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[>>*1彼が牙を離せば、此方も鋏を収めた。
落としてしまった裁縫道具を大事そうにひとつひとつ、拾いながら聞く彼の言葉に怪訝な顔をして]
さて、可笑しな事を言うね。
僕は、正真正銘うさぎだよ?
[どうやら、自覚はないようだ。だからこそ、牙で応えず武器で返したのだった。…いつから、自分が、「うさぎではなくなっていた」のか、未だ、気付いていない]
けれど、キミが狼だったのは、僕の予想通りだったなぁ。
…ねぇ、聞かせてよ?
僕を「信じたい」っていったあの言葉、あれは本心?
僕はその一言で、キミが狼だと確信したんだ。
僕を狙ったのは「やっぱり」なんて誤認したから?
それともキミを疑う唯一のうさぎは邪魔だったからかな?
…まぁ、いいや。ほら、早く連れて行ってよ。
皆どこかに居るんだろう?それとも、…もう、その腹の中かな?
[しゃきん、しゃきん――、鋏を開閉する涼やかな音を響かせて、彼の腹を見遣る。
絵本の様に膨れていないから、裂いたところで、浚われたうさぎたちは助け出せないだろうけれど、それでももし腹の中だというのなら、自分も同じ場所に行く前に、刺し違えてでもその腹を裂いてやるつもりでいた。
彼に洞穴まで案内させる間中、指にひっかけた裁ち鋏をくるりと回しては、しゃきん、逆に回してはしゃきんしゃきん、脅す様に鳴り響かせ続けた**]
[リヒャルトの耳を食い破ることは叶わずに
それでも、その長い耳へ噛み痕くらいは残せたか。
同時に喉仏の下辺りを、鋭い鋏で軽く突かれ
ちり、と刺すような痛みが肌を擽った。
血のように赤い双眸――
自分もまた、同じ眸の色をしているのだろう。
なんとも禍々しい色だと評した、褐色のうさぎの意識だった。
「退け」との殺気を感じても、詰めた間合いを開く事無く
ただ静かに、自己の喉元に伝う鮮血を、指腹で拭った]
そうか、――うさぎか。
それで良い、どうせそうして皆を欺かねばならないからな。
[闇夜、幾度も鳴る金属音を背に受け止めながら
褐色は洞穴へ向かうべく、歩みを進めた。
腹の中か、等と覗かれて、「さあね」と哂って返し]
信じたいと言ったのは、ロー・シェンの本心だろう。
疑われていたという自覚は無かったようだが。
単純に…、「ねぼすけ」だから、噛み付いたら覚醒するのでは、と。
[やがて洞穴へ。
辿り着けばリヒャルトを促し――]
今日で、終わりにするつもりだ。
出来るのかは、わからないけれど。
[これ以上、小屋の皆を疑心暗鬼の海に落としたくはない。
そう感じたのは、褐色のうさぎだったか、おおかみだったか*]
[彼の後を追って歩きながら、ぼんやりと、思う。
もし自分がほんとうに彼の言う「ねぼすけ」というやつなら、
「ほんもののねぼすけおおかみ」が誰か、を自分は知っている。
けれど、それを彼に伝える気にはなれなかった。
彼に、これ以上、自分を襲う気がない様子から、いつしか自分はねぼすけおおかみになっていたのではないかと、なんとなく、理解し始めて居たけれど。
…なんとなく、教えたくなかった。
自分が未だうさぎだと思っているから、ではなくて、きっと――]
[辿り着いた洞穴は思いの外小屋に近い。
2、3度瞬きをして目を慣らせば、暗闇とて概ね見える夜行性。
それに、自分は「うさぎ」だ、視力が余り役立たなくたって、音を拾えば凡その景色は判る。
其処に居るのはゲルトと、ローゼンとシェイ、多くとも3人だと思っていた。…けれど、なんだか気配が多い。
>>+2ほんの僅かで止んでしまったけれど、笛の音が聞えた気がした。まさかカスパル?も、居るのか…?何故?
ロー・シェンに背を見せるつもりはないから、追い抜く事はせず、彼の歩みに合わせて、洞窟の皆の元へと顔を出しただろう。
怪訝な顔をして首を捻る。レトは兎も角、カスパルは皆で閉じ込めたんじゃなかっただろうか?
…何故一緒に居るんだろう?
赫い眼を光らせて、ゲルトとカスパルの会話に耳を欹てた*]
[元気そうなふたりにすこしだけ安堵したけれど、なんとなく、近寄り難くて、離れた位置で足を止めた侭に。
駆け寄る事はおろか、声を掛ける事も、出来なかった。
きっと、彼らは、自分を見て、怯えるのだろう]
……ねぇ、キミは、僕が「ねぼすけおおかみ」で、良かった、と、少しでもそう思った?
