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っ!
[水に紛れ飛来した一矢がヴェルナーの胴を捉えた。
四肢と異なり、鎧の下の頭と胴は生身。
突き刺さりはしないにしても、衝撃は腕に受けたものよりも強く感じられた]
かはっ……近づかなければ。
埒が明かない。
[射撃も出来る身だが、主戦力は近接戦だ。
矢を受けた腹部を抑えながら、機会を窺うように相手を見上げた*]
んなっ……。
[言葉交わす間に零れる滴。>>*45
一瞬、何かが過って、消えて]
なん、で、って……!
[言い募られる言葉たち。
最後の叫びは、こちらが投げた問いの答となった。>>*46]
って、と!
[『龍爪』を引き抜くのとほぼ同時、長柄が大きく振るわれる。
色々な意味でこれはヤバい、と大きく飛び退く事でその一撃を避けた]
なんで知ってるも、なにも、なぁ。
[着地し、呼吸整えた後、上げる声は低いもの]
自分の動きなんだから、知っててとーぜんだろーが!
この戦い方は、俺が、唯一覚えてたもの。
イェンス、って名前と、『紅雷・龍爪』の二対と。
身についた動き方だけが、12年前から残ってる俺の唯一、なんだよ!
それに文句つけられても、返しようがねぇだろーが!
他の事は、思い出せねぇんだからっ!
[怒鳴るように返しつつ、『龍爪』を鞘に納める。
代わりに、手をかけるのは抜けぬ刀――『紅雷』の柄]
……『紅雷』……それと、俺の天命、ちょっと手ぇ貸せ。
[経緯は、今は、思い出しようがない。
けれど、どうやら向こうは自分の手を知っている。
ならば、単純な手に頼っていては埒が明かない。
……向こうがこちらの過去に繋がる糸口であるなら、という思い、ないわけではないけれど。
今のままでは、どうにもならない、とも思うから]
……『紅雷』の担い手の名において願い奉る。
……一時、ここに下れ……紅雷龍。
[左手首にはめた天命石が淡い光を放ち、同じく『紅雷』から零れた光と重なり、赤の煌きを生み出す。
それは鞘に収まった『龍爪』へとふわり、宿った]
……どっちにしろ、白黒つけねぇと始まりそうにねぇからな。
でかいの一発……。
[言いつつ、再び『龍爪』の柄を握って]
撃たせてもらうっ!
[叫びざまに横一文字に振り抜く。
刃から飛び立つのは、先ほどよりも速度と、そして威力を増した龍思わせる形の雷撃。*2(20x1)]
[ゾフィヤは今まで明確に困惑をあらわにしたことはなかった。
脳裏にちらつく“彼”と司る属性が同じであること。
“彼”があの日を生き延びたならば――このように機械便りになっているのではないか、と想像を抱いたこと。
符号はいくつかあれど、だ。
だが、己の能力に対し「やるじゃないか」と言われたその時、>>*48
明らかに表情が崩れた]
な、何を言っているの……、
わたしは、そのう、相まみえてるやつだよ?
調子狂っちゃうじゃあないの……!
[ちょっとは笑っている。
声の調子からそれだけはわかってしまったのだから余計そうも思うというもの。
それに弾丸を止めて被弾を最小限防いだだけでは『勝ち』にはならない。
このままではまた、何も為せないままだ]
…………。
ほんっとに……、さあ、
思い出しちゃったよ、遠い昔に離れ離れになったひとの、ことを……。
[感情を半ば殺そうともくろみながらの六連射。
向けた矢のひとつが当たった手ごたえはある。>>*49
当たらなかった矢が落ちてあげた水しぶきが目くらましになってくれたらしい]
……へー、ああ、そうか。
[腹部を抑えどこか苦しがるような様子にひとつ、頷く。
四肢と違って生身の個所は弱い。ならばそこを一思いに狙えばいい]
(とはいえ相手も全力で避けてくるだろうし……)
[攻め手を考える。やがて一息をつき、笑った]
ならば追いついてみなよ……。
[翼をはためかせかく乱するように飛び回る。
自らへの加速はまだ使わない。切り札を切る時は誤ってはならないのだから*]
何を……っ!
