディはアレイゼル卿の兵として参戦してたはずだ。
森の民に訴えかけて、彼らも共に。
ルディを撃ったのはきっと、俺が教えたライフルだ。
[声が僅か、揺れる]
[クロードと対談することはカナンに伝えられ、その内容も掻い摘んで説明する]
なんてか、意固地になってるような雰囲気を感じるわ。
最初から俺との会話は無駄だと思われてるように思う。
悔しいな。
[シメオンから、クロードとの会見の様子が伝えられる。]
「都合のいい側に手を貸して内乱を終わらせ、それを盾に開国を迫る気かと思った」って?
…なるほど、それを怖れていたのか。
この人数でそれが可能だと評価してくれたことを喜ぶべきかな。
いや、介入、影響力の意味するものは、人というより武器を指していそうだ。
[ルディを負傷させたのはマチュザレムのもちこんだ銃だと、自分がその使い方を教えたのだと、シメオンが声を震わせたのを思い出す。]
おれたちが単なる武器商人の手先だと思われてたまるか。
同じ人間なんだと、見せてやろうぜ。
この内乱を、終わらせるぞ。
追加。
「おまえたちは信じられても、おまえたちの国は未だ信じられない」だとよ。
[苦笑に似た笑いが零れる]
ああ……少人数でもそれを可能にすることが出来るものがある。
確かに恐怖だろうな。
そうだな、何としてでも終わらせよう。
国と国とで交わされた約束を違えはしない。
おれたちを信じるというならば、結界を開いておれたちを返し、国交樹立を全世界に公言すればいいんだ。
それを渋るのは、本当は信じていないことに他ならないと思うけどな。
ん、でも、この国は、他の国との付き合い方をまったく知らないわけだから、仕方ない面もあるか。
ただ、やりにくいことは確かだな。
根本的に、クロードは革命家だ。
独創し、独裁し、独走する。
「仲間」というのは「力」と同義に近い。
彼の信頼を得るのは、難しいことだよ、きっと。
特に、異邦人の我らはね。
どう、伝えていけばいいのか──
苦労をかける、シメオン。
いろいろ落ち着いたら、スイーツ休暇とろうぜ。
[その感想の後、語られるクレメンスの言葉を掻い摘んでカナンへと送る]
おっさん達は10年前から予見して、準備してたんだな。
[長かったのだろうか、短かったのだろうか。
その苦労は話からは垣間見えない]
[『国と国とで交わされた約束を違えはしない』───
その点については即座に是とは返せなかった。
昨今は比較的安定しているが、古い歴史では反故にする場合もあったと聞く。
それ故に、こうして使者に立った自分達がそうならないように働きかける必要性>>236をシメオンは考えた]
…ん。
だから、国ごと信じてもらえるように俺達も努力しねぇと。
[他国との付き合い方を知らないことに対して是を示し、ささやかに必要性を呈す]
俺には破壊神にしか見えなかったよ。
破壊することで再生を生む、異国の神を思い出した。
でもこれで諦めちゃあ目指す未来は掴めない。
俺が歩み寄りを主張したら、彼は自分達のことを理解して欲しいと言った。
主張したことを実行出来ないんじゃあ、信も得られない。
話す機会が今後得られるか分かんねぇが、やるだけのことはやってみる。
ああくそ、やっぱおっさんすげぇな。
[元より繋がりがあったからでもあるのだろうが、シメオンが突き崩そうとしたクロードの壁をいとも簡単に擦り抜けた。
晒されるクロードの本心がシメオンにも届く]
[不意に「苦ぇ」という意識が流れ込んできてビックリするも、それが茶への感想と知れば低く笑った。]
そーか、おまえも茶の洗礼を受けたか。
おかわりは断るなよ。
[クロードが点てた苦い茶の後の涼やかな茶と締めくくりの甘い茶のコンビネーションは絶妙だった。
だが、それは教えないまま、お断わり禁止が礼儀だと思わせておく。]
[「破壊神」という評を聞けば、ひとつ頷く。]
現状を壊せば、今と変われば上手くいくというのは、革命家が常に語る夢だ。
[と、シメオンの声の調子が変わる。
何があったんだろう──と思ううちにも、それがクレメンスのせいだと知って、カナンも心弾ませた。
シメオンがクレメンスの強さを感じて、自分も前向きになる、その緩やかな起伏が素敵だと寄り添う。]
あの人に、おれの味方になってくれと言ったけど、
今じゃ、おれの方があの人に懐いているなって自覚してるよ。
ああ、おまえが嬉しいとおれも嬉しい。
げ、この苦行が続くのかよ。
勘弁してくれ。
[事前知識が無いために、カナンの悪戯に気付くことは無く。
おかわりが無ければ良いとさえ思った]
[革命家の抱く夢には、そうだな、と溜息一つ。
やや沈みがちだった心が前向きになると、カナンの心が寄り添うのを感じた]
ああ、俺もだ。
助けてくれたのもあって、無条件で懐いちまってるよ。
おっさんと一緒に居て、話をするのはすげー楽しい。
おれは、開国交渉に必死になるあまり、
クロードを、シルキーを、この国を──理解するより従えようとしていたかもしれない。
開国のためなら、許されると正当化して。
長老殿の薫陶を受けた今、それを恥ずかしいと思う。
ん……おっさんには感謝しねぇとな。
色んな手助けしてもらったし、色んなことを教えてもらった。
技術とかは俺らが教える側だったけど、そう言うのじゃない、大切なことを学べたと思う。
こちらは、アレイゼル卿と会見した。
おまえの見立て通りだった、彼は責任を引き受けてくれたよ。
取り交わしたのは、王府がどうなろうとシルキーを処断しないという内容だが、
こちらが何も言わないうちから、「この誓約は、両国間の国交が結ばれた際、当該信書を以って、両国間の友好の証が一つと為す」という文言を織り込んでくれた。
彼には、内乱後の交渉と国政を担う覚悟もあるということだ。
これより、ソマリ・フル・アレイゼルは我らの同盟相手と思ってくれ。
彼を護ることも我らの任務となる。
長老殿には外の世界へ出てみてもらいたいから、この役目を頼みたくなかった。
あの方には、”楽”が似合う。
そっか、お疲れ。
アレイゼル卿が同盟相手になったのも了解だ。
アレイゼル卿は交渉術に長けてるな。
外交官に向いてそうだ。
彼が責任を引き受けてくれるなら、この国は外交の心配は無ぇだろな。
はは、確かにおっさんにはそれが似合う。
漸くただの隠居になれた、って言ってたぞ。
[そう付け加えて、こちらでの話し合いも終えたことを告げる。
シメオン自身はまだクロードと話したいところだったが、飛行船の絡みもあり一度辞すことにしたとも伝えた]
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