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この国には世話になった。
国防の仕事に従事するのは、恩返しみたいなもんだ。
軍なら衣食住の面倒もかからないしな。
兵役のつもりで3年くらい務めて、その後のことはまたその時になったら考える。
[結局、そのまま軍に居着いてしまうのだが、この時点ではそんなことは知るよしもなく。]
シメオン、 おまえはどうするんだ?
アカデミーからは師範待遇の話も来てるんだろ? 兄さんの手紙に書いてあった。
でもさ、おまえがここでまだ勉強を続けたいなら、修士課程へ進むといい。
国費留学打ち切られても、おれが軍に入れば学費くらい都合してやれる。
あとで、利子つけて返せー
[利子云々は、シメオンが遠慮しないようにという冗談だけど。*]
教師よりも研究者希望だなぁ。
ま、兼任する奴も多いけどな。
[そもそもが歴史を研究する家の出。
学びながらそれを伝える職に就く、と言うのは実際考えていたこと。
留学前はそうなるのだとずっと思っていた。
けれど、実際はこうしてカナンと共に軍に居る]
― 10年前/マチュザレム ―
え、帰んねーの?
[流れで進路の話となった18歳のある日のこと。
カナンがマチュザレムの軍に志願すると聞いて、シメオンは赤い瞳を見開いた]
恩返しか……確かに良くしてもらったし、色んなことを学ばせてもらったしな。
[その話から、いつかは戻る前提なのだと推測する。
そう思いはしたが、皇太子の話題になると、それもまた違うようにも思えてきた。
カナンの言うことにも一理ある。
先進国たるマチュザレムで学んだというのは大きなアドバンテージ。
余計な火種にもなり兼ねない]
俺は───
[問われて、かつての未来図が頭を過ぎる]
ん、まぁな。
こっちで学んだことをアカデミーで生徒に教えて欲しいって。
でもなー、放り投げられた身としては戻るのも癪なんだよなー。
[カナンに対しての蟠りは無くなったが、留学の切欠を作ったアカデミーに対しては禍根が残っている]
────よし、俺もお前と一緒に軍に入るっ。
俺が学びたいのは歴史だし、マチュザレムの歴史はもう大体学んだから、これ以上勉強を続ける必要はねぇ。
後は独学で何とかするっ。
[そもそもが自分から希望しての留学ではなかったこと。
アカデミーに対しての反発心。
それらがシメオンの行く末を決めた。
そして何より]
お前が目指す先を見てみてぇしな。
それに俺が一緒じゃなかったら、お前甘味どーすんだ?
無しで生きてけるか?
[抱いていた想いに加え、需要と供給が成り立っている事柄を出して揶揄うように笑った*]
− マチュザレム (10年前・回想) −
[シメオンが学友に抜擢された経緯を無理に聞こうとしたことはなかったけれど、]
「放り投げられた」って、おまえ、そんな、モノみたいに。
気前のいいカナンのとこで良かったなー?
[ハグして抱え込んで、頭をわしゃわしゃ。]
[一緒に軍に入る、と言われ、おまえの主体性は! とからかったけど、実は嬉しかった。
実は、と断るまでもなく顔に出ていたろうが。]
いや、おまえが独立してパティシエになったら、おれは兵舎の門限ぶっちぎっても食いに行くだろうな。
うんうん、
銃を振り回すパティシエより、菓子を作れる兵の方がカッコいいぜ。
そうしろ、一緒に軍に来るんだ。
[照れて誤摩化したいお年頃だったけど、まったく誤摩化せてなかった。*]
― 10年前/マチュザレム ―
いやもうホントお前のところで良かったと思ってるよ…。
[ほろり、と涙を流したりはしなかったが、迎えられたハグに腕を返して、大人しく頭を撫でられる。
最初こそ反発してたが、カナンはシメオンに良くしてくれたし、揺らがぬ信を向けてくれた。
シメオンが自然とカナンに信を置くようになって行ったのは、然程時間がかからなかったと言う]
[揶揄いには、自分で決めたんだから主体性はある!なんて言って自己主張したりして]
いやそれは流石に拙いだろ。
それを防ぐ意味でもついてくことにするぜ。
パティシエになるなら銃振り回す機会ねーんじゃねーか…。
ま、菓子を作れる兵の方が良いってのは同意。
[隠すこと出来ずに喜びを示すカナンに、シメオンもまた嬉しく思いながら軽口を返す。
必要とされているという実感。
目的薄く留学を決められたシメオンにとって、その事実が心を大きく満たしてくれていた*]
サシャが部下を連れてアレイゼルへ潜入したと?
