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お前にだけは話しておく。
[ 今まで誰にも伏せてきた、
最後の最後の秘密。 ]
俺の真の目的は、騎士団よりも絶対的な、
強力で無慈悲で無情な、
「"門"の守護者になること」だ。
[ テオドールが門を開け、首魁を解き放つと信じている魔物共には、
とうてい聞かせられない、真の目的。 ]
あの"門"を開ければ、世界が滅ぶ。
人間だけではなく、世界のすべてが。
俺は世界の終わりを何度も見てきた。
ヤコブは毎回必ず、門を閉じることに失敗した。
平和に腑抜けた騎士団は門を守れず、首魁を倒せず、
毎回必ず敗走した。
人間の欲望は止まることを知らず、
門の力を求める者は、無数に現れる。
騎士団では世界は守れない!!
ヤコブは人間を救えない!!
だから俺がやるのだ。
人間で最も強い俺が、鍵を手に入れ、全ての欲望から守る!
欲望を自分自身で制御できない人間は、半数を殺し、残り半数を厳しく支配する!
俺はかつてした約束を守らねばならん。
「人間に門を開けさせるな」
そのためなら、
……俺にその約束をさせたヤコブでさえ、
殺してやる。
[ かつて騎士だったテオドール。
ヤコブと同じ理想を持ち、同じ心を持ち、同じ目的をもっていたテオドールは、
6度の絶望を経て、
目的は変わらないままに、その手段を大きく間違えて居た。 ]
[ しかし、実際は、
もう誰もテオドールを殺してくれない、
まだ走り続けなければいけないのか、
という諦念のような塊が胸を塞いだだけだった。 ]
―回想・開戦前、朝の告白―
[何故こんなにも尽くすのかとの問いに、考えの纏まらぬまま紡いだ言葉。
――テオドールを、カスパルとソマリアランの代わりに。
それが自分の第一声。
イングリッドは知っている。魔王然としているが、テオドールは決して感情の死んだ悪魔などではなく、心を持った人間であると。
だからその発言は、彼を傷付けたかもしれなかった。
顔を覆うテオドールの様子>>*2:28に、そっと目を伏せる。
理由を問われて、自分で自分を省みて。
驚いたことに、今ようやく自身もそれに気付いたという有様。
そんなことをしていた事実に、自分でも少なからず傷付きもした。
鳥は眼下を見下ろしては前方が疎かになるとよく言ったもので、
…まぁ、そうやって周囲が見えなくなるイングリッドを揶揄しての『鷹の眼』でもあるわけだが。]
[出会った時の心境を誤魔化すこともできたが、
それをしなかったのは、今は、彼に対して抱く想いが異なるという自覚があったから。
それがきちんと伝わったかはわからないが、溜息ののち語られる言葉>>*2:29に、少しばかり安堵した。]
はい、お気をつけて…
[天幕を出ていくテオドールを見送って、ほっと息を一つ。
暫くして、イングリッドも伝令らの情報を集めに外へ出た。]*
―明かされた秘密―
[言葉を失くしていれば、テオドールはふっと力を抜いてソファに沈み込む。>>*2:30]
既に、7度も…?
[驚いた。
――『この時代の人間にとっては、「未だ犯していない罪」だが、
俺にとっては「すでに犯された罪」だ。』
……一体どんな罪だというのだろう。
何が、彼をそれほどまでに駆り立てるのか。]
[今から3年前の春嵐の日。
それが1周目のテオドールの生まれた日。
…そして、
やり直せるのはこれが最後かもしれないと。
それは、つまり――]
[ゆっくりと、明かされていく真実。>>*32>>*33
彼と”イングリッド”との、3度の出会い。
今の状況からは想像もできないような、幸せな”想い出”の数々。
――そして、歴史を巻き戻しても戻らぬ、彼の時間。
この歳まで、ずっと、ずっと独り駆け続けて。
何度もやり直して、その全てを背負って。
孤独に、目的を達するためだけに、
同じ絶望を繰り返すだけの人生を、この人は孤独に歩んできたのだ。
彼の言及することのなかった回にも、きっと色々あったことだろう。
すっと、背に冷たいものが走る。
もしかしたら、その世界の自分は彼を…]
[これを聞いてどうしたいか、と>>*2:34
小さく首を振る。
――答えはもう、決まっていたから。]
お傍に。
…いても、かまいませんか?これからも。
[それを聞いても、変わりはしないと。]
…私を、
今の私を信じて、話して下さったのでしょう?
だったら、もう。それだけで十分です。
[今の彼が、自分を愛していないかもしれなくても。
過去の自分が、別の自分であったとしても。
彼が自分を愛してくれた、その事実は変わらない。
――それを聞けただけで、十分だった。]**
[ 抱き寄せたい。
突き放したい。
逆の事を同時に思う。 ]
[ 次の時間遡行は出来るかどうか分からない。
この時間軸が、テオドールに残された本当の最後ならば、
イングリッドにはどこか平和な場所で、
テオドールの子を生み育ててほしいと思う。
テオドールの肉体は、50年以上の時間を刻んでいるが、
この時間軸の中の世界に、テオドールが存在したのはたった3年だ。
せめて命を次世代に、
テオドールが存在した証を残したいと思う。 ]
[ 目的をぶれさせるな、と冷静な魔王が思う。
例え憎まれようと、誰を殺すころになろうと、
門を開けさせない、その為だけに戦ってきた。
今ここで、優秀な人材を失い、
また魔王の弱味となる者を作ってはならない。
魔王が敗北するとき、これまで死んで行った者の犠牲の全ては、
無意味になるのだから。 ]
[ そして、
テオドールは決断した。 ]
イングリッド・ミラン。
俺は、これからもお前を女として扱うつもりはない。
駒として使い、必要ならば切り捨てる。
お前はただ、命ある限り、俺に仕え、
俺の目的の為に戦え。
[ 「テオドール・バルド」を捨てた世界で、「イングリッド・バルド」も死んだ。
ここにいるのは、「魔王テオドール・グラムワーグ」なのだから。 ]*
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