[戸惑いがちにロー・シェンに伸ばし掛けた手を、触れずに、下ろす。
ほんとうは、彼も、「違う誰か」の方が、よかったんだろうなぁ、なんて。ぼんやりと、思う。
誰といたって独りで、帰る場所なんてなくって、……これで、寄り添う場所もなくなったのかと、昨夜までは手を差し伸べて傍に居てくれたであろう「うさぎたち」を眺めて、気付いた。
力なく握った、鋏を見下ろす。
どうしようか、居てもいい場所が、もう、何処にも見当たらない…]
[リヒャルトのまねっこ先を聞くつもりはなかった。
故に「オリジナル」なのかと問うことも、しない。
まねっこうさぎとまねっこ先には
オリジナルオオカミである自分にはわからない、
見えぬ糸で結ばれているような気さえ、していて。
否、そんなロマンティックなものでも無いのかもしれない。
けれど、少なくともファミルやタクマには、
そんな感情が宿っているような気さえしていた]
[羨ましいと、感じる事はあれど――
強引に暴く気はないし、そうする必要も今は、無い。
眠ったまま覚醒しないオリジナルのねぼすけが
どう感じるのかは、わからないけれど]
[「信じたい」そう思ったのは嘘では無いのだ。
いつも寝てばかりの彼は、起きると
無理にはしゃいでいるように思えて。
疑うことで、わざと他のうさぎを寄せ付けぬようにしている、
そんな風にも見えていて。
零れる鋏を見て、呟いた]
オオカミとうさぎだから、駄目なんだ。
皆、オオカミになればいい。
この洞穴がウサギでいっぱいになった時、
――…皆、オオカミになれるから。
[そしてその時、自分がどうなるのか。
どうするのか。
オオカミになってしまったウサギ達が、どうなるのか。
そんな事は誰にも、わからない**]
[ロー・シェンの回答>>*13に、思わず乾いた笑みが零れた。
彼が語るそれは「ねぼすけおおかみを起こせてよかった」であって「”リヒャルト”が仲間でよかった」ではない。
心のどこかで望んでいた、けれど、そんな言葉が返る訳がないと知っていた。
そんな、予想と違わぬ彼の言葉にどこか安堵した自分も居る。
彼が己の望む言葉を与えてくれたなら、きっと自分は――……
もう、彼に背を見せる事を、隙を見せる事を怖れる必要なんてない。
洞穴には入らずに、背を向けて、来た道を戻って行く。
裁縫道具を家に置いて、あの小屋に戻ろう。
もうあそこは自分の居場所ではなくなってしまったけれど。
怯えて寄り添ううさぎであれたなら、どんなによかったか。
もう戻らない時間を懐かしむ事には慣れっこだった。
大切で、幸せな時間だった。それに気付けただけで十分だ。
…まぁ、只のうさぎであったとて、どうせ「怯えて寄り添う自分」なんて想像もつかないから、これで良かったんだろう、なんて、自棄気味に自分に言い聞かせる]
[最期まで聞かずその場を去ろうとした自分を、>>*13「それに――…」と思わせぶりに途切れた声が、引き留める。
振返って、言葉を待つ。続いた言葉は、途切れた言葉の先に続く言葉では無い様に思えた。
隠した言葉を問い詰めようか、一瞬思ったけれど、止めにした。]
…そう。キミはそう考えていたんだね。
けどね、「おおかみとおおかみ」でも、僕は、ダメみたいだ。
だって、ほら?
キミの言葉を素直に信じる事なんて、僕にはどうせ、できやしない。
[くしゃりと、泣き出しそうに歪めた顔で無理矢理笑って、再び背を向け、歩き出す。
おおかみとして目覚めたところで、彼との距離が近付いた気はしない。
彼が自分を受け入れてくれるだなんて、夢にもおもえない。
自分を択んでくれる誰か、は、この世界にはもう、きっと、居ない。*]
― 回想・朝の帰り道 ―
[>>*7「皆を欺かなければいけない」とロー・シェンは言った。
けれど、別に、自分には、皆を欺く理由は無い。
おおかみとして、うさぎたちをどうにかする、目的は無い。
全部話したっていい、
話さない侭独り洞穴に閉じこもったっていい、
けれど、>>*8今日で、終わる、なら、
今日一日だけ、知らんぷりをして、うさぎの振りをして、過ごそう。
今日一日だけでも、最期の一日だけでも…*]
――リル。
[彼にしか聞こえないくらいの
紅い囁きが伝う]
同胞の耳をかじる勇気は、あるか?
[わざと、挑発的な物言いを選んだ]
[不思議な声が耳に届く。
けれど不思議と驚かない、自分は、やはり彼と同族なのだろう。
諦めたように自覚する。
だって、同じ声の出し方が、不思議と判る事も不思議に思えない]
それは勇気?違うだろう?
なぜ僕が、キミに加担しなきゃいけないんだい?