[クレメンスの子飼となったのもあって、そういう仕事もするのだろうとは思う。
万一の際にカナンとの繋がりがバレぬよう、銃の預かり証を残していったのも理屈にあう。
だが、「祖父の遺骨」は別だ。]
少し──気にかかる。
シメオン、
すまないが、もし可能なら、様子を見に行ってもらえるか。
[首筋がチリチリする。
それはきっと海風のせいじゃない。]
カナン。
ヘイズナイトが
…彼女の祖父の遺骨と、預り証が部屋に残されていた。
身軽にして行ったらしい。
[或いは託して行ったのやも。
その推測を声に乗せはしなかったが、感じているものをカナンならば察せよう]
[案の定、カナンも同じことを考えたらしい]
オプティモからアレイゼル領までは、馬を借りても一日はかかるかな…。
おっさんの補佐や他の準備はトマス達に任せられるくらいにはなってる。
準備が出来たら急ぎ向かってみるよ。
[後を追うことはシメオンも考えていた。
カナンの頼みに迷わず是を返す]
[「準備が出来たら」と言いつつ、シメオンの声は、もうその準備を初めていた気配だった。
ふたりとも、きっとまた共感しているのだ──この、虫の知らせを。]
ああ、頼む。 おまえも、
[気をつけてゆけ、と、唇を引き結んだ。]
航海は順調だ。
ただ…
海獣が出るかも、って言われた。
[こちらの身を案じてくれたシメオンに、前後の脈絡を省いた報告を投げる。]
どんなンだろうな?
[ちなみに、タコを見ると蕁麻疹が出るのだった。]
海獣〜?
船襲ってくる何かが居るってことか?
白い猿といい、俺達の知らない何かが居る可能性はあるよな…。
[船旅で気をつけなければいけないほどだ、想像してしまうのは巨大なナニカ。
タコみたいなのじゃなきゃ良い、とカナンのことを想って願う]
問題。
余程バカさえやらなければ自分が勝つルールでゲームをやろうと言ってくる理由はなんだ?
[またも唐突に、事情解説を伴わない状況報告を投げる。
苛立ちを押し殺した声だ。]
[唐突に降る、どこか不機嫌そうな問いかけ]
………
一つ、自分が優位に立つため。
一つ、相手の力量を測るため。
一つ、単なる揶揄い。
限りなく低い可能性として、空気を変えようとしてのそいつなりの気遣い。
なんか吹っかけられたのか?
例の21ゲームをやろうって言われた。
しかも、賭けの対象おまえ指名。
[沸点そこ。]
…気遣い? んんー
[指摘を受けて、ちょっと冷静になったらしい。]
今回の国交交渉にあてつけてンのかな。
おれたちのやり方はそれと同じだと。
[最終的には力押しのワンサイドゲームを、ナミュールは強いられているのだと。]
そのまんまのルールじゃ勝てないと思ってるなら、どっかで手を加えるか、ゲームを降りるかだ。
だが、降りられないなら──
ああ、あれか。
………そんなに菓子が気に入ったんかな。
[21ゲームと聞いて納得した後、自分が賭けの対象となっていたことにそんな感想を漏らす。
あてつけかと漏らす声と続く思案するような声を聞くと]
………
俺達は一方的に開かせようとしてるんじゃない。
互いに折り合いつく形を探してる。
そうだろ?
[確かに共和国には最終的に武力でと言う手段はある。
けれど、それは極力使わないようにしたいから。
だからこそ、こうしてシメオン達がこの国を訪れている]
ああ、そうだ、おまえのいうとおりだな。
恨みが残る形にはしたくない。
おれたちがもたらすのは光だ。
[国交交渉に対する自分達のスタンスの確認に頷く。]
あっちにしてみりゃ、価値なんてそれくらいにしか見てねーんじゃねーの?
ふふん、お前置いてどっか行くなんて考えたこともねーよ。
……───ありがとな。
[全部が大事で大切と言ってくれる友。
それはこちらも同じ、カナンが居たからここまで来れた。
カナンだからこそ、傍に居たいと思う。
捨て台詞のような言葉には笑いそうになったが、伝わるカナンの想いに万感の想いを込めて感謝を紡いだ*]
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