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― 『世界軸』中層・奥の院 ―
[儀式の間の更に奥。
そこは、神子以外は入る事を許されない場所──『奥の院』と呼ばれていた。
その一画に、下層へ向かうための門がある]
……今の所は、大きな揺らぎなどはないようだけれど。
一応、見てきた方がいいだろうしね。
[小さく呟き、厳重に封を施された門を開いてその先へと踏み込む]
[遠い昔に現れた、魔界人。>>0:18
その血脈のなした事は均衡を大きく損ない、結果として、魔界との干渉は以前よりも制限される事となった。
魔界に近い下層への立ち入りは厳重に制限され、門の開封には神子の承認が絶対必要となり。
今では、神子の他には覚醒した『柱』以外にそこへ赴く者はいない。
魔界の方でもそれは感じているのか、下方から訪れる者は彼の魔界人以降なかった。
なお、天界からの干渉は神子がここに在る限りはない、という盟が密やかに結ばれており。
一般的な信仰とそれに由来する奇跡などは生じていても、世界の在り方に展開が関与する事は一切ない、というのが現状だった]
― 『世界軸』下層 ―
……っ!
相も変わらず……こちらの空気は、『重い』、な……!
[踏み込んだ直後に感じたものに、は、と小さく息を吐く。
中立は保てど元は天界に近しい身、魔界に近い領域に踏み込めば本質的な背反が生じるのは避けられない。
それでも、と、ゆっくり歩みを進め──]
……やはり。
多い、ね。
[小さく呟く視線の先に蠢くのは、『虚無』より生じし妖魔の影。
瞳がす、と細められ、周囲にくるりと風が渦を巻く]
……少し、減らしておくか……あまり、彼らの手を煩わせたくはない。
[呟きと共に、す、と杖を掲げる。
紫と緑の光がふわりと舞い散り、それを受けた風が勢いを増した]
……風乙女、舞え。
澱みよりうまれしものを斬り払い、浄めて再び無へと還せ……!
[紡がれる言霊に応じ、渦巻く風が刃となって舞い踊る。
それは風の刃の舞は蠢く妖魔たちに容赦なく迫り、その身を鋭く斬り裂いて行く。
風の刃に断たれた妖魔たちはぎっ、ぎゃっ、と短い悲鳴を上げた後、黒い塵となって散って行った]
…………やれやれ。
[妖魔の姿が消え失せると風はまた神子の傍へと戻り、緩やかに舞う]
たまにこうして発散させないと均衡が取れない、というのも。
我ながら、どうかと思うんだけどねぇ……。
[舞う風以外に誰もいない空間に、零れ落ちるのはぼやき声。**]
― 『世界軸』下層 ―
……荒れ狂え、鋭き風。
澱みを切り裂き、道を保て!
[言霊と共に駆けるは疾風。
それは道を塞ぐ妖魔を斬り払い、その存在を塵へと返していく]
……全く……際限なく。
[少なからぬ苛立ちを経て、吐き捨てた時。
微か、戸惑うような気配が届いた]
……マリア?
[普段は感じる事のない感触に、その源たる分身の名を呼ぶものの。
仔細を尋ねるより先、新たな妖魔の群れが見えて]
……やれやれ……。
もうひと頑張りしないと、かな!
[は、と息を吐いた後、神子の意識は眼前へと向かう。**]
― 『世界軸』下層 ―
……ん。
[何体目かの妖魔を撃退した直後に感じた変化に、神子は小さく息を吐く]
更に、二つ……還ったか。
残るは、『幽冥』と、『深奥』……。
[小さく呟き、軽く杖を振る。
風が揺らめき、金と緑の光がふわりと散った]
……ん。
下層にいるのは、『深奥』、の方か。
と、なれば討伐を託すべきは、『月闇』か……。
[小さく呟いた後、零れ落ちるのは小さなため息]
……やれやれ、これも因果の糸のなせる業……かな。
[独り言に応えるものはなく、神子は幾度目かの息を吐いて目をを開けた]
……さて、一度戻るとしようか。
次なる道を開かなくてはならないしね。
…………あれが出てくるのも、時間の問題だが。
彼らが『柱』として覚醒するまでは、耐えないと。
[零れる言葉は自身に言い聞かせるが如く。
それに案ずるように揺らめく風にもう一度大丈夫だよ、と告げると、神子はふ、とその場から姿を消した。**]
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