[そして至近で放たれた問いに、二の句が継げなくなる。
図星といった反応に見えただろうか。
何かを口にするより早く、相手の突きが放たれるのが見えて]
くうっ!
[左手を上げ防御を試みる。
辛うじて直撃は免れたが、衝撃が全身に走り後方へよろめいた]
わ、たしが……どう戦うかなんて自由、でしょう?
[巫女らしくあらねばと、故郷に帰ってからは只管、術の扱いを学んでいた。
忌避していたあの石を、隠す必要だってもうないのだから]
[けれど――森へ踏み込むに際して何か武器を、と問われた時、脳裏に浮かんだのは棒術に使える長さの杖だった。
応用が利く武器だからと、その時はそんな風に誤魔化して]
なかったことにするつもりだったのに。
だけど私が使える武器はこれだけだったから。
[取り留めのない、相手に伝わらぬであろう言葉を口にしながら、更に数歩後退る。
背が後方の樹に触れれば、そのまま体重を預けた。
退路を断たれたようにも見える姿勢で、背後の樹へ力を注ぐ]
[――相手へ届くほどの成長は見込めないのであろうが]
でも今は――勝たなきゃ。
[背中を離し、素早く前傾する。
右手の痛みを堪えながら、杖を両手で正しく構え。
両足が踏むのは樹の根本]
[>>*50横に薙いだのは、相手への攻撃というよりも子供の駄々のような動き。
だからこそ無遠慮な振り抜きは当たっていれば結構な一撃ではあったろうが幸か不幸か避けられて。
泣きながら投げつけた言葉、それに返された>>*51答えは思いもよらないものだった]
……え…
[唯一覚えていたもの。
他の事は思い出せないというその言葉に、初めて彼の面影、その理由と可能性が重なった。
そんな、まさか、でも。
動揺はそのままひっそりと抱いていた迷いをより深める。
けれど、相手はこちらに構わず、勝負をつけるために動きを整えて]
っ…!
[気付いた時には、先と同じ、けれどより強い赤い煌めきが彼の持つ得物に宿っていた。
それを受けることは、いくら業物とはいえこの薙刀であっても危うかろう。
ならば私が取る道も、一つだけ。
たん、と足を踏み鳴らし、呼吸、鼓動を合わせ]
───Ground Emit!
[発した呪と共に振り切った刃から土礫を放ち、雷撃を迎え撃たんと──14(20x1)*]
[忘れたわけではないと語る彼の所作は硬く、口調は敬意と共に隔意を感じさせる。
その事実に憤慨した。
彼は、私の隣にあるべきだ。
これまでの経緯など知らぬ。
こうして再び生きて出会えたからには、私の元に戻るべきだ。
それがあるべき姿だろう?]
よろしい。
ならばこれぞ試練と心得よう。
私は私の行く道にそなたを求める。
[宣言して、腰から二本の得物を抜く。]
[構えたそれは、遠目には赤銅色の細剣とも見えよう。
実際にはそれは、竹に似せて形作られた銅の硬鞭だ。
柔らかな革の鞘から抜いたそれを自然に下げて持ち、波打つ水から一度、さらに
下がる。]
――― 散!
[短い言葉に応じて、両手首の腕輪に嵌まる天命石が溶けた。
液体と化した石は手を伝って流れ落ち、双鞭に至る。]
結!
