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― 公式大会本部・出向スタッフ待機場 ―
ちょっと、お邪魔するわよ。
[物凄く自然な挙動で大会本部を訪れた女は、とても自然な動きで顔見知りの特務エンジニアに声をかけた]
「…………でえええええ!? なんでいるんですか、少佐!?」
……ちょっとお待ち、何その態度は。
「いやだって、来るって聞いてないですし……」
そりゃそうでしょ、誰にも言ってないし。
[恐れ戦くエンジニア相手に、さらりと言い放つ]
そんな事より、あんたたち、あの子……メレディス少尉に連絡とる方法、持ってるんでしょ?
アタシにもそれ、使わせなさい。
[絶句するエンジニアの様子は全く気にすることなく、ざくっと要件を切り出す]
あんたたちが何しに来てるかは一応知ってるわ。
だから、それを円滑に運ぶために、アタシも一枚噛ませろって言ってんの。
「……いやでも……」
腹黒鬼畜眼鏡には、後で筋通しとくわ。
……何もなきゃいいけど、何かあった時の技術面バックアップなら、アタシの方が上手でしょ。
あんたらは、あの子の『力』の方のサポートに集中して。
[畳みかけられたエンジニアに、論破する術はなく。
結局、メレディスの使用するマシン経由で直接連絡を取れる通信システム端末の一つは、女の手に渡る事となる]
さて、後は、モニタリングしながら様子見するとしましょうか。
『……『Meister』、いじめすぎじゃないのにゃー?』
え? どこが?
[白猫の突っ込みに悪びれた様子もなく返した後。
くるり、踵を返して向かうのは大会の状況を映し出すモニターの方。**]
― 公式大会会場・ステージ近辺 ―
[本部近辺で呟かれていた事>>+0には、幸いにして気づく事はなかった。
もっとも、肩の上の白猫は何かに気づいたのか、そちらの方をじぃぃ、っと見ていたりもしたのだが]
……今の所は、安定してるようねぇ。
[モニターに映る平原エリアの様子は、特におかしな要素もない]
『そうにゃー、ふつーのゲーム画面にゃー』
[肩の上の白猫が相槌を打って、尻尾をもふりと振る。
小声のお喋りは周囲の喧騒に紛れて、そう遠くまでは届かない様子。*]
[ともあれ、と、通信システムを起動する。
今感じた異変の事を特務スタッフに伝えるため]
こちら、メレディス。
今相手してた連中、噂になってた異変の影響受けてるっぽい。
そっちにも情報上がってるとは思うけど、色々警戒よろしく。
……『あの時』と同じなら、どっかで外と連動する可能性あるから。
[低い声で伝えるだけ伝えてた後、意識は再びゲームの方へ。*]
[通信システムを介した声は、こちらにも届く。>>*4
その内容に、女はしばし、目を閉じた]
……まあ、連動しないわきゃないわよね。
あの子の時ほどがっつくかどうかは、読めないけど。
[甥の持つ異能は、生まれの特異さとも合わせて恐らく他に類を見ない。
6年前の騒動は、それ故に起きた強行手段だったと女は思っていた]
……ま、何にしてもほっとくわけにゃあ行かないわね。
『どうするのにゃー?』
まずは、特務に仕事させるわ。
アタシが介入できるよう、本部説得しろって。
[仮にできなかったら、直接乗り込むつもりではあるが。
一応、事を荒立てたくはない、という意識はある]
……あの子だって、できるなら楽しみたいだろうしねぇ。
なんでかんで、物凄くハマってたし、楽しんでたし……。
[ゲームに夢中になって寝食忘れて姉にとつとつと説教されていた姿を思い出しつつ、苦く笑う。
そんな追憶に浸る時間は、短いものだけれど。*]
― 公式大会本部 ―
[特務スタッフの努力の成果――というかなんというか。
本部に手出しの了承を取れ、という無茶ぶりはどうにか通り、女は公式大会本部を訪れていた]
今の所見えてるのは、クリーチャーのステータス異常、ね。
いま、あっちに出てる奴はどーなの?
「ええと、イベント用に弱点の位置変更と、多少のステータス底上げはしてありますが……」
それ以外には手出ししてない、と。
……とりあえず、現状は様子見か。
[ゲームに参加している開発メンバーが送ってきたというモニタリングデータをチェックしつつ、開発チームに問う。
ついでに、ここまでに発見されてきた異常に関するデータの方の確認も並行して]
……にしてもまあ。
よくここまでがっつりと入り込んでこれたわねぇ。
[諸々確認の後、上がったのは呆れたような声]
クラッカーの痕跡はないんだっけ?
