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[もっとも強く欲する者へと過たず放たれる衝動。
ギィの復活と彼の”遺産”によって、絶望の縁から引き返した魂は、狂える肉体をコントロール下に取り戻さんと意識を集中する。]
わたしも、 あるべき場所へ戻れ。
[凍気を操る力を、我が身へ向けた。]
どうした?
何を恐れている?
[猫が喉を鳴らすような、低く響きが空間を渡る。]
怖がることはない。
私にすべてを任せればいい。
おまえの中に私がいる。
その声に耳を傾けて、身を任せて。
私はおまえを求める。
おまえが欲しい。おまえのすべてを。
おまえが私を愛し、私の愛を受け入れることを願う。
わたしの可愛い
そう。今はそれだけでいいよ。
それだけで。
[おおきなものの引き起こす紅い響きは、
ちいさな瞬きを雁字搦めに絡め取り、圧し包む。
その感触はやさしく甘く慕わしく、
包み込まれれば、おおきなものに繋がれて溶けてゆきそうで、]
あっ あぁ あ
[彼我の境のなくなりそうな恍惚がおそう]
や だ 、 い や だ
[心象の世界で首を振り、懇願ではなく拒絶の声を上げる]
……かみさま、
ソマリ
[救いを求める為でなく、抗う意志を保つ為に一心に祈る]
どうして、いやなんだい?
言ってごらん。なにがいやなのか。
[頑なに抗おうとする心に、ゆるく首を傾げた。
抗うほどの何かが、彼の中に残っていたのかと。]
[自分が最後に"視た"彼は、
千々に壊れた心と記憶が、空虚な器に入っているのみだった。
アレクシスより「初乳」を与えられ、
無垢な命が記憶の欠片を握りしめ、名を告げる。
そこまでを知るのみ。
神と、聖将の名を口にする彼は、
捨てたくないとかぶりを振る彼の中には、
今、なにが入っているのだろう。]
アレクシスになにか言われたのかい?
――― いや。かまわない。
おまえの中にかつての心が残っているのなら、
それこそ、私が求め欲したものだ。
おまえの思うようにしてごらん。
私の可愛い子。
おまえが大事にしているものを取り上げたりはしない。
それごと、おまえを欲しいだけだ。
私はいつまでも待とう。
おまえが、私を受け入れられるようになるのを。
おまえはもう、私から離れられはしないのだから。
[今は押すべき時ではない。
彼の中に残っている、あるいは新たにつくられた何かを
再び壊してしまうのは、本意ではない。
恐懼に縮こまっている心から、一度指を引く。
それでも、見ている、との存在感は残して。]
ふ …… ?
[不意に拘束が消えて、>>*34ちいさな瞬きは途惑う。
何故許されたのか分からぬまま、おずおずと縮こまっていたからだを伸ばす。]
……?
[つながっている感覚が、不意に痛みを伝えてきた。]
どうした―――?
[小さな声上げた気配を探す。何が起きているのかと。]
[響き合う世界に、怒りと戸惑いの色が零れる。
痛みは共鳴して、いまや己の身を貫くほど。]
まだだ。まだ―――
[意識せぬ言葉が染み出す。]
私はおまえを諦めない。
決して、あきらめたりはしない。
だから、戻れ…っ。
[想いの手を伸ばす。
こちらに向かう手をどうにか掴もうと。]
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