[再び言葉によって形を取り戻した石は、鞭の根元に固着して強烈な冷気を発した。
それを受けて二本の鞭はたちまち白く霜に覆われる。]
[握れば肌が張り付くほどの冷気を帯びた双鞭を手に、まっすぐに駆けた。
術に操られて伸びる水の触手に鞭を打ち付けて振り払うを試みながら、水の領域へと吶喊する。
殴って目を覚まさせろ、とは何の物語にあった言葉だろう。
ともかく、ただひとりの"兄弟"だけを見据えて、前へと体を運んだ。]
[魔力を伴った土礫は、こちらへと翔ける赤き龍、その身可模った雷の全てを受けて打ち砕かれる。
その結果生じた土煙は、そのまま相手の視界とまともな呼吸を遮る術と変わって。
そんな状況の中、まともに応戦できる者は──それこそ余程の用心深いものや達人くらいだろう。
得物を片手に持ち替え一息に駆け、空いた右手で彼の胸倉をつかむとそのまま地へと押し倒して。
膝で胸を押さえ、身動きを取れなくして。
本来ならここで、左の手に持つそれを突き立てる、べきなのに]
……………あなたは。
ほんとに、なにも、おぼえて、ないの。
[ぱたん、と。
力なく降りた左手から、ゆっくりと離れた薙刀、長柄が立てた音が小さく響いた*]
[動揺が見える声>>*54。
マスクの奥で、くっ、と喉奥だけで笑った]
相手の力量を認めちゃいけないなんてルールはない。
[詭弁めいたことを言い、腹部に残る衝撃に耐えながら膝を屈伸させる。
撹乱するように飛び回り始める相手>>*56。
それをマスクの奥で瞳を細めて見やった]
(意表を突けば、あるいは)
[隠し玉はまだある。
恐らくは、相手にしか通用しないものだろうけれど。
スラスターを噴射させ、屈伸からの伸びも合わせて宙へと飛び上がる。
次いで起動させるのは背に仕込んだ、前方へと推進力を生むためのスラスター。
足裏のものよりも大きなそれは、瞬間的な加速を生み出す]
行くぞ!
[声と共に爆発的な加速を生んだヴェルナーの身体は、飛び回る相手へと肉薄せんとする。
処々のバーニアは起動させていないため、その動きは直線的だったことだろう。
横に逃れるならば容易にヴェルナーの進む軌道から外れることが出来るもの]
[だがそこに、ヴェルナーは一手加えた]
フル・リリース……!
[発したキーワードは全身を覆う鎧を取り去るもの。
顔を覆っていたフルフェイスマスクも、胴を覆っていた鎧も全て四肢のオートメイルへと収納された]
[ばさり]
[背に灰色の翼が現れる]
[翼を動かし、飛び回る相手を追う。
全身で相手の懐へ飛び込もうとする姿は、奇しくも離れ離れになった”あの時”の体勢に似ていた。
両腕を前方へと突き出すような姿。
あの日、飛来した刃によりヴェルナーの両腕は失われたのだ]
[身体ごとぶつかるような動きで狙うのは、相手の身体を宙から地面へと引き摺り下ろすこと* 11(20x1)]
[放った術は本来、『紅雷』を持って放つもの。
故に、威力の減退は避けられず、それを天命石の力で補ったのが今の技――だったのだが]
……なにっ!?
[呪と共に振り切られた刃から放たれた土礫。>>*63
それは赤き雷撃の龍に打ち砕かれるものの、そこから、予想外の変化をもたらした。
生じた土煙が視界と呼吸を遮る。
ヤバい、と後退しようとした矢先、胸倉を掴まれ、予想外の衝撃が立て続けに襲ってきた]
……って……。
[押さえつけられる感覚に、しまった、と思いつつ。
何とか抜け出さなくては、と思った所に落ちてきたのは]
………………。
[途切れがちの声が紡ぐ、問いかけ。
ずき、と頭の奥がまた、痛んだ]
……こんな事で嘘ついたって、仕方ねぇだろ。
12年前、
[どこか投げやりな口調で、そう返して、それから]
…………お前。
俺の事、知ってる……んだよ、な。
[確かめるように、こんな問いを投げかけた。*]
まあ、何……お礼だけは言っておく。わたしは律儀だからね。
[詭弁めいた言葉はさらりと流したのだった。
まさかこんなことになるとは……という思いも置いて、飛び回る。
ただ相手の姿だけはなるべくとらえられるよう意識をして]
(さあ) (どうくる)
[宣言の声とともに彼の身体はまた宙へと舞った。
爆発的な加速を前に彼女はためらわなかった]
――コード:アクセル。
[白の光がうっすらとまとわりつく。
急速に動きが鈍くなっていく周りの景色。飛ぶ黒、
あとは軌道を読んで迎え撃つだけに思われた――だが]
なっ……!
[そこに加えられたのは鎧をすべて取り去るという一手であった。
ようやくと相手の顔が見られる。否――それだけではない]
(灰色の) (翼……)
[見覚えのある色だった、何よりも]
くっ、
[選ばなければならなかった。
ゆえにまず、つがえていた矢に白ではなく黒の羽根を降らせた。
そうして次に矢を……撃ち放った。5(20x1)*]
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