……てことは、正々堂々入り口からでも入って来たか。
[侵入された形跡はない、という話から当たりを付けて呟く。
どういうことですか? という問いに、軽く肩をすくめて]
……不正コード。
恐らく、チートしても勝ちたい連中相手に、クラッキングコード含めたチートコード使わせて、ばらまいたんでしょ。
そういうとこ、抜け目ないわよねぇ……。
[何が、とは言わない。
一応、そこらは軍事機密も一枚噛む事柄だから]
……とりあえず……スノウ、ここのシステムにちょっと間借りして。
あと、そこの入力端末貸して……そう、それ。
向こうから来るデータは随時、この子に送って。
修正必要個所も一緒に。
異常を可能な限り潰しつつ、大物の在りかを特定してくわ。
[きびきびと指示を出した後、女は席を立つ]
ん? ああ……ここより、ステージのモニターの方が良く見えるでしょ。
だから、あっちで見ながら作業するわ。
[さらり、とそう言いおいて、本部を後にする。
後に残されたのはぽかーんとしている本部スタッフと、遠い目している特務スタッフだったとか。*]
― ステージ近辺 ―
[白猫アイコンが思わせる事なんて知る由もない。
当の白猫がデータの転送元が誰かを知れば、『にゃはー♪』とか惚けそうではあるけれど、それはそれとして]
……アレも、か。
とりあえず、撃破してからじゃないと想定外が起きそうね。
[ステージのモニターに映る地竜を眺めて独り言ちた後]
……にしてもまあ。
レディってば、生き生きしちゃって……。
[可愛いんだから、と。
そこまで言うのは自粛した。
呼び名がうっかりプライベート限定のものになってしまっているのは、モニターに映る姿が今だ幼さを残しているが故の無意識。*]
まあ、格好いいのは確かなんだけど……。
[やれやれ、と思いつつ、通信回線を開いて]
序盤から飛ばしすぎてんじゃないわよ、レディ。
まだあと3ステージあるんだからね?
[ぼそ、と突っ込みを飛ばしておいた]
……え?
[不意に、通信システムから届いた声。
それに、引きつった声が上がる。
自分をレディ呼びする女性は、この世に二人しかいない。
一人は母で、もう一人は]
……トリアねえさん?
[ちょっとまってなんでいるのどうなってんの。
そんな困惑を込めて、『少佐』ではなくプライベートの方の呼び方を口にした。
なお、ねえさん呼びをしているのは、叔母さんと呼ぶと物理を行使されたからなのは、余談である]
そーよ。
ああ、なんでいるは以下略、時間が勿体ないからね。
とりあえず、そっちのデータ異変の修正しつつ、状況に応じて介入するから。
[とはいえ、甥が介入を是とするとは思ってもいないのだが。
一応の予定は、伝えておいて]
……無理するんじゃないわよ。
[ついでに、短い突っ込みも飛ばしておいた]
……以下略って、あのね。
[そこ、略していいの? とは思えども突っ込めない]
あー……うん、こっちからは手出しできないとこだから、そっちはお願いします。
……介入は、ぎりぎりまで控えてほしいんだけど。
[向こうの動き次第では已む無しだろうとは思うけれど。
でも、できればそれはやらないでほしい、と。
そんな、プレイヤーとしての矜持含みの言葉を返した後]
……ん、だいじょーぶ。
無理はしないし……逃げない、から。
[突っ込みに、ぽつりと返す。
声音は少し、穏やかだった。*]
― ステージ近辺 ―
……属性値異常に、モーション認識異常、後は出現位置異常……ってとこか。
さっきまでとはまたタイプが違うって事は……そーか、そゆこと。
……ったく、増殖進化型の侵食って、いっちばん面倒なんだけどねぇ……。
[送られてくるデータをチェックし、モニターで状況を目視し、修正箇所を手早く直していく。
入力用にと分捕ってきたタブレット端末の上を滑る指の動きは神業かというほどに鮮やかなもの。
早すぎて、他人が見ても何をやっているかはほぼわかるまい]
どっかに『巣』があるはずなんだけどねぇ……恐らくは、このイベントで使われる場所に。
……直接参加者に仕掛けるとしたら、その方が都合がいいだろうし。
(思えば、6年前もそれでやられたんだっけ)
[ふと思い返すのは、個人的にはとても苦い記憶。
大会終了後のフリープレイタイム。
知り合いのプレイヤーと対戦するためにログインした甥のマシンに、内側から仕掛けられた乗っ取り。
それで動けなくなった所に爆発テロが重なった。
あちらの思惑としては、その混乱に乗じてターゲットを連れ去る、という所だったらしいが]
……あれが、発端、だっけ。
[とにかく、動けない状況を何とかしよう、という甥が無意識に発動させた異能『巻き戻し』。
それによりマシンの異常が正され、強制ログアウトは成功。
思惑が外れた仕掛け側は強硬手段に訴え、それから――]
……ま、そこからあの子を助けてくれた事には、感謝してるんだけどねぇ。
[あの時は、こちらも色々と手が離せない事態が発生していて何もできなかった。
何だかんだで、甥が立ち直る切欠を与えてくれたのは、彼女が『腹黒鬼畜』と称する人物。
その事への感謝は尽きない反面、違う理由でのあれそれがあるから、反発する立ち位置が崩れる事はないのだが]
『……『Meister』?』
んー、なんでもないわ。
[肩の上の白猫が不思議そうに覗き込んでくるのに、短く返して、再びモニターを見る。
海辺での第一段階は、そろそろ終わりそうな気配だった。*]
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