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光の天使、アディリエルの名において祈ります。
光がこの者の、生へと歩む道を照らさんことを。
試練の果てに、人の子を照らす新たなる光とならんことを。
[祈りの手のまま紡ぐ言葉。
輝く白翼が一枚、繭の上にひらりと落ちて解けるように消えた後、黙示天使は目を開き]
それと――ひとつだけ。
お前が目覚めたら、謝りたいことがあるんだ。
――我がきょうだい。
[己自身の意志を重ねるように、そう呟いた*]
…────、
[亡き子を弔う間。
愛し子の最後が、影の御使いの口から語られる。>>*2:61
その苛烈なる試練に、大天使もまた静かに瞑目した。
それ程の試練の間にも、挫けずあった子を誇らしく思う。
それと同時に、試練の苦しみを哀れにも思う。]
作り物の竜を駆る者───、とは?
[そこに復讐を思う心がなくとも、
天の御子を害さんとした者への怒りは厳然としてあり。]
……文字通り。
多様に形を変える作り物を駆る者……と言えばよろしいか。
力のほどについては、直に見えた黙示殿の方が詳しいかと思いますが。
……我らが授けし祝福、その護りをも越えるほどの力を持ち合わせていたのは、確かな事。
放置するのは、あらゆる意味で危険でしょうね。
[護りとして授けた月白の羽。
それを越えていとし子を傷つけたその力は、侮れぬ、との認識は強いもの。*]
ほう?
人の子らの中に、そのような者がいるか。
[シメオンの報告>>*3、それに続くアディリエルの言葉。>>*4
天使の守護を越え、
光の槍の直撃すらも生き延びたとは驚嘆に値する。
警戒すべき。と声をそろえた二翼の意見に、
大天使は少し考える風を見せた。]
面白い…が、面倒だな。
先の衝突で下級天使も些か数を減らしている。
そのような輩を捨て置くというわけにもゆくまい。
……落とせるか?
[問いは双方へ向け。
不足があらば、自ら出ようとの意思も滲ませて。]
[問いに応じたのは、光の天使。>>*9
揺るぎない声には自負が見える。
無論、それを支えるだけの力と実績を背景として。]
良い。ではアディリエル。
そなたに任じよう。
──── 天に唾吐き、御子に不逞を為せし者を討ち果たせ。
[深く頭を下げた天使の頭上に、
苛烈なまでの意を滲ませた命が冷厳として下る。
いかにいとし子の受難が避けられぬものであったとは言え、
それを為した不逞の者に向けられる慈悲などはなく。]
[投げられた問い。>>*6
彼の漢に思う所はあれど、己が追うを望む者は他にあり]
……天は黙示殿の領域。
故に、護り手殿が望むままに。
[己が意は介さず、黙示天使の望むままに、とだけ告げて沈黙する]
……何やら、ひとの子らは天犯す船を増やしている様子。
妙な違和感も感じますが、放置するわけにも行きますまい。
[一先ず、投げかけるのはこんな報せと]
一先ず、ひとの子の砦に潜んで参ります。
先には人気が無かった場所が賑わっている……というのは、何かあると思われますので。
[これから己が無さんとする事]
船を増やしている───…?
[影よりの報に、大天使は眉を顰めた。
地上の様子を眺め遣り、顎を引く。]
良い。それらへは、わたくしが当たる。
シメオン、アディリエル。
そなたらは、己の務めを。
[人の子の砦に潜むという影へも、きびとした諾が返る。]
アディリエル。 足りるか?
[投げたのは、ごくシンプルな問い。
出来るか出来ないか、ではない。
出来ることは既に”知っている”
けれど、今は手勢の薄いことも分かってる。
足りぬというならば、それは光の天使の責ではあるまい。]
あの……男……
生命の、力を……!
[天の響きを紡ぐ余裕はない。
ただ、間近に見た相手の切り札への脅威が漏れ聞こえる]
足り、ません……。
[上官の声に、苦痛に耐えながらも答えが返る]
私に、ではなく。
奇蹟を邪魔立てする者を、払うために……!
[己ではなく、箱舟に取りつかんとする不届き者に対する力をと。
懇願に近い声音で訴えるが、それは大天使にどう伝わっただろうか*]
アデル、アディリエル、
持ちこたえよ。
すぐにそちらへと行く。
だからそれまで、
[苦しげに響く声に、常になく大天使の声色も変わった。
このままでは、光の天使は、
自らを天に捧げてしまうのではあるまいか。
そんな予感が、大天使の翼を急がせる。]
[目の前の男に意識の大半を向けつつ、けれど、零れ聞こえる天上の響きは僅かに気を逸らせる。
しかし、ここで急いて仕損じる訳にはいかぬ、と。
そんな思いもあるから、今は何も声には乗せずに。*]
ナタリエルさま、……大丈夫です。
[声色を変えた大天使に答える声は、どこか柔らかな、そして宥めるような雰囲気を伴っていた]
私のために、手を煩わせなくてもいい。
……そのお力は、大いなる救いのためだけに。
[その声が己の名を呼ぶのが、たまらなく嬉しく、そして哀しかった。
自分という存在は、何かを為したのではなく為さなかったがために、彼の者を動かしたのかと。
ふとそんな思いを抱いたのだ*]
───── 戯けたことを!
[どこか宥めるような、
止めるような声に返ったのは短い一喝だった。
ぴしりとした声が、白き翼の天使を打つ。]
そなたは我が翼、我が腕ぞ。
その為に力を振るわんとして、何とする。
…アデル、アディリエル。名を与えし光の子よ。
お前もまた、我の愛しき子のうちなれば。
[諫めるように激しい口調は、やがて穏やかなものとなる。
彼の裡に動いた心は知らず、語りかけるは我が裡のこと。]
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