僕には、うさぎを襲う、理由なんてない。
[安い挑発に乗る気はないと鼻白む。嘲う様に、ざまぁみろ、と声を紡がぬ唇が動いた]
…――僕で良かったかと尋ねたあのとき、
嘘でもいい、「リルを択んだんだ」と、そう言ってくれたら良かったんだ。
そうすれば、皆を裏切って、キミの胸に飛び込んだのに、ね。
敵を欺くには、まず、味方から、だよ。
キミは択ぶ言葉と、欺く相手を誤った。
そう、――それはとても、残念だ。
俺はせめて、仲間には嘘をつきたくはなかったから。
嘘が欲しかったのなら、ごめんな。
それと…、起こされたくなかったのなら、ごめん。
[やりたくない事を、無理やりやらせるつもりはなく。
せめて挑発されたから、と理由があれば良いのではと、
足りぬ頭で目論んだ所為であろう]
仲間だと、俺は勝手に思ってる。
――そのくらいは、いいよな…?
もう、こんなにたくさん吐いたのに?
それともうさぎな彼らはキミにとっては仲間じゃないのかな?
彼らはきっと、ずっと、キミを仲間だと思って居ただろうに。
[彼の言葉を鼻で笑って、息を撒いて、
苛立ちの侭に言葉にして、ふと、気付く。
あぁ、似てるな、と]
[皆は自分を、仲間だと思って、傍にいさせてくれていた。
なのに自分は、心に壁を作って、距離を作って、進んで独りになりながら、独りを嘆いていたんだった。]
…ねぇ、>>63「寂しい」と、感じたのはキミ?
>>74「たすけて、早くみつけて」って言葉はキミの声?
キミにとって、『仲間』って、何?
俺は、オオカミだ。
オオカミはウサギに疎まれ嫌われ、怖れられる存在。
――でなくては、ならない。
[過去の記憶が、そうであれと脳に刻印を刻む]
オオカミにとって、ウサギは食料。
――仲間には、なれない。
それでも、嘘をつきたくない、
ウサギを傷付けたくない、
オオカミを探したい、そう言ってるのは
俺じゃない。
それはきっと、ウサギの部分の俺だ。
それから、解っているとは思うけれど、
俺の気配が途切れたら、
君が、カラスへ俺の正体を伝令してくれ。
…これはオオカミの義務なので、悪いけど頼むよ。
[メモをコピペして内容を書き換え…
何処かから黒い意識が彼へと方法を伝えるか]
今話しているキミも、キミが否定するキミも、
僕にとっては等しく「キミ」でしかないよ。
つまり、キミは、キミを仲間だと思ってくれているうさぎたちを仲間だと思った事はないけれど、嘘を吐きたくない、傷つけたくないとも思っている。それだけでいいじゃないか、面倒くさい。
[自分を二つに分けて話す彼に、うさぎの部分とおおかみの部分は別人格だと、自分に言い訳したい様に聞こえる彼の言葉に、うんざりと、呆れ顔で言い放つ。彼が自身を如何思って居るかなんて、自分には関係ないのだから。
けれど、なんとなく、言いたいことは判らなくはなかった。
嘘をついても、傷つけても、騙し偽ることで、ほんの少しでも、共に居られる時間を伸ばそうとしている、今の自分には、共感は出来なかったけれど、理解は、出来た。
自分の中にだって、認めたくない自分がいる]
――…、ああ、
余計なこと言わなくても、烏の伝令の必要はないかな。
何れにせよ、…リル。
起きてくれて、ありがとう。
[素直な感謝の気持ちを、添えた]
[隠しきれぬ感情の鱗片>>*25、気付かぬ振りで零してしまえばよかったのに、思わず拾ってしまった、彼の欠片。
持て余して、考え込む。見なかった事にして、忘れたふりをして、捨ててしまったってよかった。
けれど、どうしてもできなかった]
…――ねぇ、ロー・シェン。
僕たち、多分、もう、きっと、仲間にはなれないけれど、同士にはなれるかもしれない。
もう一度だけ、チャンスをあげるよ。
他の誰でも無く、『僕が仲間で、良かったと思った?』
[嘘を吐きたくない我を通すも、騙してくれればよかったと話した自分の言葉を、信じるも、疑うも、彼次第だ。
きっと、たぶん、彼がなんと答えたところで、自分の心は決まっている。
だから、きっと、意味はない。
それでも、聞きたかった。彼が何と答えるか。]
[…――×××でなくて、自分で良かったのだと、
嘘でも良いから言って欲しかった。
どうせ自分は信じられないのだから、嘘だって構わなかった。]
君が、おねぼうオオカミじゃなかったら――
そう思うと怖くて、最初は連れ去れなかった。
それでは、答えにならない?
[彼の望む答えではないだろう。
けれどこれが、双方の本心だった]
[嘘をついてくれる気は、ないらしい。
彼らしいと、思わず小さく、笑った]
……――いいよ、
キミを「信じる」よ。
[敵を欺く前にまず味方から――自分自身に、ひとつ、嘘を吐く。]
キミでなく、マレンマに投票するよ。
キミがどうするかは、好きにしたらいい。
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